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化学工学

燃焼計算機・空燃比・断熱火炎温度

燃料種類・当量比・入口温度・圧力を設定して断熱火炎温度・燃焼生成物組成・CO/NOx排出傾向をリアルタイム計算。

パラメータ設定
燃料種類
当量比 φ
φ<1: リーン(空気過剰)· φ=1: 化学量論 · φ>1: リッチ
入口温度 T_in
°C
圧力 P
atm
排出傾向
CO: — NOx: —
計算結果
化学量論的 AFR
実際の AFR
当量比 φ
断熱火炎温度 T_ad [K]
LHV [MJ/kg]
CO₂排出 [g/MJ]
断熱火炎温度 vs 当量比
燃焼生成物組成 (mol%)
理論・主要公式

化学量論反応:

$$C_nH_m + \left(n+\frac{m}{4}\right)O_2 \rightarrow nCO_2 + \frac{m}{2}H_2O$$

断熱火炎温度(エネルギー収支):

$$\sum_i n_i \, c_{p,i}(T_{ad}- T_{ref}) = LHV$$

当量比:$\phi = \dfrac{AFR_{stoich}}{AFR_{actual}}$ · 空気中O₂分率: 21 mol%

燃焼計算機・空燃比・断熱火炎温度とは

🙋
「当量比」って何ですか?シミュレーターのスライダーで1.0とか0.8とか変えられますけど。
🎓
大まかに言うと、燃料と空気の混合の「濃さ」を表す指標だよ。φ=1.0が理論上ピッタリ完全燃焼する混合比(化学量論比)。φが1より小さいと燃料が薄い(リーン)、1より大きいと濃い(リッチ)状態だ。例えば、ガソリンエンジンでは加速時にパワーを出すために一時的にφを1.05くらいに濃くしたりするんだ。上の燃料種類と当量比φを動かしてみると、計算される空燃比(AFR)がどう変わるか確認してみて。
🙋
え、じゃあφを1.0にすれば一番温度が高くなるんですか?でもFAQには「φ=1.05で高くなる」って書いてあります。
🎓
良いところに気づいたね!単純な計算だとφ=1.0が最高だけど、実際の高温燃焼ではCO₂やH₂Oが「解離」してエネルギーを吸収するんだ。その効果を考慮すると、最高火炎温度は燃料がほんの少し濃い側(φ≈1.05)にシフトする。このシミュレーターで、メタンを選んでφを1.0から1.1にゆっくり動かしてみて。断熱火炎温度が一旦上がってから下がるのが確認できるはずだよ。
🙋
なるほど!で、この「断熱火炎温度」の値って、CAEの現場ではどう使うんですか?
🎓
実務では、FluentやOpenFOAMで燃焼シミュレーションをする時の、重要な初期条件や検証値として使うんだ。例えばガスタービンの燃焼室を設計する時、まずこのツールで当量比と入口温度を変えて、どれくらいの最高温度になるか、またNOx(高温で発生しやすい)の傾向を概略として把握する。その後、詳細なCFD解析に進むんだ。ツールの「入口温度T_in」を上げてみて、NOxの予測値がどう変わるか確認してみよう。

よくある質問

当量比>1は燃料過濃条件を意味します。完全燃焼に必要な酸素が不足するため、COや未燃燃料(H₂、CₙHₘ)が生成物に含まれます。断熱火炎温度は理論空燃比付近で最大となり、過濃側では低下します。NOx排出傾向も減少します。
入口温度を上げると、燃料と空気の初期エンタルピーが増加するため断熱火炎温度は上昇します。圧力の影響は燃料種や当量比によりますが、一般的に圧力が高いと解離反応が抑制され、火炎温度がやや上昇する傾向があります。
いいえ、CₙHₘの一般式で表せる任意の炭化水素燃料(例: プロパンC₃H₈、オクタンC₈H₁₈など)をnとmの値で指定できます。また、水素(H₂)なども同様の原理で計算可能です。ただし、酸素含有燃料には対応していません。
このツールは平衡計算に基づく理論的な傾向を示しており、実際のエンジンやバーナーでの排出量とは乖離があります。特にNOxは熱平衡だけでなく、反応速度や温度分布の影響を強く受けるため、定性的な比較や相対的な変化の把握にご利用ください。

実世界での応用

自動車・ガソリンエンジン制御:三元触媒を最高効率で働かせるため、空燃比を化学量論比(φ=1.0)に極めて厳密に制御します(フィードバック制御)。加速時など高負荷域では、出力確保と排気温度管理のため意図的にリッチ(φ>1.0)にします。

ガスタービン・発電プラント:燃焼室の設計で、NOx(窒素酸化物)排出を抑えることが最重要課題です。燃焼温度を下げるため、予混合リーン燃焼(φ<1.0)方式が広く採用されています。このツールで温度とNOx傾向の関係を確認できます。

工業用バーナー・ボイラー設計:燃料費の最小化とCO(一酸化炭素)未燃分の抑制が目的です。空気過剰率(リーン側)を最適化する際の基礎データとして、当量比と燃焼温度、生成物組成の関係が参照されます。

CFD燃焼シミュレーションの前処理:FluentやOpenFOAMなどで詳細な化学反応計算を行う前に、当量比や入口条件を変えた時の火炎温度や主要生成物の大まかな値を、このツールで迅速に評価し、計算条件の妥当性チェックや初期値設定に利用します。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特にCAE初心者が陥りがちなポイントがいくつかあるよ。まず一つ目は、「計算結果をそのまま絶対値として信用しすぎる」こと。このツールのNOxやCOの「排出傾向」は、あくまで化学平衡に基づく理論値だ。実際の燃焼室では、混合の不均一性や滞留時間の影響が大きく、実測値とは乖離することが多い。例えば、ツールでφ=0.8(リーン)の時にCOがほぼゼロと出ても、現実のバーナーで混合が悪ければ大量の未燃COが発生する。あくまで「傾向を掴む」「パラメータ感度を確認する」ための第一歩と捉えよう。

二つ目は、「入口温度T_in」の設定ミス。デフォルトの298K(約25℃)は常温での計算だが、ガスタービンの燃焼室入口は圧縮機で加温された400℃以上の空気が流れ込む。この値を入れ忘れると、断熱火炎温度を数百Kも低く見積もってしまう。実務では、前段のプロセス計算で得られた入口条件を必ず代入する癖をつけよう。

三つ目は、燃料の「組成」の考慮不足。ツールでは純粋なメタンや水素を選べるが、実際の天然ガスや都市ガスは様々な炭化水素の混合物だ。組成が変われば発熱量や理論空燃比も変わる。例えば、プロパンが混ざればメタン単体より体積当たりの発熱量が高くなる。ツールで大まかな傾向を見た後は、実際の燃料組成に基づいた詳細な熱化学計算が必要になるケースが多いことを覚えておいてね。