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流体解析

自然対流熱伝達係数計算ツール

垂直板・水平板・水平円筒の自然対流熱伝達係数を Nu-Ra 相関式で計算。形状・温度差・流体種類を変えながら、対流強度と熱伝達係数をリアルタイムで比較できます。

形状・流体条件

0.01 m3 m
−100°C300°C
計算結果
Rayleigh数 Ra
Nusselt数 Nu
h (W/m²K)
q″ (W/m²)
熱伝達率 h と ΔT
Nu vs Ra(対数-対数)
自然対流プルーム(浮力で上昇する温流+境界層)
ΔT (°C)
Ra
Nu
h (W/m²K)
温流体(上昇) 冷流体(流入) 熱境界層
理論・主要公式

$$Ra = \frac{g\beta\Delta T L^3}{\nu\alpha}$$

レイリー数:\(g\) 重力加速度、\(\beta\) 体膨張係数、\(\Delta T\) 温度差、\(L\) 特性長さ、\(\nu\) 動粘度、\(\alpha\) 温度拡散率。

$$Nu = \left[0.825 + \frac{0.387\,Ra^{1/6}}{(1+(0.492/Pr)^{9/16})^{8/27}}\right]^2$$

Churchill-Chu 相関式(垂直平板):全Ra範囲で適用可能。

$$h = \frac{Nu \cdot k}{L}$$

熱伝達係数 [W/(m²·K)]。

自然対流熱伝達係数シミュレーターとは

🙋
「自然対流」って何ですか?エアコンみたいにファンで無理やり風を送るのとは違うんですか?
🎓
その通り!大まかに言うと、温度差で生じる浮力だけで動く流れだよ。例えば、暖房のヒーターの上で空気がふわっと上に流れる現象がそれ。このシミュレーターでは、その熱の伝わりやすさ(熱伝達係数h)を、形状や流体を変えて計算できるんだ。左のパネルで「形状」を垂直平板にしてみて、温度差ΔTを大きくすると結果がどう変わるか試してみよう。
🙋
え、そうなんですか!「水平平板(下面加熱)」って選択肢もありますけど、これはどういう場面で使うんですか?
🎓
実務では、天井裏に設置された発熱体の冷却とかで重要だね。下面が熱い板を上に向けて置くと、暖められた空気が上に行こうとしても板に邪魔されて、熱がこもりやすいんだ。シミュレーターで「水平平板(下面加熱)」を選び、流体を「空気(20°C)」から「水(20°C)」に変えてみて。熱伝達係数hが桁違いに上がるのがわかるよ。水の方がずっと効率良く熱を運べるからね。
🙋
「カスタム」で物性値をいじれるのは面白そう!でも、体膨張係数βって何を変えているんですか?
🎓
いいところに気が付いたね!βは温度で流体が膨張する度合いだ。これが大きいほど、小さな温度差でも強い浮力が生まれるんだ。例えば、エンジンオイルと水では値が大きく異なる。シミュレーターで流体を「カスタム」に切り替えて、βの値を0.1(=0.0001 K⁻¹)から1(=0.001 K⁻¹)にしてみて。レイリー数Raと熱伝達係数hが一気に跳ね上がるのが確認できるはずだよ。これが設計で考慮すべきポイントなんだ。

よくある質問

垂直平板・円筒は高さ、水平平板は代表長さ(面積÷周長)、水平円筒は外径を入力します。形状ごとに定義が異なるので、計算対象に合わせて正しい値を設定してください。
レイリー数Raが10^9程度を境に、それ以下は層流、以上は乱流とみなされます。本ツールのChurchill-Chu相関式は両領域を連続的にカバーするため、Raの値に応じて自動的に適切なNuが計算されます。
本ツールでは空気(20°C・100°C)と水(20°C・60°C)の物性値を内蔵しています。その他の流体や温度条件を扱う場合は、「カスタム」を選び、文献の物性値(密度・粘度・熱伝導率・Pr・β)を直接入力してください。
主な原因は特性長さの誤設定、流体物性値の温度依存性未考慮、または相関式の適用範囲外(Raが極端に小さい/大きい)です。まず入力値と流体温度が実条件と一致しているか確認してください。

実世界での応用

電子機器の冷却設計:基板上の発熱するICチップや電源部は、多くの場合ファンを使わない自然空冷です。このシミュレーターで「水平平板(上面加熱)」形状を使い、許容温度から必要な放熱フィンのサイズ(特性長さL)を見積もることができます。

建築・環境工学:冬のダブルスキン窓(二重窓)の間で生じる空気の対流や、室内の暖気が窓から逃げる際の熱損失を評価します。「垂直平板」モデルが近い現象です。流体を空気とし、温度差を変えて熱流束を計算します。

太陽熱温水器の設計:集熱板で温められた水が自然対流でタンクに上昇するプロセスを理解するために用いられます。「水平平板(下面加熱)」または「水平円柱」モデルが参考になり、流体を水に設定して効率をシミュレートできます。

化学プラントのタンク・配管:高温の液体や蒸気が入ったタンクや配管から周囲への放熱を予測します。安全設計や省エネルギーの観点から、外壁(「垂直平板」や「水平円柱」)からの自然対流熱損失をこのツールで簡易見積もりします。

よくある誤解と注意点

「自然対流では流体の種類に関わらず熱伝達係数は同じ」と思いがちですが、実際は流体の物性値(熱伝導率・粘性・体膨張係数)がNu-Ra相関式に直接影響するため、空気と水では同じ温度差でも熱伝達係数が一桁以上異なります。特に水の熱伝導率は空気の約20倍であり、この差を無視すると設計誤差が大きくなるため注意が必要です。

「垂直板と水平板の熱伝達係数は同じになる」と思いがちですが、実際は重力方向に対する加熱面の向きによって流れのパターンが変わるため、同じ温度差でも垂直板の方が水平板より熱伝達係数が高くなる傾向があります。特に水平板では加熱面が上向きか下向きかで相関式が変わる点に注意が必要です。

使い方ガイド

  1. lengthNCNum欄に垂直板・水平板・円筒の代表長さ(m)を入力。垂直板は高さ、円筒は直径を指定
  2. dtNCNum欄に壁面と流体の温度差(K)を入力。自然対流駆動力の評価に使用
  3. crhoNum欄に流体の密度(kg/m³)、cmuNum欄に粘度μ(×10⁻⁵ Pa·s)を入力。空気25°Cで密度1.184kg/m³、粘度1.849×10⁻⁵Pa·sが標準値
  4. 入力と同時にレイリー数Ra、ヌッセルト数Nu、熱伝達係数h(W/m²K)がリアルタイムで算出される

具体的な計算例

高さ1.5mの垂直鋼板外表面、空気自然対流。壁面温度80℃、環境気温25℃で温度差55K。空気物性値:密度1.149kg/m³、動粘度1.798×10⁻⁵m²/s、プラントル数0.707。レイリー数Ra=1.2×10¹⁰、ヌッセルト数Nu=270、熱伝達係数h≈4.8W/m²Kと算出。この値は乱流域(Ra>10⁹)を反映し、配管保温設計の放熱量計算に用いられる

実務での注意点

  1. 水平板下面のNuは上面(層流域)の1/2程度になります。冷却塔充填材など下面放熱を評価する際は数値調整
  2. 円筒外表面の自然対流係数は縦横比で大きく変化。外径30mm以下の細管は層流領域で補正が必要
  3. 流体が水の場合(ρ≈998kg/m³、ν≈1.0×10⁻⁶m²/s)、空気の100倍以上のRaになるため熱伝達が劇的に増加
  4. 実測値との誤差±20%を見込み、安全設計では計算値に0.8係数を乗じた保守的評価を推奨