ポンプ選定・運転点計算 戻る
流体解析

ポンプ選定・システム曲線・運転点

遠心ポンプのQ-H特性とシステム曲線の交点をリアルタイム計算。効率曲線・軸動力・並列/直列運転もシミュレート。

パラメータ設定
ポンプQ-H曲線(3点入力)
効率曲線η(Q)(3点入力)
システム曲線
静揚程 H_s
m
配管抵抗係数 R
H_sys = H_s + R·Q² [m, m³/h]
流体密度 ρ (kg/m³)
kg/m³
水:1000 / 海水:1025 / 軽油:850
複数台運転
計算結果
運転流量 Q_op [m³/h]
運転揚程 H_op [m]
運転点効率 η_op [%]
水力動力 P_hyd [kW]
軸動力 P_shaft [kW]
NPSH_r 概算 [m]
ポンプ
理論・主要公式

ポンプQ-H曲線(2次近似):$H_p(Q) = aQ^2 + bQ + c$

システム曲線:$H_{sys}(Q) = H_s + R \cdot Q^2$

運転点:$H_p(Q_{op}) = H_{sys}(Q_{op})$

$$P_{hyd}= \rho g Q H \quad [\text{W}]$$ $$P_{shaft}= \frac{P_{hyd}}{\eta}$$

アフィニティ則:$\dfrac{Q_2}{Q_1}=\dfrac{n_2}{n_1}$,$\dfrac{H_2}{H_1}=\left(\dfrac{n_2}{n_1}\right)^2$,$\dfrac{P_2}{P_1}=\left(\dfrac{n_2}{n_1}\right)^3$

ポンプ選定・システム曲線・運転点とは

🙋
「ポンプの運転点」って何ですか?グラフの交点を見るだけでいいんですか?
🎓
大まかに言うと、ポンプが「実際にどれだけの水を、どれだけの高さまで送れるか」を決める大事な点だよ。このシミュレーターで、左の「静揚程 H_s」や「配管抵抗係数 R」のスライダーを動かしてみて。システム曲線が上下に動いたり、傾きが変わったりするでしょ?その結果、ポンプ曲線との交点(運転点)が変わる。これが流量と揚程の実働値なんだ。
🙋
え、じゃあポンプのカタログ性能そのままじゃ使えないんですか?例えば、もっと遠くのタンクに送りたい時は?
🎓
そうなんだよ。カタログ値はそのポンプ単体の能力。実際は配管の長さやバルブで抵抗が生まれるから、性能は落ちる。例えば「静揚程」を大きくすると、交点は左上に移動して流量が減る。現場で「思ったより水が出ない」と困るのは、このシステム曲線を適切に見積もってないことが多いね。シミュレーターで「R」を大きくしてみると、抵抗が増えた時の影響が一目瞭然だ。
🙋
なるほど!で、グラフの下にある「効率」や「軸動力」も運転点で変わるんですか?並列運転って何が変わるの?
🎓
良いところに気が付いたね。運転点が決まると、その時のポンプ効率と必要な動力が決まる。省エネ設計では、運転点を最高効率点に近づけるのが目標だ。右上のタブで「並列運転」に切り替えてみて。同じポンプを2台並べると、同じ揚程で送れる流量の能力が上がるけど、実際の運転点はシステム曲線との新しい交点で決まる。特に配管抵抗が大きいと、流量は2倍にはならないんだ。操作して確かめてみよう!

よくある質問

カタログに記載された3点以上の流量と揚程のデータ(例:締切、最高効率点、最大流量点)から、2次関数の最小二乗法で近似します。このツールでは、代表的なポンプ型式の係数がプリセットされている場合もあります。
R = (λL/d + Σζ) / (2gA²) で計算します。λは摩擦係数、Lは配管長、dは管径、ζはバルブや継手の損失係数、Aは配管断面積、gは重力加速度です。概算値として、実績値から逆算したRを入力することも可能です。
並列運転では流量増加、直列運転では揚程増加の効果を確認できます。例えば、既存ポンプでは流量不足の場合、並列追加で必要流量が達成できるか、直列で高揚程が必要な配管に対応できるかを事前検証できます。
過小流量域ではキャビテーションや軸受寿命低下、過大流量域ではモーター過負荷や効率低下が生じます。ツールで表示される効率曲線と軸動力を確認し、バルブ調整やポンプのトリミング、台数制御で運転点を適正範囲に調整してください。

実世界での応用

ビル空調・給排水システム:冷却水や冷水を各階に循環させるポンプの選定に使用されます。システム曲線を正確に見積もることで、過剰な動力のポンプを選定する「オーバースペック」を防ぎ、ランニングコストを削減します。

工場のプロセスライン:化学薬品や原料をタンク間で移送するポンプシステムの設計に応用されます。液の密度(ρ)が水と異なる場合の軸動力計算や、並列運転による冗長化設計の検討にシミュレーターが活用されます。

CAE(CFD)解析との連携:ANSYS Fluent等でポンプ内部の詳細な流れ解析を行う前に、このツールで大まかな運転点と性能を予測します。これにより、解析条件の設定や、キャビテーション発生の目安となるNPSH(有効吸込ヘッド)の評価が効率化されます。

省エネ制御(インバータ運転)の設計:ポンプの回転数を変える「アフィニティ則」を用いて、需要変動に応じた最適運転をシミュレーションします。定流量制御から省エネ性の高い定圧制御など、制御方式の比較検討に役立ちます。

よくある誤解と注意点

まず、「静揚程H_sは単なる高低差」と思い込むことです。実際には、吐出側と吸込側のタンクの液面圧力差も含みます。例えば、密閉された圧力タンク(0.2MPaG)から大気圧タンクへ送る場合、液面高さが同じでも、圧力差を水頭に換算した約20mが静揚程に加算されます。これを忘れると、運転点が大きくずれ、ポンプが要求性能を満たせません。

次に、配管抵抗係数Rを過小評価しがちな点です。直管の摩擦損失だけ計算して満足していませんか?エルボ、バルブ、ストレーナーなどの局部抵抗は、直管換算長で見積もると想像以上に大きくなります。例えば、口径100mmのゲートバルブ全開の抵抗は、同じ口径の直管約7m分に相当します。シミュレータでRを少しずつ増やしてみると、運転点の流量が敏感に減るのがわかります。実設計では、局部抵抗をしっかり数え上げることが肝心です。

最後に、「並列運転で流量は単純に台数倍」という幻想です。確かにポンプ能力は上がりますが、実際の流量増加はシステム曲線の形状に大きく依存します。配管抵抗が大きいシステム(システム曲線が急峻)では、2台並列にしても流量は1.5倍程度にしかならないことが多いです。このツールで「並列運転」モードを使い、Rの値を大きくしながら流量の増え方を確認してみてください。ポンプを増設する前に、必ずシステム曲線との関係を確認する必要があります。