ボルト構成
作用荷重
支配モード: ボルトすべり
設計式
ボルトすべり耐力: $R_b = \mu \cdot n_f \cdot N_0 \cdot n_b$
(μ=0.45, $n_f$=1 せん断面, $N_0$=設計ボルト張力 ≈ 0.75σ_y A_e)
溶接のど厚: $a = 0.707 s$
$R_w = f_w \cdot a \cdot L_w$
($f_w$=195 N/mm²:490MPa級溶接金属相当の設計せん断強度を想定)
作用合力(簡易換算): $P = \sqrt{N^2+V^2} + M/(0.1\,n_b)$
(ここで M は等価腕長 0.1×$n_b$ m を仮定した概算。同じ合力をボルト・溶接の両方に適用しており、詳細設計では規準の相互作用式で照査してください)
摩擦接合設計とは?
🙋
「摩擦接合」とは何ですか?ボルトは締め付けて部材をつなぐだけ、という理解では不十分ですか?
🎓
摩擦接合では、高力ボルトで鋼板同士を強く締め付け、その接触面の摩擦で荷重を伝えます。ボルト軸がせん断力を直接受ける前に、すべりを防ぐのが目的です。上の「ボルト等級」をF8TからF10Tへ変えると、導入軸力が増えてすべり耐力が上がることを確認できます。
🙋
ボルト自体の強さだけで決まるわけではないのですね。摩擦が足りないとどうなりますか?
🎓
摩擦耐力を超えると、接合面がすべり、騒音・変位・疲労の原因になります。通常使用時にすべりを起こさないように設計するのが摩擦接合の考え方です。「ボルト径」を変えると、すべり耐力と溶接耐力のどちらが支配的になるかを確認できます。
🙋
ボルトは分かりました。では、このツールにある溶接耐力はどんな場面で関係しますか?
🎓
実務ではボルトと溶接を併用することがよくあります。例えば、梁を取り付けるガセットやシアタブを柱へ溶接し、そのタブに梁をボルト接合します。すみ肉溶接では有効のど厚が脚長の約0.707倍となるため、脚長と溶接長が耐力に強く効きます。
物理モデルと主要式
ボルト群のすべり耐力は、締め付けられた鋼板間で発揮できる摩擦力の合計で決まります。摩擦係数、摩擦面数、各ボルトの導入軸力、ボルト本数が主な支配因子です。
$$R_n = \mu \times n_f \times N_0 \times n_b$$
Where:
$R_n$ = 公称すべり耐力
$\mu$ = すべり係数
$n_f$ = 摩擦面数
$N_0$ = ボルト導入軸力
$n_b$ = ボルト本数
すみ肉溶接の耐力は、有効のど断面に作用するせん断応力に基づいて評価します。有効のど厚は、溶接ルートから表面までの最短距離です。
$$P_w = 0.707 \times s \times L \times F_{w}$$
Where:
$P_w$ = 溶接耐力
$s$ = 溶接脚長
$L$ = 有効溶接長
$F_{w}$ = 溶接金属の設計強度
$0.707 \times s$ が有効のど厚に相当します。
実務での使いどころ
鋼橋: 繰返し荷重や疲労が問題になる部材では、すべりを抑える摩擦接合が重要です。大型車両の通行で接合面が微小に動くことを防ぎます。
高層建物の骨組: 梁柱接合部では、溶接と高力ボルトを組み合わせて曲げ・せん断を負担する構成がよく使われます。
クレーン走行梁: 移動荷重による繰返し作用が大きいため、接合部のすべりやボルト疲労を防ぐ設計が必要です。
風力タワー: フランジ接合に多数の高力ボルトを用い、大きな曲げモーメントに対して接合面が開いたりすべったりしないよう設計します。
よくある誤解と注意点
ボルト本数を2倍にすれば単純に耐力も2倍とは限りません。ボルト群の偏心や荷重経路によって、各ボルトの負担は均等にならない場合があります。
溶接サイズの指定にも注意が必要です。脚長6mmの場合、有効のど厚は約4.2mmです。溶接長が短すぎると端部欠陥の影響が相対的に大きくなり、計算上の性能を得にくくなります。
利用率100%未満なら絶対安全というわけでもありません。このツールは主に静的耐力を扱うため、実務では疲労、施工品質、変形能力、地震時の靱性なども別途確認します。