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電磁気・光学

PWMモータ制御計算機

デューティ比・周波数・平均電圧・リップル電流・スイッチング損失・LCフィルタ設計をリアルタイム計算。

PWMパラメータ
入力電圧 V_in
V
デューティ比 D
%
スイッチング周波数
kHz
負荷電流 I_out
A
スイッチ特性
MOSFET R_DS(on)
スイッチング時間 t_r+t_f
ns
フィルタ設計
インダクタンス L
μH
フィルタキャパシタ C
μF
計算結果
平均出力電圧 (V)
リップル電流 ΔIL (A)
推定効率 (%)
スイッチング損失 (W)
導通損失 (W)
フィルタ f_c (Hz)
PWM波形
項目単位
平均出力電圧V
出力電力W
リップル電流 ΔILA
リップル率%
スイッチング損失W
導通損失W
全損失W
推定効率%
フィルタカットオフ f_cHz
f_sw / f_c 比

エンジニア会話 — 「周波数を上げると何が良くなるの?」

🙋 「PWMの周波数って高い方がいいって聞くんですけど、なんでですか?」

🎓 「周波数が高いとスイッチング周期が短くなるから、同じリップル電流でもインダクタを小さくできるんだ。つまり回路を小型化できる。電気自動車のインバータが20〜100kHzを使うのもそのため。」

🙋 「じゃあ無限に高くすればいいのではないですか?」

🎓 「スイッチング損失は周波数に比例して増えるんだよ。MOSFETがON/OFFするたびに電圧と電流が重なる瞬間に熱が出る。100kHzで数Wの損失が、1MHzにしたら10倍の損失になる。だから効率と小型化のトレードオフで最適周波数を決める。」

🙋 「SiCやGaNデバイスって最近よく聞きますが、それとどう関係するんですか?」

🎓 「SiC・GaNはスイッチング時間(t_r, t_f)がSiMOSFETの1/10以下なんだ。だからスイッチング損失をほぼゼロに近づけられる。EVのオンボードチャージャーが200〜400kHzで動けるのはSiCのおかげだよ。」

理論・主要公式

平均電圧・リップル電流:

$$V_{\text{avg}}= D \cdot V_{\text{in}}, \quad \Delta I_L = \frac{(V_{\text{in}}- V_{\text{avg}}) \cdot D}{L \cdot f_{\text{sw}}}$$

スイッチング損失・導通損失:

$$P_{\text{sw}}= \frac{1}{2}V_{\text{in}}\cdot I_{\text{out}}\cdot (t_r + t_f) \cdot f_{\text{sw}}$$ $$P_{\text{con}}= I_{\text{out}}^2 \cdot R_{\text{DS(on)}}\cdot D$$

LCフィルタカットオフ:

$$f_c = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}$$

PWMモータ制御とは

🙋
PWM制御って何ですか?モーターの速度を変えるのに、電圧を単純に下げるのと何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、スイッチのオンとオフを高速で切り替えて、平均的な電力を制御する方法だよ。例えば、12Vの電池で6Vの平均電圧を得たい時、50%の時間だけオンにすれば実現できる。このツールの「入力電圧」と「デューティ比」のスライダーを動かすと、すぐに「平均電圧」が計算されるから確認してみて。
🙋
え、そうなんですか!でも、オンオフを繰り返すとモーターの動きがカクカクしませんか?
🎓
良いところに気づいたね。そこで重要になるのが「インダクタ」と「スイッチング周波数」だ。インダクタが電流の急激な変化を緩和し、スイッチング周波数が十分高ければ人間やモーターは平均値しか感じない。ツールで「インダクタンス」を小さくすると「リップル電流」がどう変わるか確認してみよう。
🙋
なるほど!でも、スイッチング周波数を高くしすぎると、今度は「スイッチング損失」が増えるって書いてありますね。どうバランスを取ればいいんですか?
🎓
実務で一番頭を悩ませるポイントだよ。高周波にすると部品は小さくできるが、損失と発熱が増える。逆に低すぎるとリップルが大きくなる。設計の目安は、リップル率(ΔI_L/I_out)を20〜40%に収めつつ、損失を許容範囲内に抑えること。ツールで「スイッチング周波数」と「MOSFET R_DS(on)」をいじると、導通損失とスイッチング損失のトレードオフが体感できるよ。

よくある質問

入力電圧(V_in)が未設定または0になっていないか確認してください。また、デューティ比は0~1の範囲で設定する必要があります。数式 V_avg = D × V_in に従い、V_inが正しければ自動反映されます。
インダクタンスLを大きくするか、スイッチング周波数f_swを高く設定してください。ただし、Lを大きくすると部品サイズやコストが増加し、f_swを上げるとスイッチング損失が増えるため、トレードオフを考慮して調整しましょう。
計算されたカットオフ周波数とリップル低減率を基に、負荷の要求仕様(出力リップル電圧の許容値)を満たすLとCの組み合わせを選定します。実装時はコンデンサのESRも考慮してください。
スイッチング周波数が高すぎるか、スイッチ素子の立ち上がり/立ち下がり時間が長く設定されていないか確認してください。また、入力電圧や電流が実機想定より大きい場合も損失が増加します。

実世界での応用

電気自動車・電動キックボードのモーター制御:バッテリーの電圧をPWMで精密に制御し、モーターのトルクと回転数を調整します。効率化のためにスイッチング周波数とインダクタの最適設計が不可欠です。

ロボットアームのサーボ制御:位置や速度を正確に制御するために、マイクロ秒単位でデューティ比を変化させます。リップル電流を小さく抑えて振動を発生させないことが重要です。

PCのCPU電源回路(VRM):マザーボード上で、12Vの入力からCPUが必要な1V前後の低電圧を高効率で生成します。負荷変動に対する応答性とリップル抑制が求められる高度な応用例です。

LED照明の調光:LEDの明るさをデューティ比で連続的に変化させます。人の目にはちらつきが見えない十分高い周波数(数百Hz以上)が使われ、フィルタが簡素化できる場合もあります。

よくある誤解と注意点

まず、「デューティ比だけで全てが決まる」という誤解があります。確かに平均電圧は $V_{\text{avg}}= D \cdot V_{\text{in}}$ で決まりますが、これだけで回路を組むと痛い目を見ます。例えば、12Vから5Vを取る場合、デューティ比は約42%ですが、ここでインダクタンスを適当に1µHと小さく選ぶと、リップル電流が数A単位で膨れ上がり、モーターが唸ったり、コンデンサが発熱で壊れたりします。必ずツールでリップル電流を確認し、定格電流の20〜30%以内に収めるのが最初の設計ルールです。

次に、スイッチング周波数の「魔法の数字」を探そうとする姿勢。20kHz(可聴域以上)や100kHz(部品小型化)など、よく聞く値がありますが、これらはあくまで出発点。実は、あなたが使うMOSFETのスイッチング速度 $t_r + t_f$ が大きく影響します。例えば、$t_r + t_f = 50ns$ の高速MOSFETなら500kHzでも問題ないかもしれませんが、300nsの安価なMOSFETでは100kHzでさえ $P_{\text{sw}}$ が大きく、放熱設計が大変になります。ツールで周波数を変えながら、導通損失とスイッチング損失の合計が最小になる「スイートスポット」を探すのがプロのやり方です。

最後に、シミュレーションと実機の温度差。ツールの計算は理想的です。しかし実回路では、配線の寄生インダクタンスやMOSFETの寄生容量が損失を増加させます。計算上は効率95%でも、実測で85%なんてことはザラ。特に高周波ではこの差が顕著。机上設計が終わったら、必ず実機で入出力電圧・電流とFETの温度を計測し、計算値と照合する習慣をつけましょう。