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熱解析

燃料発熱量・熱効率計算機

燃料LHV/HHVデータベースと熱機関・ボイラーの効率計算。燃料消費量から熱入力・有効出力・SFC・CO₂排出量をリアルタイム計算しエネルギーフローを可視化。

パラメータ設定
燃料種類
燃料消費量
kg/hr
システム種別
熱効率 η
%
SI: 20〜35% · DI: 35〜45% · GT: 35〜42% · ボイラー: 85〜92%
計算結果
熱入力 Q_in [kW]
有効出力 Q_out [kW]
熱効率 η [%]
SFC [g/kWh]
CO₂/kWh [g/kWh]
カルノー上限 [%]
エネルギーフロー内訳
同一出力での燃料別比較
理論・主要公式

熱効率:$\eta_{th}= W_{net}/ Q_{in}$ , 有効出力:$W_{net}= \eta_{th}\cdot \dot{m}_f \cdot LHV$

比燃料消費率:$SFC = \dot{m}_f / W_{net}= 3600 / (\eta_{th}\cdot LHV)$ [g/kWh]

カルノー上限:$\eta_{Carnot}= 1 - T_C / T_H$ (T_H: 燃焼温度 ≈ 1200–1600 K, T_C: 排気温度 ≈ 400–700 K)

$$CO_2\,[\text{g/kWh}] = \frac{CO_2\,[\text{g/MJ}] \times 3600}{(\eta_{th} \times 1000)}$$

燃料発熱量・熱効率計算機とは

🙋
LHVとHHVって何ですか?シミュレーターの燃料選択で両方の値が出てくるけど、どっちを使えばいいんですか?
🎓
大まかに言うと、水蒸気が持つ熱を数えるか数えないかの違いだ。HHVは水蒸気が水に凝縮する時の熱(潜熱)も含んだ発熱量。LHVは含まない。実務では、ガスタービンやエンジンは排ガスが高温だから水は蒸気のまま捨てられる。だから使える熱はLHVベースになるんだ。このツールで「システム種別」を「ガスタービン」に選ぶと、自動的にLHVを使って計算してくれるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ「熱効率」のスライダーを動かすと、出てくる「CO₂/kWh」の値も変わるのはなぜ?効率が悪いとCO₂が増えるということ?
🎓
その通り!燃料を燃やして1kWhの電気や仕事を得る時、効率が悪いとより多くの燃料が必要だろ?燃料を多く燃やせば、その分CO₂もたくさん出る。例えば、効率30%の古い石炭火力と、効率60%の最新コンバインドサイクルでは、同じ1kWhを作るCO₂排出量は倍近く違うんだ。ツールで燃料を「石炭」に変えて、効率スライダーを20%と60%で比べてみ。SFC(比燃料消費率)とCO₂/kWhがどう変わるか、一目瞭然だ。
🙋
なるほど!「バイオマス」や「水素」を選ぶとCO₂/kWhがゼロや小さくなるけど、これって本当に環境に優しいということ?計算の仕組みは?
🎓
良いところに気づいたね。ツールは「燃焼直接排出分」だけを計算してる。バイオマスは成長過程でCO₂を吸収するからカーボンニュートラルとみなし、水素は燃焼で水しか出ないからゼロとしてる。ただし、燃料の製造や輸送でエネルギーを使えば、間接的にCO₂は出るんだ。CAEでLCA(ライフサイクル評価)をする時は、このツールの結果をベースに、そういう上流工程の排出も足し算するんだよ。まずは「水素」を選んで効率を変えてみ。燃料消費量は増えてもCO₂/kWhはゼロのままなのがわかるはずだ。

よくある質問

LHV(低位発熱量)は燃焼で生じた水蒸気の潜熱を含まない値で、HHV(高位発熱量)は潜熱を含みます。内燃機関やガスタービンでは排気中に水蒸気として逃げるためLHVが一般的です。ボイラーで排ガスを凝縮させる場合はHHVが適します。ツールでは両方を切り替えて計算できます。
ツール内の燃料データベースに各燃料のCO₂排出原単位(kg-CO₂/MJ)が標準値として登録されています。燃料種別を選択すると自動で反映されます。必要に応じてユーザーがカスタム値を入力することも可能です。
SFCの単位はg/kWhで、1kWhの出力を得るのに必要な燃料グラム数を示します。値が小さいほど少ない燃料で同じ仕事ができるため、熱効率が高いことを意味します。例えばディーゼル機関では200g/kWh前後が標準的です。
左側から燃料の熱入力(Qin)が流入し、中央で有効出力(Wnet)と損失(排熱・放熱など)に分岐します。各矢印の幅がエネルギー量の比率を視覚的に示しており、損失が大きいほど効率改善の余地がある箇所が一目で分かります。

実世界での応用

ガスタービン・発電プラントの設計・評価:燃料を「天然ガス」に設定し、システムを「コンバインドサイクル」、効率を60%前後に設定することで、最新プラントの性能ベンチマークが可能です。CAEツール(サイクル解析ソフト)での計算結果と、このツールによる簡易計算を相互検証する際に活用されます。

船舶・大型エンジンの燃費計算:燃料を「重油(ディーゼル)」に切り替え、効率を50%程度に設定します。燃料消費量から年間運転コストや、SFCから航続距離を逆算するなど、経済性評価の初期検討に広く用いられます。

エネルギー転換・脱炭素戦略の検討:既存の石炭火力(効率~40%)から、アンモニア混焼や水素専焼(効率はシステムにより変動)に切り替えた場合の、CO₂排出量削減効果を瞬時に比較できます。政策や投資判断の基礎データ作成に役立ちます。

エンジンシミュレーションの前処理:GT-Powerなどの1次元エンジンシミュレーションを行う際、目標出力と想定効率から必要な燃料消費量を逆算し、シミュレーションの初期条件(噴射量など)を設定するために使われます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特にCAE初心者が陥りがちなポイントがいくつかあるんだ。まず一つ目は、「燃料の種類を変えても、熱効率のスライダーの意味は変わらない」という点。例えば、天然ガスで「効率60%」と水素で「効率60%」を比べた時、出てくるSFC(比燃料消費率)の数値は全く異なる。これは、同じ「効率」でも、燃料そのもののLHV(単位質量あたりのエネルギー)が違うからだ。効率は「投入エネルギーに対する回収エネルギーの割合」だから、元のエネルギーが大きい燃料は、少ない質量で済むわけだよ。

二つ目は、CO₂排出量計算の「システム境界」について。ツールの結果は「燃焼現場での直接排出」だけだ。例えば、電気分解で作った「グリーン水素」を選んでもCO₂/kWhはゼロと表示される。しかし、その電気を石炭火力で作っていたら、実はトータルではCO₂を排出している。CAEで環境評価をする時は、このツールの結果を「一部」として、燃料の製造から輸送、廃棄までの全ライフサイクルを考える「LCA」の考え方が必要になる。

三つ目は、HHVとLHVの選択ミス。既存解説にある通り、システム種別で自動選択されるが、自分でデータを入力する場合は要注意。ボイラーなど排熱回収型のシステムでLHVを使うと、実際より良い効率に見積もってしまう。逆に、ガスタービンの設計計算にHHVを使ってしまうと、必要な燃料量を過大評価する恐れがある。常に「排ガス中の水蒸気は熱として回収できるか?」を自問しよう。