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制御工学

根軌跡法・制御系設計ツール

開ループ極・零点を設定してゲインKを変化させたときのs平面上の根軌跡をリアルタイム描画。漸近線・安定余裕・ステップ応答を自動計算。

系の設定
プリセット
開ループ極 (最大4個)
開ループ零点 (最大3個)
ゲイン K
根軌跡アニメーション — ゲインKと閉ループ極の運動
K = 0.0 安定
支配極
制振比 ζ
ωn [rad/s]
オーバーシュート %
限界ゲイン K_crit
Kを上げると閉ループ極(●)が開ループ極(×)から軌跡に沿って移動。虚軸を越えて右半平面に入ると不安定。下のステップ応答が緩慢→俊敏→振動的→発散へ連動して変化します。
計算結果
制振比 ζ
固有振動数 ωn [rad/s]
オーバーシュート [%]
整定時間 Ts [s]
限界ゲイン K_crit
支配極 (実部)
根軌跡
理論・主要公式

始点: K=0 → 開ループ極

終点: K→∞ → 開ループ零点(残りは無限遠)

漸近線角度: $(2k+1) \cdot \dfrac{180°}{n-m}$, $k=0,1,...,n-m-1$

重心: $\sigma_a = \dfrac{\sum p_i - \sum z_i}{n-m}$

安定条件: 全ての閉ループ極が左半平面に存在

根軌跡法・制御系設計ツールとは

🙋
このシミュレーターで「根軌跡」を見るって、具体的に何がわかるんですか?
🎓
大まかに言うと、制御ゲイン$K$を上げた時に、システムが安定するか、振動するか、発散するかが一目でわかるんだ。例えば、上のスライダーで$K$を0から大きくしていくと、画面上の「×」印(閉ループ極)が動くよね。これが実軸の左側にあれば安定、右側に移動すると不安定になるんだよ。
🙋
へー!じゃあ、最初から極や零点を自分で配置できるのはなぜですか?
🎓
実務では、モータやセンサなど、制御したい対象(プラント)の特性が極・零点で表されるからだよ。例えば、モータの慣性と摩擦をモデル化すると、原点に極ができる。このツールで極の位置を変えてみると、軌跡の出発点が変わり、安定になりやすい$K$の範囲がどう変わるか、すぐに試せるんだ。
🙋
画面に表示される「漸近線」や「分岐点」って、設計する時にどう使うんですか?
🎓
良い質問だね!漸近線は$K$が非常に大きい時に極が向かう方向を示す。これを見れば、高ゲインにした時に極が不安定領域(右半面)に入るか予測できる。分岐点は軌跡が実軸から離れる点で、ここでの$K$を調節すると振動モードが現れるんだ。シミュレーターで零点を一個追加してみてごらん、漸近線の角度と本数が変わるのがわかるよ。

よくある質問

根軌跡上をクリックすると、その点に対応するゲインKの値と閉ループ極の座標が自動表示されます。また、同時にそのゲインにおけるステップ応答が更新されるため、過渡特性と安定性を直感的に評価できます。
漸近線は、ゲインKが大きくなると根軌跡が近づく直線の方向を示します。角度は極と零点の数から決まり、重心(実軸上の交点)は軌跡の中心位置を表します。これらを確認することで、高ゲイン時のシステムの安定傾向を予測できます。
安定余裕は、根軌跡が虚軸(s = jω)と交差する点のゲインKと周波数から自動計算されます。画面上の「安定余裕」欄にゲイン余裕と位相余裕が数値で表示され、同時にその点でのステップ応答も確認できます。
画面上の「極追加」「零点追加」ボタンで複素平面上をクリックすると、その位置に極または零点が追加されます。既存の極・零点はドラッグで移動可能で、右クリックまたは削除ボタンで削除できます。変更は即座に根軌跡に反映されます。

実世界での応用

サーボモータ制御:位置決め精度と応答速度を両立させるために、根軌跡を用いて最適な比例ゲイン$K_p$の範囲を決定します。極が複素平面の左半面で、かつ適度な減衰比を持つ領域を根軌跡から探し出します。

ロボットアームの振動抑制:アームの構造的な柔らかさ(弾性)は複素共役極としてモデル化されます。根軌跡法で、この振動モードを十分に減衰させながら、剛体モードの応答も速くするゲイン値を視覚的に選択できます。

自動車のアクティブサスペンション:乗り心地(車体振動)と接地性(タイヤの動き)はトレードオフの関係にあります。零点と極の配置を変えた複数のコントローラ案を、根軌跡で比較し、最適な性能バランスを与える設計を素早く選定します。

CAE連携による詳細設計:機械系の制御設計では、まずこのようなツールで根軌跡法を用いて大まかなゲイン範囲と安定余裕を把握します。その後、MATLAB/SimulinkやPythonのcontrolライブラリで高精度なモデルを用いたシミュレーションや周波数応答解析に進み、設計を詰めていくのが一般的なワークフローです。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるときに、いくつか気をつけてほしいポイントがあるよ。まず「極や零点を実軸上にしか置かない」というのはもったいない。実軸上の極だけだと、応答は振動しないオーバーシュートのない動きになる。でも、実務で速い応答を求めると、どうしても適度な振動(減衰振動)を許容して複素共役極を狙う必要が出てくる。例えば、極を実軸の-2と-3に置くのと、-2±2jに置くのとで、ステップ応答がどう変わるか、このツールでぜひ比べてみて。

次に、「零点はなんでも安定性を良くする」という誤解。確かに左半面の零点(安定零点)は応答を速くする効果があるけど、右半面にある不安定零点は非常に扱いが難しい。例えば、極が-1と-5で、零点を+2(右半面)に置いてKを上げていくと、軌跡がすぐに右半面に入って不安定になる様子が確認できる。これは非最小位相系と呼ばれ、実機では逆応答を示す現象の原因になるんだ。

最後に、「根軌跡が全てを教えてくれる」と思わないこと。根軌跡は過渡応答の特性(安定性、振動数、減衰度)を視覚化するのに最適だけど、外乱抑制の性能やロバスト性(モデルの誤差への強さ)までは直接わからない。実務では、根軌跡で大まかなゲインを決めた後、ボード線図を使った周波数応答解析でゲイン余裕や位相余裕を確認するのが鉄則だよ。

使い方ガイド

  1. 開ループ伝達関数の極(p1r+jp1i, p2r+jp2i, p3r+jp3i, p4r+jp4i)を複素平面の実部・虚部で入力してください。DCモータ制御ではp1=-10, p2=-5±j8が代表的です
  2. ゲイン K を0から限界値まで段階的に変化させると、根軌跡がs平面上に自動描画されます。各根の軌跡は開ループ極から零点方向へ移動します
  3. 制振比ζ、固有振動数ωn、オーバーシュート、整定時間Ts、限界ゲインK_critがリアルタイム更新されます。安定領域(左半平面)内でのゲイン設定により、目標応答特性を実現できます

具体的な計算例

産業用DC速度制御系で開ループ極をp1=-1, p2=-2, p3=-4(零点なし)に設定した場合、K=20時点で支配極は-0.82±j2.13となり、制振比ζ=0.358、固有振動数ωn=2.29 rad/s、オーバーシュート30.0%、整定時間(±2%基準)Ts=4.89秒が計算されます。限界ゲインはK_crit≈90で、この値を超えると根軌跡が右半平面に進入し不安定化します

実務での注意点

  1. 複雑な高次系(5次以上)では根軌跡の交差点が重根となり、詳細な局所安定性判定にはナイキスト線図の併用が必要です
  2. むだ時間を含む制御系(例:搬送ベルト速度制御τ=0.15秒)では根軌跡法が直接適用できず、Pade近似によるモデル化が先行条件になります
  3. 制振比ζ>0.7で設計するとオーバーシュートは5%以下に抑制できますが、整定時間が延伸するため応答速度との両立が困難になります
  4. 磁気軸受やロボット関節など複数の可制御軸がある場合、各軸の支配極が異なるため軸間干渉を考慮した多変数ゲイン設定が必須です

準拠規格・前提条件

準拠/参考:古典制御 Evans 根軌跡。特性方程式 \(1+K\,G(s)H(s)=0\)。漸近線重心 \(\sigma_a=(\sum p_i-\sum z_j)/(n-m)\)、漸近線角度 \((2k+1)\,180^\circ/(n-m)\)、角度条件 \(\angle G(s)H(s)=\pm180^\circ\)。

モデルの前提:LTI・有理伝達関数・実係数(複素極は共役対)。負帰還・比例ゲインK≥0の標準軌跡。むだ時間・非線形・離散化は対象外。

適用範囲・限界:教育・解析用。検証例 極 −1,−2,−4(零点なし)で σ_a=−2.33、漸近線角 60°/180°/300° と本ツールが一致。閉ループ極はs平面走査による近似で、高次系では数値根確定に解析ソルバ併用を推奨。