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機械要素設計

皿ばね(ベルビルワッシャ)設計シミュレーター

円錐形に成形された皿ばね(ベルビルワッシャ)を設計するツールです。外径・内径・板厚・自由高さ・たわみを変えると、ばね力・ばね定数・荷重-たわみ特性がリアルタイムで分かり、高さ比 h0/t で決まる非線形なばね特性とS字曲線を直感的に確認できます。

パラメータ設定
外径 De
mm
内径 Di
mm
外径との比 δ=De/Di が係数 K1 を決めます
板厚 t
mm
自由状態の円錐高さ h0
mm
無負荷時の円錐の高さ。h0/t が特性の非線形性を決めます
ヤング率 E
GPa
ばね鋼で約206 GPa。ポアソン比 ν=0.3 固定
たわみ s
mm
押し込み量。s=h0 で完全に平坦化します
計算結果
ばね力 F (N)
平坦化荷重 F_flat (N)
ばね定数 k (N/mm)
直径比 δ
高さ比 h0/t
特性タイプ
皿ばね断面図 — 圧縮アニメーション

円錐形の皿ばねが2枚の平板の間で圧縮され、円錐角が小さくなって平坦化していく様子を表します。色は特性タイプ(緑=線形寄り/橙=非線形/赤=不安定域)。

荷重-たわみ特性曲線 F(s)
ばね定数 k vs たわみ s
理論・主要公式

$$F=\frac{4E}{1-\nu^2}\cdot\frac{t^4}{K_1 D_e^2}\cdot\frac{s}{t}\left[\left(\frac{h_0}{t}-\frac{s}{t}\right)\left(\frac{h_0}{t}-\frac{s}{2t}\right)+1\right]$$

Almen-László 式によるばね力 F [N]。E:ヤング率、ν:ポアソン比(0.3)、t:板厚、De:外径、h0:自由高さ、s:たわみ。角かっこ内が s の2次式のため特性は非線形になる。

$$K_1=\frac{1}{\pi}\cdot\frac{\big((\delta-1)/\delta\big)^2}{(\delta+1)/(\delta-1)-2/\ln\delta},\qquad \delta=\frac{D_e}{D_i}$$

無次元係数 K1 と直径比 δ。K1 は外径と内径の比だけで決まり、皿ばねの幾何形状を表す。

$$k(s)=\frac{dF}{ds},\qquad F_{\text{flat}}=F(s=h_0)$$

ばね定数 k はたわみに対する荷重の傾き、平坦化荷重 F_flat は s=h0 で完全に平らになるときの荷重。高さ比 h0/t が特性の非線形性の強さを決める。

皿ばねとは

🙋
「皿ばね」って、真ん中に穴の空いた、ちょっとお皿みたいに反った金属のワッシャですよね?あれもばねの仲間なんですか?
🎓
そう、ベルビルワッシャとも呼ばれるやつだね。見た目は座金だけど、れっきとしたばねだよ。平らな板を浅い円錐形(お皿型)に成形してあって、上から押すと円錐がつぶれて平らに近づき、その復元力がばね力になる。コイルばねと違って薄くてコンパクトなのに、すごく大きな荷重を出せるのが特徴なんだ。
🙋
なるほど。でも左で「たわみ s」を動かすと、荷重 F の増え方が一定じゃないですね。途中でほとんど増えなくなったりして…バグですか?
🎓
いや、それが皿ばねの一番面白いところで、バグじゃないんだ。コイルばねは「荷重=ばね定数×たわみ」できれいに比例するけど、皿ばねは円錐がつぶれていくにつれて形そのものが変わるから、荷重とたわみが比例しない。下の「荷重-たわみ特性曲線」を見てごらん。まっすぐじゃなくて曲がっているだろう?この曲線の形を決めているのが「高さ比 h0/t」、つまり自由高さを板厚で割った値なんだ。
🙋
h0/t ですか。高さ比を大きくすると、その曲線はどう変わるんですか?
🎓
h0/t が小さい(0.4 未満)と曲線はほぼ直線で、コイルばねに近い。0.4〜1.3 くらいだとゆるやかに曲がる「漸進的な非線形」。1.3 を超えると曲線が寝てきて、途中で荷重がほとんど増えない「S字」になる。さらに 2.83 を超えると、押し込んでいるのに荷重が逆に減る「不安定域」、つまり負のばね定数まで出てくる。左の h0 を上げて、特性タイプのカードの色が変わるのを見てみるといいよ。
🙋
押すほど荷重が減るって、ばねとしておかしくないですか?何の役に立つんでしょう?
🎓
それがむしろ大事な使い道なんだ。荷重が「一定」になる平坦な領域を使うと、相手の部品が摩耗したり熱で伸び縮みしても、締付け力をほぼ一定に保てる。ボルトのゆるみ止めや、大型機械のクランプがいい例だね。たわみが多少変わっても力が変わらないから、ガスケットや軸受けの予圧を安定させられる。「曲がっている=欠点」じゃなくて、設計者がわざとその曲がりを利用しているんだよ。
🙋
1枚でこれだけ性質が変えられるなら、何枚も重ねたらもっといろいろできそうですね。
🎓
まさにそこが皿ばねの強みだよ。同じ向きに重ねる「並列」だと荷重が枚数分だけ増えて固くなる。互い違いに重ねる「直列」だとたわみが枚数分増えて柔らかくなる。組み合わせれば、狭い取付スペースでも欲しい荷重とストロークを両立できる。このツールは1枚分の計算だから、重ねるときは荷重とたわみを枚数で換算してね。

よくある質問

皿ばね(ベルビルワッシャ)のばね力は Almen-László の式 F = (4E/(1−ν²))·(t⁴/(K1·De²))·(s/t)·[(h0/t−s/t)(h0/t−s/(2t))+1] で計算します。E はヤング率、ν はポアソン比(0.3)、t は板厚、De は外径、h0 は自由状態の円錐高さ、s はたわみです。K1 は外径と内径の比 δ=De/Di のみで決まる無次元係数です。このツールはこの式で任意のたわみ s におけるばね力を求めます。
皿ばねは円錐形に成形された板で、たわむと円錐角が変わり断面の幾何が刻々と変化するためです。コイルばねのように荷重とたわみが比例(線形)にならず、Almen-László 式の角かっこ内の項が s の2次式になるため、荷重-たわみ曲線は曲線になります。曲線の形は高さ比 h0/t で決まり、h0/t が小さいとほぼ線形、大きいと荷重が一定または減少するS字曲線になります。
高さ比 h0/t(自由高さ÷板厚)が大きいほど特性曲線の非線形性が強まります。h0/t<0.4 ではほぼ線形、0.4〜1.3 で漸進的な非線形、1.3〜2.83 では荷重がほぼ一定の平坦部をもつ強いS字、h0/t≥2.83 ではたわみの増加で荷重が逆に減る不安定域(負のばね定数)が現れます。荷重一定の領域は、部品の摩耗や熱膨張があっても締付け力を一定に保ちたい用途で積極的に利用されます。
皿ばねは積層方向で特性を自在に調整できます。同じ向きに重ねる「並列」では、枚数分だけ荷重が増えてたわみは変わりません(剛い)。互い違いに重ねる「直列」では、荷重は1枚分のままでたわみが枚数分だけ増えます(柔らかい)。並列と直列を組み合わせれば、限られた取付スペースで必要な荷重とたわみ(ストローク)を両立できます。本ツールは1枚の皿ばね単体を扱うため、積層時は荷重・たわみを枚数で換算してください。

実世界での応用

ボルト締結のゆるみ止め・予圧保持:大型ボルトの座面に皿ばねを入れると、ボルトが熱膨張やクリープでわずかに伸び縮みしても、皿ばねがその変位を吸収して締付け力をほぼ一定に保ちます。S字特性の平坦部を使えば、たわみが多少変わっても荷重がほとんど変わらないため、振動環境下でもゆるみにくい締結になります。配管フランジや圧力容器のボルトで広く使われます。

クラッチ・ブレーキの押付け機構:自動車のクラッチカバーには大径の皿ばね(ダイヤフラムスプリング)が使われ、クラッチ板を一定の力で押し付けます。摩擦材が摩耗してもばねの作動点が平坦部にあれば押付け力が落ちにくく、クラッチの伝達トルクを安定させられます。皿ばねの非線形特性が、まさに製品性能の要になっている例です。

軸受けの予圧・隙間調整:転がり軸受けに一定の予圧を与えるために皿ばねを組み込みます。温度変化で軸が伸びても皿ばねが伸縮を吸収し、軸受けの内部隙間を適正に保ちます。コイルばねより薄くコンパクトに大荷重を出せるため、限られた軸方向スペースに収めやすいのが利点です。工作機械の主軸やモータ軸でよく見られます。

過負荷保護・エネルギー吸収:プレス金型や安全装置では、皿ばねを積層して大きな荷重とストロークを得て、過大な力が加わったときの緩衝・逃がし機構として使います。負のばね定数を示す高 h0/t の皿ばねは、ある荷重を超えると急にたわむスナップ動作をするため、トグル機構やスイッチの節度感の設計にも応用されます。

よくある誤解と注意点

まず最大の誤解が、「皿ばねもコイルばねと同じく荷重とたわみが比例する」という思い込みです。皿ばねの荷重-たわみ曲線は本質的に非線形で、ばね定数 k はたわみ s とともに変化します。あるたわみでの k を一点だけ測って「この皿ばねのばね定数」と扱うと、別の作動点では荷重が大きく外れます。皿ばねを設計するときは、必ず作動範囲全体の特性曲線を見て、平坦部を使うのか立ち上がり部を使うのかを意識してください。高 h0/t では k が負になる領域すらあります。

次に、「Almen-László 式の荷重をそのまま信じる」こと。本ツールが用いる式は、円錐角が小さく板厚が一様な理想的な皿ばねを前提とした近似です。実際の皿ばねには成形時の残留応力、エッジの面取り(フラット付き皿ばね)、摩擦によるヒステリシス、そして繰り返し荷重による応力(内周上面と外周下面に集中)があり、計算荷重と実測には差が出ます。重要な用途ではメーカーの実測カタログ値や DIN 2092/2093 規格、有限要素解析と必ず照合してください。

最後に、「s=h0 まで押し切れば最大の荷重が得られる」という早合点。完全に平坦化(s=h0)すると角かっこ内の項が1になり荷重 F_flat が出ますが、このとき内周上面の応力は最大級になり、繰り返し使用では疲労破壊の起点になります。実務では平坦化たわみの 75〜85% 程度を使用上限とし、s>h0 まで押し込む「過平坦化」は避けます。本ツールでは s>h0 のとき警告を表示します。皿ばねは荷重だけでなく応力と寿命の両面で作動点を決めることが大切です。

使い方ガイド

  1. 外径(De)と内径(Di)を入力します。鋼製皿ばねの場合、一般的にDe=20~100mm、Di/De比は0.4~0.6の範囲で設定します
  2. 板厚(t)と初期高さ(h0)を指定します。h0/t比が0.5~2.0の範囲で非線形特性が明確に現れます
  3. シミュレータが自動計算するばね力F、平坦化荷重F_flat、ばね定数kを確認し、設計要件との適合性を判定します

具体的な計算例

例:SUS304製皿ばね、De=50mm、Di=28mm、t=1.2mm、h0=0.8mmの場合、直径比δ=0.56、高さ比h0/t=0.67となります。このパラメータでは、たわみ1.5mmで約85Nのばね力が発生し、ばね定数は約45N/mmです。圧縮タイプ(h0/t<1.0)の皿ばねは逆山形特性を示し、複数枚直列組合せで線形化が可能です

実務での注意点