南向きガラスの内側に厚い蓄熱壁。日射が壁を温め、上下のベントで対流(thermosyphon)が起き、夜間は壁から室内へ放熱します。
$$Q_{net} = G \cdot A \cdot \eta \cdot \alpha - U_g A (T_i - T_o),\quad \tau = \frac{\rho c_p V}{hA}$$
G:日射 (W/m²)、η:ガラス透過率、α:壁の日射吸収率、U_g:ガラス熱貫流率 (W/m²K)、τ:壁の時間定数(熱マス/対流熱伝達)。
南向きの厚い蓄熱壁と二重ガラスで太陽の熱をため込み、夜間にゆっくり室内へ放熱する Trombe ウォールの暖房性能を試算します。壁材・壁厚・ガラス・空気層・日射・外気温を変えると、純暖房量と太陽熱貢献率(Solar Fraction)が即座に更新されます。
南向きガラスの内側に厚い蓄熱壁。日射が壁を温め、上下のベントで対流(thermosyphon)が起き、夜間は壁から室内へ放熱します。
$$Q_{net} = G \cdot A \cdot \eta \cdot \alpha - U_g A (T_i - T_o),\quad \tau = \frac{\rho c_p V}{hA}$$
G:日射 (W/m²)、η:ガラス透過率、α:壁の日射吸収率、U_g:ガラス熱貫流率 (W/m²K)、τ:壁の時間定数(熱マス/対流熱伝達)。
戸建住宅の暖房補助:南向き 20〜40 m² の Trombe ウォールを設置することで、寒冷地(外気 0°C 程度)でも 1000〜2000 W 程度の室内供給熱が得られ、典型的な高断熱住宅の暖房負荷の 30〜60% をカバーできます。本ツールで自宅の南面壁面積と外気温を入れると、ヒートポンプ電力の削減量と CO2 削減効果を試算できます。
Passivhaus・LEED 認証住宅:欧米の Passivhaus 規格や米国 LEED v4.1 では Trombe ウォールがエネルギー削減の有力手段として評価対象になっています。三層 Low-E ガラス+セレクティブ表面(low-e coating)の壁を組み合わせると、夜間損失をほぼゼロにできるため、超高断熱住宅と相性が良好です。
伝統建築への現代的応用:China loess plateau の窰洞(やおどん)や米 Southwest の Anasazi pueblo(西暦 1000 年頃)は、Trombe の名前が付く前から同じ「南向き厚い土壁+日射取得」原理を使ってきました。現代のアドベ住宅(米ニューメキシコ州、メキシコ)では本ツールのような解析で伝統素材の性能を定量化し、近代設備と組み合わせる動きがあります。
研究施設・農業用温室:米 NREL、PNNL、Sandia National Lab は 1970〜1990 年代に Trombe ウォールの広範な実測研究を行い、Solar Air Heater(Sankey Trombe)など多くの改良型を生み出しました。農業用温室では夜間の保温源として水タンク式 Trombe ウォールが普及しており、燃料費を 40〜70% 削減できます。
最大の落とし穴は「夏期のオーバーヒート」です。Trombe ウォールは冬に最適化されていますが、夏も同じように日射を捕捉してしまうため、何も対策しないと室内が 35°C 以上になることがあります。実際の設計では、夏季は壁の前に外付けのオーニング(庇)や巻き上げ式シェードを設置し、上下ベントを閉じて対流を止めるか、ベントを建物外に向けてバイパスさせます。日本の関東以南では特に対策が必須で、本ツールの試算は冬期前提なので注意してください。
次に、「壁厚さえ厚くすれば良い」という誤解。壁厚 60 cm のコンクリートでは時間遅れが 24 時間超になり、せっかくの日射が壁内部に閉じ込められて室内に届きません。最適厚は 25〜40 cm で、これを超えると性能が頭打ち、もしくは低下します。本ツールで壁厚を 60 cm にして純暖房量を確認すると、必ずしも改善しないことが分かります。蓄熱材の熱拡散率 α=k/(ρcp) によって最適厚は変わり、水タンクなら 15〜20 cm でも十分です。
最後に、「太陽熱貢献率 100% を狙わない」こと。Solar Fraction を 80% 以上にしようとすると、過剰な壁面積(建物南面の大半)と巨大な蓄熱量が必要になり、コストと建築自由度が大きく犠牲になります。実務的には Solar Fraction 30〜60% を狙い、残りはヒートポンプや高効率ガスで補うハイブリッド設計がコストパフォーマンス最良です。曇天や寒波の連続日にはバックアップ熱源が必ず必要になります。
南向きコンクリート蓄熱壁(密度2400kg/m³、比熱0.92kJ/kg・K、厚さ25cm、面積10m²、空気層80mm)に、冬至時の平均日射量600W/m²が12時間入射する場合:壁熱容量は5.5MJ/Kとなり、日射取得は72kWh/日に達します。ガラス面の放射率0.1と想定したとき、ガラス損失は約180W、室内供給熱は約450W、24時間の純暖房エネルギーは約10.8kWh/日、太陽熱貢献率は約65%と評価されます。