一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。
上からセービンの残響時間、部屋の固有周波数、シュレーダー遷移周波数です。
部屋の寸法と内装材料の吸音率を設定し、セービン式とアイリング式で6オクターブバンド(125〜4000Hz)の残響時間RT60を計算します。コンサートホール・教室・スタジオの目標値を満たすかどうかを確認できます。
一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。
上からセービンの残響時間、部屋の固有周波数、シュレーダー遷移周波数です。
基礎となるセービン式は、拡散音場を仮定し、部屋の総容積と面積で重み付けした平均吸音率からRT60を計算します。
$$T_{60}= \frac{0.161\,V}{\sum S_i \alpha_i}$$ここで $V$ は部屋の容積(m³)、$S_i$ は面 $i$ の面積(m²)、$\alpha_i$ はその面の吸音率(0〜1の値)です。定数0.161は20℃の空気中の音速に由来します。
アイリング式は統計的に補正した式で、吸音の大きい部屋では「多数の弱い反射」という仮定が崩れることを考慮します。平均吸音率 $\bar{\alpha}$ を用います。
$$T_{60}= \frac{0.161\,V}{-S\ln(1-\bar{\alpha})}$$ここで $S$ は部屋の総表面積、$\bar{\alpha}$ は平均吸音率($\sum S_i \alpha_i / S$)です。$-\ln(1-\bar{\alpha})$ の項が高吸音を補正します。$\bar{\alpha}$ が小さいとき、アイリング式とセービン式はほぼ同じ結果になります。
コンサートホール・オペラハウス:これらの空間では、音を豊かに溶け合わせて包み込むような響きを得るため、比較的長く温かみのある残響(中域で通常1.8〜2.2秒)を狙います。設計者は容積・形状と、反射面・吸音面の戦略的な配置のバランスを取るためにこうした計算を用います。
教室・講義室:言葉の明瞭度が最優先です。RT60の目標は0.6〜0.8秒が一般的です。残響が多すぎると教師の言葉が重なり、聞き取りにくくなります。吸音天井タイルやカーペットが、これらの式でモデル化できる標準的な対策です。
録音スタジオ・ボーカルブース:部屋の色付けなしに楽器や声のドライで直接的な音を収録するため、非常に短いRT60(0.3〜0.5秒)を要する「デッド」な部屋です。ここではバストラップや広帯域パネルによる極めて高い吸音のため、アイリング式の方が正確なことが多くなります。
ホームシアター・リスニングルーム:映画の台詞の明瞭さと、音楽のタイトで正確な低音を両立する、バランスの取れたRT60(多くは0.4〜0.6秒前後)が目標です。シミュレーションは、吸音パネルや拡散体をどこに置いて特定の帯域を制御するかの判断に役立ちます。これはツールのオクターブバンド表示で探索できます。
このシミュレーターを使い始めるにあたり、いくつか押さえておきたい点があります。まず「セービン式は万能な解ではない」ということです。本ツールの基礎となる式は、吸音が均一で、音のエネルギーが部屋の中で完全に拡散(一様に分布)している理想状態を仮定しています。実際の部屋には家具や大きな開口があり、吸音材も偏って配置されます。例えば会議室の一面が吸音パネルで、向かいの面がガラスだと、計算値と実際の聞こえ方は食い違うでしょう。あくまで「第一近似」として使ってください。
次に、「シュレーダー周波数より上ならすべて安全とは限らない」という点です。確かにシュレーダー周波数より上ではモードが密になり音場は滑らかになりがちです。しかし中高域の反射パターンが悪いと、特定の座席でのこもりや、過度にドライで耳障りな印象といった問題が起こり得ます。RT60はエネルギー減衰率の平均値にすぎず、音の「質」までは教えてくれません。
最後に、「吸音率は周波数で大きく変わる」ことを忘れないでください。本ツールは材料ごとに単一の値を使いますが、実際のカーペットは高域はよく吸う一方、低域はほとんど吸いません。低域のブーミングの原因は、低周波吸音の不足にあることが多いのです。全帯域でRT60目標0.5秒を狙うなら、低域用の吸音材(膜・板共振型やヘルムホルツ共鳴器)を別途検討する必要があるでしょう。