密度ベースソルバー — CAE用語解説
密度ベースソルバー
先生、密度ベースソルバーって圧力ベースと何が違うんですか? OpenFOAMで選ぶときに迷います。
根本的な定式化が違う。圧力ベース(SIMPLE/PISO等)は圧力-速度の分離型で解くから非圧縮・弱圧縮に向いている。密度ベースは連続・運動量・エネルギー・状態方程式を密度rhoを主変数に一括連成で解くからマッハ数が高い(M > 0.3)圧縮性流れに向いている。OpenFOAMでは密度ベースが rhoCentralFoam(シャック波・超音速)、sonicFoam(音速付近)、rhoSimpleFoam(圧縮性定常)だ。「空気中でマッハ0.3を超えてきたら密度ベースを考える」という目安を持っておくといい。
定義
密度ベースのほうが高速ですか? 計算コストは?
必ずしも速くない。密度ベースは大行列を一括で解くから1反復のコストが大きい。ただし圧縮性問題では圧力ベースで圧力-密度の強連成を扱おうとすると収束が遅くなるから、総計算時間では密度ベースが速くなることがある。陽解法密度ベース(rhoCentralFoam)は時間刻みがCFL < 1に制限されるから超音速の細かいメッシュでは非常に多くのステップが必要になる——これが陽解法の欠点だ。陰解法密度ベース(rhoSimpleFoam)は定常圧縮性流れなら効率的だ。
圧縮性流れの代表的な問題
密度ベースソルバーが必要な具体的な問題はどんなものですか?
①航空機翼のトランソニック(遷音速)流れ——翼上面でM > 1になってショック波が発生する領域(M = 0.8付近)では圧縮性効果が必須。②ターボ機械の高速羽根——コンプレッサーやタービンの先端速度がM > 0.7を超える。③ロケットノズル——音速を超えた超音速噴流と内部衝撃波系。④安全弁・プレッシャーリリーフ弁のチョーク流れ——音速に達したスロート部の流量計算。これらはOpenFOAMのrhoCentralFoam、AnsysのDensity-Based Solver、Star-CCM+の圧縮性設定で対応できる。
ショック波ってFEMでどう処理するんですか?
ショック波は速度・圧力・密度が空間的に不連続に変化する極めて薄い領域だ。数値的にはShock Capturing(衝撃波捕捉)手法で扱う——TVD(Total Variation Diminishing)スキームやENO/WENOスキームが定番だ。これらは衝撃波付近で数値拡散を増やして「数値的振動(リンギング)」を抑制する。OpenFOAMのrhoCentralFoamはKurganov-Tadmorスキームを使っている。メッシュは衝撃波が通る領域を十分細かく(衝撃波厚さは数平均自由行程程度)する必要があって、アダプティブメッシュ精緻化(AMR)と組み合わせることが多い。
関連用語
M=0.3という目安が実践的ですね。TVDスキームでショック波振動を抑えるのも重要だとわかりました!
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