銅損 — CAE用語解説

カテゴリ: 用語集 | 2026-01-15
CAE visualization for copper loss - technical simulation diagram

銅損

🧑‍🎓

先生、「銅損」ってモーター解析で出てくるんですが、鉄損と何が違うんですか?


🎓

銅損(Copper Loss)は電流が流れる巻線(コイル)で発生するジュール熱のことだ。P_cu = I^2 * R という単純な式で計算できる——電流Iが大きいほど、巻線抵抗Rが大きいほど発熱が増える。一方、鉄損(Iron Loss)は磁束の変動によって鉄心(コア)で発生する損失で、ヒステリシス損と渦電流損の2種類がある。EVのモーターでは銅損と鉄損が主要な発熱源で、どちらが支配的かは動作点(回転数・トルク)によって変わる。低速高トルクでは電流が大きいから銅損が支配的になりやすい。


定義

🧑‍🎓

銅損って解析でどうやって計算するんですか?


🎓

有限要素法の電磁場解析(FEA)で電流密度分布J(x,y,z)を求め、q = J^2 / sigma(sigmaは導電率)として体積発熱源を計算する。集中定数でいいならP_cu = I_rms^2 * R_dc * (1 + ΔR/R) で表皮効果補正を加える形で十分だ。高周波ではスキン効果で電流が表面に集中して実効抵抗が増えるから、周波数依存の交流抵抗(AC resistance)を使う必要がある。Ansys MaxwellやJMAGなどのモーター専用FEAソフトは損失を自動で出力してくれる。


熱解析との連成

🧑‍🎓

銅損が発熱源になる熱解析ってどうやるんですか?


🎓

典型的なワークフローは——①電磁場FEA(Ansys Maxwell等)で各コイルの銅損分布をマップデータとして出力、②熱FEA(Ansys Mechanical等)に銅損マップを体積発熱源(Body Heat Generation)として入力、③定常または過渡の温度分布を計算——という2ステップ連成だ。EVのIPMモーターでは高速走行中に数kWの銅損と鉄損が発生して巻線温度が上がる——インシュレーションクラスH(180℃)を超えると絶縁劣化するから、熱解析による温度マージン確認が設計上の必須要件だよ。


🧑‍🎓

銅損を減らす設計方法はありますか?


🎓

いくつかアプローチがある。①巻線抵抗Rを下げる——太い導線を使う(断面積増加)、巻線長さを短くする(ショートピッチ巻き)、②電流実効値I_rmsを下げる——モーター極数を増やしてトルク定数を上げる(同じトルクを低電流で出す)、③表皮効果対策——高周波駆動では素線をリッツ線(細い素線を撚り合わせた構造)にして交流抵抗増加を抑える。EVのモーターでは油冷(直接コイルにオイルをかける)や水冷ジャケットで銅損の熱を外に逃がす方式が増えている。


🧑‍🎓

温度が上がると銅損自体も増えるんですか?


🎓

そう、これが厄介なところだ。銅の抵抗率は温度とともに上がる——R(T) = R_20 * (1 + alpha*(T-20)) で、alphaは銅で約0.00393 [1/℃]だ。20℃から120℃に上がると抵抗が約40%増加する。すると銅損が増えてさらに温度が上がる——「温度上昇→銅損増加→さらに温度上昇」という正帰還ループだ。これを安定点で止めるのが熱設計の目的で、銅損と冷却能力のバランスを温度依存性込みで評価するには電磁-熱の連成解析が不可欠になる。


関連用語

🧑‍🎓

銅損と温度の正帰還ループ、怖いですね。連成解析の重要性が実感できました!


🎓
  • 鉄損
  • 表皮効果
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