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熱解析

PCB熱解析・ジャンクション温度計算機

熱抵抗ネットワーク Tj=Ta+P×(θjc+θcs+θsa) でPCBジャンクション温度をリアルタイム計算。BGA・QFP・TO-220・MOSFETに対応し、サーマルビアとヒートシンク設計を一括評価できます。

パラメータ設定
部品タイプ
消費電力 P
W
θjc (ジャンクション–ケース)
°C/W
θcs (ケース–スプレッダ)
°C/W
θsa (ヒートシンク–周囲)
°C/W
周囲温度 Ta
°C
サーマルビア本数 N
基板厚み t
mm
風速 v (強制対流)
m/s
0=自然対流
計算結果
Tj ジャンクション温度 [°C]
Tc ケース温度 [°C]
PCB表面温度 [°C]
ΔT = Tj − Ta [K]
θja 合計 [K/W]
判定 (125°C基準)
可視化
Tj
理論・主要公式

電子部品の熱経路はジャンクションから周囲まで直列接続として扱う:

$$T_j = T_a + P \times \theta_{ja}$$ $$\theta_{ja}= \theta_{jc}+ \theta_{cs}+ \theta_{sa}$$

サーマルビア並列熱抵抗:$\theta_{via}= \dfrac{t}{N \cdot k_{Cu} \cdot \pi r^2}$ (r=0.15mm, k=385 W/m·K)

自然対流ヒートシンク:$\theta_{sa}\approx \dfrac{1}{h_c \cdot A_s}$ (h_c ≈ 5〜15 W/m²K)

強制対流:$h_c \approx h_0 + c \cdot v^{0.6}$ (速度の冪乗則)

PCB熱解析・ジャンクション温度計算機とは

🙋
ジャンクション温度Tjって何ですか?部品が壊れるかどうかに関係あるんですか?
🎓
大まかに言うと、半導体チップそのものの温度だね。これが高すぎると、性能が落ちたり、最悪は壊れてしまう。例えば、自動車のECU(エンジン制御ユニット)に使われるパワーMOSFETは、Tjが150℃を超えると故障リスクが急上昇するんだ。このシミュレーターでは、上の「消費電力P」のスライダーを動かすと、Tjがどう変わるかすぐに確認できるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ、どうやって温度を下げるんですか?データシートに書いてある「熱抵抗」って関係ありますか?
🎓
その通り!熱抵抗は、熱の流れにくさを表す数値で、単位はK/W(ケルビンパーワット)だ。値が小さいほど熱が逃げやすいんだ。実務では、ヒートシンクをつけたり、基板の銅箔面積を大きくしたりして、全体の熱抵抗を下げる。このツールの「θsa(ヒートシンク-周囲熱抵抗)」の値を小さくしてみてごらん。Tjがガクンと下がるのがわかるよ。
🙋
基板の中にある「サーマルビア」って、そんなに効果あるんですか?「本数N」を増やせばいいということ?
🎓
すごく効果があるんだ!サーマルビアは、熱を基板の表から裏に運ぶ「熱のエレベーター」みたいなもの。並列につなぐと全体の熱抵抗は下がるから、本数を増やすほど放熱性能は上がる。でも、設計スペースには限りがあるよね。このシミュレーターで「サーマルビア本数N」を0本から16本に変えてみると、Tjへの影響が一目瞭然だ。現場ではBGAパッケージの真下にビアを配置するのが定番だね。

よくある質問

θjcは半導体メーカーのデータシートに記載されています。θcsは放熱シートやグリスの仕様値、θsaはヒートシンクメーカーのカタログ値または自然対流・強制風流の条件から推定します。ツール内の参考値一覧もご活用ください。
サーマルビアはθjcやθsaの低減として間接的に反映します。例えば、ビア本数や銅箔面積から熱抵抗を計算し、θsaの値に加味してください。詳細なビア設計値は別途計算シートを参照いただくと精度が向上します。
基本式Tj = Ta + P × (θjc+θcs+θsa)は共通です。ただし、BGAやQFPではθjcの定義がトップケースかボール側か異なる場合があるため、データシートの熱抵抗値を正しく選択してください。ツールでは主要パッケージの代表値をプリセットしています。
主な対策は(1)ヒートシンクの大型化や風流強化でθsaを下げる、(2)放熱シート変更でθcsを低減、(3)消費電力Pの低減、(4)周囲温度Taの制限です。ツールで各パラメータを変更しながら効果をリアルタイム比較できます。

実世界での応用

パワーエレクトロニクス(EV/インバーター):自動車のモーター駆動用インバーターや車載充電器では、大電流を扱うIGBTやSiC MOSFETのTj管理が寿命と信頼性を決定します。ヒートシンクと水冷プレートを組み合わせ、θsaを極限まで下げる設計が行われます。

サーバー/通信機器:CPUやGPU、高速通信ICは高発熱です。マザーボードのPCB層内に張り巡らされたサーマルビアネットワークと、強制空冷(ツールの「風速v」パラメータに相当)によって、狭い筐体内で効率的に排熱します。

民生電子機器:スマートフォンやタブレットでは、ヒートシンクが使えない薄型設計が主流です。発熱チップの直下にサーマルビアを配置し、基板全体や金属筐体を放熱板として利用する「PCBスプレッダ」技術が重要です。

CAEシミュレーションの前処理・検証:ANSYS IcepakやFloTHERMで詳細な熱流体解析を行う前に、このツールで簡易計算を行い、熱抵抗ネットワークのモデル化が適切か、入力パラメータのオーダーが正しいかを確認します。設計初期段階のスクリーニングに威力を発揮します。

よくある誤解と注意点

この手の計算ツールを使い始めるとき、いくつかつまずきやすい落とし穴があるんだ。まず「熱抵抗θjaは部品固有の定数」という誤解。データシートに載っているθjaは、特定の測定条件(JEDEC標準基板など)での値だ。君の実際の基板の層構成や銅箔面積が違えば、実効的なθjaは大きく変わる。このシミュレーターの価値は、基板やヒートシンクのパラメータを変えることで、「自分の設計条件における実質的なθja」を導き出せる点にあるんだ。

次にパラメータ入力の盲点。例えば「ヒートシンク-周囲熱抵抗θsa」は、カタログ値の「静止空気中」の数値をそのまま入れがちだ。でも、筐体内にファンがあれば強制空冷状態になる。例えば、あるヒートシンクのθsaが静止空気で10 K/Wだったとして、風速2m/sの気流があれば、簡単に4 K/Wまで下がることもある。ツールの「風速v」はまさにこの効果を考慮するためのパラメータだから、実際の使用環境を想像して設定しよう。

最後に「計算結果は絶対ではない」という大原則。このツールは便利な一次近似ツールで、熱抵抗ネットワーク(ランプアップモデル)というシンプルなモデルを使っている。実際の熱流は3次元的で、部品同士の熱的干渉(カップリング)も起こる。例えば、基板上で発熱する2個のICが接近していると、お互いを「加熱」し合って計算値より高温になる。シミュレーション結果は設計の方向性を確認し、対策の優先順位をつけるための羅針盤として使おう。