防振マウント設計計算機 戻る
振動解析ツール

防振マウント設計計算機
伝達率・絶縁設計

装置質量と加振周波数から必要マウント剛性を逆算するシミュレーター。振動伝達率・挿入損失・静的変位をリアルタイム計算し、共振領域の危険性を周波数応答曲線で可視化します。

パラメータ設定
装置質量 m
kg
防振する機器の質量
加振周波数 f_exc
Hz
モーター回転数など(例: 1500rpm → 25Hz)
目標固有振動数 f_n
f_exc / f_n > √2 で絶縁効果あり
減衰比 ζ
天然ゴム≈0.05〜0.1、粘弾性≈0.2
マウント数 n
共振域に近い(TR > 0.5)
絶縁効果なし(共振増幅域、TR > 1)
設計目安
絶縁効果: r = f_exc/f_n > √2 ≈ 1.41
通常設計: r ≈ 3〜5(TR ≈ 5〜15%)
精密機器: r > 5(IL > 20 dB)
計算結果
伝達率 TR
無次元
挿入損失 IL
dB
固有振動数 f_n
Hz
総剛性 k_total
N/mm
マウント剛性 k_mount
N/mm
静的変位 δ_st
mm
周波数比 r
f_exc / f_n
マウント荷重
N/個
振動伝達率 TR vs 周波数比 r(対数スケール)
理論・主要公式

$$TR = \sqrt{\frac{1 + (2h r)^2}{(1-r^2)^2 + (2hr)^2}}, \quad r = \frac{\omega}{\omega_n}$$

振動伝達率:$r=\sqrt{2}$ で $TR=1$(減衰なし)、$r>\sqrt{2}$ で防振効果が出る

$$\omega_n = \sqrt{k/m}, \quad \delta_{st} = mg/k$$

固有角振動数と静的たわみ [mm]:$\omega_n = \sqrt{g/\delta_{st}}$ の関係から防振設計が可能

$$f_n = \frac{1}{2\pi}\sqrt{\frac{g}{\delta_{st}}}$$

固有振動数 [Hz]:$f_n

防振マウント設計とは

🙋
防振マウントって、機械の下に付けるゴムみたいなものですか?どうやって選べばいいんですか?
🎓
そうだね、大まかに言うと機械と床の間に挟んで振動を減らす部品だ。選ぶカギは「固有振動数」と「加振周波数」の関係だよ。このシミュレーターで、上の「装置質量」と「加振周波数」のスライダーを動かしてみて。必要なマウントの剛性がリアルタイムで計算されるのがわかるよ。
🙋
え、加振周波数を高くすると、必要な剛性も急に高くなりますね!これはどういうことですか?
🎓
良いところに気づいたね。実務では、防振したい振動の周波数(加振周波数)よりも、マウントと機械で出来る系の「固有振動数」を十分に低く設定する必要があるんだ。例えば、60Hzで動くモーターを防振したいなら、固有振動数を20Hz以下にしたい。そうすると、マウントは柔らかく(剛性低く)すればいいんだが、その分、重い機械は静的に大きく沈み込んでしまう。この「静的変位」も下に表示されてるよね。
🙋
「振動伝達率」が1より大きい領域があるって、これが共振ってやつですか?実際の設計ではどう避けるんですか?
🎓
その通り!グラフのピークが共振だ。機械の起動・停止時には必ずこの危険な周波数帯を通るから、減衰(ダンピング)を入れてピークを抑えるんだ。右の「減衰比」スライダーを0.05から0.2くらいに上げてみて。ピークが下がるのが見えるだろう?現場で多いのは、中空にオイルが入った高減衰ゴムマウントだね。シミュレーターでパラメータをいじりながら、安全マージンを持った設計を素早く探せるのが強みだよ。

よくある質問

入力された加振周波数が低すぎる可能性があります。絶縁効果を得るには、加振周波数が固有振動数の√2倍以上である必要があります。周波数が低いと必要なマウントが柔らかくなりすぎ、静的変位が許容値を超えるため、計算が成立しない場合があります。加振周波数を上げるか、装置質量を再確認してください。
共振領域(周波数比r=1付近)では振動伝達率が極大となり、入力振動が増幅されて装置に伝わります。これにより装置の故障、性能低下、騒音の悪化、周辺機器への悪影響が生じる恐れがあります。設計時は必ず共振点を避け、絶縁領域(r>√2)で運用するようマウント剛性を選定してください。
一般的な防振ゴムマウントでは減衰比ζ=0.05~0.15程度が標準です。金属ばねでは0.01以下と低くなります。減衰を高くすると共振時のピークは抑えられますが、高周波域の絶縁性能が低下するトレードオフがあります。初期値としてζ=0.1を推奨しますが、実際のマウント仕様に合わせて調整してください。
静的変位が大きいと装置の据付高さが変動し、配管や配線に負荷がかかる恐れがあります。一般的な目安として、静的変位はマウント高さの10~15%以内に抑えることが推奨されます。変位が大きい場合は、より硬いマウントを選ぶか、加振周波数を再確認し、絶縁性能と静的変位のバランスを取ってください。

実世界での応用

工作機械・プレス機械:加工時に発生する大きな振動を建屋や床に伝えないために防振マウントを設置します。特に高速プレスでは加振周波数が高いため、固有振動数を低く抑えた柔らかいマウント設計が求められます。

建築設備(空調機・冷却塔・発電機):ビルや病院内の静穏性を保つため、機械室の設備振動を構造体に伝達させない設計が必須です。起動時の共振通過を考慮した減衰比の選定が重要です。

精密測定機器・光学テーブル:外部からの微振動(交通振動など)を絶縁し、測定精度を確保します。非常に低い固有振動数(数Hz以下)を実現するため、エアスプリングなどの特殊な防振要素が用いられます。

輸送機器の電子機器マウント:自動車や航空機の車体振動からECU(電子制御ユニット)などの精密機器を保護します。広範囲の周波数と温度環境で性能が安定するマウント材料の選定が鍵になります。

よくある誤解と注意点

「マウント剛性を低くすれば振動伝達率が常に改善する」と思いがちですが、実際は低剛性にしすぎると静的変位(たわみ)が過大になり、装置が許容範囲を超えて傾いたり、配管やケーブルに過大なストレスがかかるリスクがあります。設計では伝達率だけでなく、静的変位が装置の設置条件や周辺機器との干渉を起こさない範囲に収まっているかを必ず確認してください。

「共振周波数は加振周波数より十分低ければ安全」と考えがちですが、実際には起動時や停止時に加振周波数が共振点を通過する過渡的な共振現象を見落としがちです。特にモーターやポンプなど回転機器では、定格運転時だけでなく加振周波数がゼロから立ち上がる全領域で共振が発生しないか確認する必要があります。

「伝達率が1以下なら絶縁できている」と思いがちですが、実際には伝達率が1未満でも絶縁効率(挿入損失)が十分でないケースがあります。例えば伝達率0.9では絶縁効果はわずか5%程度であり、防振設計としては不十分です。目安として伝達率0.3以下(挿入損失10dB以上)を目標に設計するよう注意が必要です。