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解析ツール

磁性材料・透磁率・B-H特性計算機

軟鉄・珪素鋼・フェライト・パーマロイのB-Hヒステリシスループ、コア損失(Steinmetz式)、透磁率μr-H曲線をリアルタイム計算・可視化。

パラメータ設定
材料選択
ピーク磁界 H_max [A/m]
A/m
温度 T [°C]
°C
周波数
計算結果
飽和 Bs [T]
残留磁化 Br [T]
保磁力 Hc [A/m]
最大μr
コア損失 [W/kg]
B-H ヒステリシスループ
理論・主要公式

コア損失(単位体積あたり):

$$P_{core}= k_h f B^\alpha + k_e f^2 B^2$$

第1項:ヒステリシス損失($k_h, \alpha$は材料定数)

第2項:渦電流損失($k_e$は抵抗率・板厚に依存)

透磁率:$\mu_r = B / (\mu_0 H)$, $\mu_0 = 4\pi \times 10^{-7}$ H/m

透磁率 μr vs H

磁性材料・B-H特性とは

🙋
このシミュレーターで「軟鉄」や「珪素鋼」って選べますけど、何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、磁石にくっつきやすさ(透磁率)と、磁化の「無駄」(ヒステリシス損失)が大きく異なるんだ。例えば、上の「材料」プルダウンで「珪素鋼」を選んで、右のグラフを見てみ。磁界Hが増えると磁束密度Bが大きく上がる(透磁率が高い)けど、磁界をゼロに戻してもBが少し残る(残留磁束)だろ?これがエネルギーの無駄、つまり損失になる。
🙋
え、損失?「コア損失」ってグラフで出てくる数値と関係あるんですか?
🎓
その通り!コア損失は主に「ヒステリシス損失」と「渦電流損失」の足し算だ。シミュレーターの「周波数」スライダーを50Hzから10kHzに上げてみて。どの材料でも損失が跳ね上がるのが分かる。特に軟鉄はひどいね。これが高周波で使えない理由で、実務ではスイッチング電源のコアにフェライトを使うんだ。
🙋
「透磁率μr-H曲線」ってグラフが一番右にありますけど、これが一番大事なんですか?
🎓
設計では特に重要だよ。透磁率は「磁束の通りやすさ」で、これが高いと小さな電流で強い磁界を作れる。でも、パーマロイを選んで「ピーク磁界 H_max」を大きくしてみて。最初はμrが5万もあったのが、ある点からガクンと下がるだろ?これが磁気飽和。トランスを小さく設計したいけど、飽和すると急に性能が落ちるから、この曲線を見ながら安全マージンを取るのがCAE設計のコツさ。

よくある質問

材料選択ドロップダウンで軟鉄・珪素鋼・フェライト・パーマロイを切り替えるか、飽和磁束密度Bsや保磁力Hcなどのパラメータスライダーを調整してください。リアルタイムでループ形状と透磁率曲線が更新されます。
Steinmetz式は一般的に50Hz~数kHzの実用周波数範囲で精度が高いですが、材料や磁束密度振幅によって誤差が生じます。高周波や高磁束密度ではヒステリシス損失と渦電流損失の比率が変わるため、参考値としてご利用ください。
B-Hループが飽和領域まで描画されていない可能性があります。Hの最大値を大きくするか、材料パラメータでBsを高めに設定してください。透磁率はB-H曲線の傾きから計算されるため、線形領域と飽和領域の両方が必要です。
理想的な材料パラメータを用いた理論値のため、実機では巻線の浮遊容量や温度依存性、加工歪みなどにより10~30%程度の誤差が生じることがあります。特に高周波や大振幅では実測との乖離が大きくなるため、設計の目安としてご使用ください。

実世界での応用

電力トランス(商用周波数):50/60Hzの送配電用トランスには、ヒステリシス損失が比較的少なく、高透磁率の珪素鋼板(方向性珪素鋼板)が標準です。薄板を積層することで渦電流損失を低減しています。

スイッチング電源トランス(高周波):数kHz〜数MHzで動作する電源回路では、渦電流損失が極めて小さいフェライトコアが必須です。シミュレーターで周波数を上げると、フェライトの優位性が明確に確認できます。

精密計測・磁気シールド:微小な磁界を検出する電流センサーや、外部磁界を遮断するシールドには、初期透磁率が非常に高く、保磁力の小さいパーマロイなどの高透磁率材料が用いられます。

モーター・発電機の鉄心:回転機の鉄心には、軟鉄や無方向性珪素鋼板が使われます。CAEでは、このB-H曲線と損失特性を正確にモデル化して、効率と発熱をシミュレーションします。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特にCAE初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあるんだ。まず一つ目は「カタログ値の透磁率を鵜呑みにしない」こと。例えば、パーマロイの初期透磁率が「80,000」と書いてあっても、それはごく微弱な磁界での話。実際の設計磁束密度、例えば0.5Tで使うと、ツールの「透磁率μr-H曲線」で見られるように、透磁率は大きく低下している。カタログ値だけで「高透磁率だから大丈夫」と判断すると、想定よりはるかに大きな励磁電流が必要になってしまう。

二つ目は「周波数と損失の関係は単純ではない」という点。Steinmetzの式 $P_{core}= k_h f B^\alpha + k_e f^2 B^2$ を見ると、渦電流損は周波数の2乗で増えるから、高周波ではフェライト一択と思いがちだ。しかし、実際のフェライトも数MHzを超えると、磁界の変化が速すぎて磁化が追いつかなくなる「残留損失」という別の成分が無視できなくなる。このツールはあくまで中低周波域での傾向を捉えるものと理解しておこう。

三つ目は「温度の影響を見逃すな」だ。ツールで温度を上げてみると、フェライトの飽和磁束密度 $B_s$ が下がることがわかる。例えば、スイッチング電源のコアが発熱して100℃に達すると、室温での設計値では飽和して突入電流が流れ、最悪は破損する。逆に、珪素鋼の保磁力は温度上昇で下がり、ヒステリシス損失が減少する場合もある。シミュレーションは常温が前提であることを常に念頭に置き、実機の熱設計とセットで考える癖をつけよう。