油圧シリンダー計算ツール 戻る
油圧機器設計

油圧シリンダー計算ツール

ボア径・ロッド径・ストローク・圧力・流量を入力して、伸長力・縮退力・速度・ロッド座屈安全率・油圧動力をリアルタイム計算。F-P特性と座屈安全率曲線を可視化。

パラメータ設定
ボア径 D
mm
ロッド径 d
mm
ストローク S
mm
設計圧力 P
MPa
流量 Q
L/min
端末条件(座屈)
計算結果
伸長力 F_ext
(kN)
縮退力 F_ret
(kN)
伸長速度
(mm/s)
縮退速度
(mm/s)
座屈安全率
FS
油圧動力
(kW)
推力 vs 圧力(F-P 特性)
Fp
座屈安全率 vs ストローク
Fs

※ 座屈曲線はオイラー式(鋼材 E = 200 GPa)。実際の設計では偏心荷重・横荷重・取付公差も考慮すること。推奨安全率 FS ≥ 3.5(赤破線)。

理論・主要公式

$F_{ext}= P \cdot \dfrac{\pi D^2}{4}$

$F_{ret}= P \cdot \dfrac{\pi(D^2-d^2)}{4}$

$P_{cr}= \dfrac{\pi^2 E I}{(KL)^2},\quad I=\dfrac{\pi d^4}{64}$

$W = \dfrac{P \cdot Q}{600}\ \text{[kW]}$

油圧シリンダー計算ツールとは

🙋
このツールで計算できる「押し力」と「引き力」って、なぜ値が違うんですか?シミュレーターでボア径を変えると差が大きくなったり小さくなったりしますよね。
🎓
大まかに言うと、ピストンロッドが邪魔をするからだね。押すとき(伸長時)は油圧がボアの全面積を押す。でも引くとき(縮退時)は、ロッドが入っている分の面積が使えないから、押す力より小さくなるんだ。上のスライダーでロッド径を大きくしてみて。引き力がガクンと減るのがわかるよ。実務ではロッド径を大きくしすぎると引き力不足になることが多いんだ。
🙋
え、そうなんですか!「座屈安全率」って何ですか?これが赤くなると危険なということですか?
🎓
その通り、長いロッドが押す力で折れ曲がらないかどうかの余裕度だ。例えば、ストロークが長いシリンダーで大きな力を出すと、棒がたわんで壊れる「座屈」が起きる。安全率が3.5を下回ると黄色や赤で警告が出る。ツールでストロークを長くしたり、圧力を上げてみると、すぐに安全率が下がるから確認してみて。
🙋
「端末条件」って何を選べばいいんですか?K=1.0とか0.5とか…。現場で多いのはどれですか?
🎓
シリンダーの両端がどう固定されているかで変わるんだ。K=1.0(両端ピン)はトラニオン取り付けでよく使う。K=0.5(両端固定)は最も強く、安全率が高く計算される。実機では取り付け部の剛性や負荷の偏心を考えて、安全側のK=1.0を選ぶことが多いよ。ツールで条件を変えながら安全率がどう変わるか確認してみよう。

よくある質問

シリンダーの押し力(伸長力)はボア径全体の面積に圧力が作用しますが、引き力(縮退力)はロッド断面積分だけ有効面積が減るためです。そのため、同じ圧力でも縮退力は伸長力より小さくなります。
ストロークが長く、ロッド径が細いほど座屈しやすくなります。オイラーの式ではロッドの細長比と支持条件(端末係数K)が重要です。K=1(両端ピン)が標準ですが、実際の取り付け状態に合わせて調整してください。
横軸に圧力、縦軸に力をプロットしたグラフです。シリンダーの最大許容圧力に対する伸長力・縮退力の変化を一目で確認でき、設計圧力の選定や安全率の確認に役立ちます。
速度は流量をシリンダーの有効面積で割った値です。ただし、実際のシステムでは配管抵抗やバルブの圧力損失、ポンプの吐出特性が影響するため、本ツールは理想状態の理論値を示しています。実機設計では余裕を見てください。

実世界での応用

建設機械・油圧ショベル:アームやバケットを動かすシリンダーの推力と速度を設計します。大きな掘削力(押し力)が必要な一方、ストロークが長いため座屈安全率のチェックが必須です。

プレス機械・成形機:金属を成形するための大きな押し力を正確に計算します。高速で繰り返し動作するため、必要な油圧動力(kW)の算定がポンプ選定に直結します。

航空宇宙・着陸装置:飛行機の車輪を出し入れするシリンダーでは、信頼性が極めて重要です。厳しい重量制約の中、最小限のロッド径で必要な推力と座屈強度を両立させる設計に使われます。

工場自動化・搬送装置:ワークを持ち上げたり押し込んだりするコンパクトなシリンダーを選定します。引き力が十分あるか、また要求される動作速度を満たす流量の確認に本ツールが活用されます。

よくある誤解と注意点

まず、「計算上の推力=実際に出せる力」と思い込むことです。ツールで計算した推力は、シールの摩擦抵抗や配管の圧力損失、ポンプの能力を一切考慮していません。例えば、計算上は10kNの推力が必要でも、実際のシステムでは摩擦で1〜2割ロスするのは普通です。余裕を持たせた設計を心がけましょう。

次に、速度計算で「流量だけ」を見てしまうこと。ツールは「必要流量 $Q = A \times v$」で速度 $v$ を計算しますが、これは油がシリンダーに満たされる理想的な話。急激にバルブを開いたときの応答遅れや、ポンプの変動は考慮されていません。「理論速度の8割程度が実機での目安」と覚えておくと安全です。

最後に、座屈安全率の「絶対的な信頼」。安全率FS=3.5以上ならOK、と単純に判断するのは危険です。この計算は「純粋な圧縮荷重」が「完全に真っ直ぐに」かかることを前提とした、いわば理想モデル。実機では取り付け部のわずかなズレや、負荷の偏心が必ず発生します。安全率が5や6あっても、動的衝撃が加われば座屈する可能性はゼロではありません。計算結果は「一つの指標」として、実際の取り付け剛性や動作条件を総合的に判断してください。