ピーク応力: $\sigma_{peak}= 3\sigma_{rms}$
Steinberg: $D = f_n T \sum p_i / N(\sigma_i)$
PSD(パワースペクトル密度)入力から1自由度応答を計算し、RMS応力・ピーク応力・Steinberg法による疲労損傷・期待寿命をリアルタイムに求める。
車載電子機器:エンジンや走行路からのランダム振動に曝されるECU(エンジンコントロールユニット)やセンサーの寿命予測に使用されます。実車の測定データをPSD化し、筐体や基板のはんだ接続部の疲労を評価します。
航空宇宙機器:航空機の搭載機器やロケットのペイロードは、打ち上げ・飛行中の極めて過酷なランダム振動環境に耐えなければなりません。仕様としてPSDが規定され、Steinberg法による予備設計検証が広く行われています。
産業用機械・プラント配管:ポンプやコンプレッサーなどの回転機械から発生する振動が、支持構造や接続配管に伝わり、振動疲労破壊を引き起こすことがあります。振動測定データをPSD解析し、危険個所の寿命を評価します。
民生電子機器:スマートフォンやデジタルカメラなど、輸送中や使用中の偶発的衝撃・振動に対する耐久性を評価する際の参考として利用されます。特に落下時の内部回路基板の応答評価に応用されます。
この手法を使い始める際、いくつかつまずきやすいポイントがあるよ。まず「PSD入力は加速度だけど、応力に変換するcσは本当に定数?」という点。cσ(モーダル応力係数)は、線形で比例関係が成り立つ範囲でしか一定だ。例えば、大きな変形で幾何非線形性が出たり、材料が塑性域に入ったりすると、cσは変わってしまう。実務では、想定される振動レベルでFEAを走らせ、応力と加速度の関係が本当に直線的か確認するのが鉄則だ。
次に「1自由度系(1モード)の近似で本当に大丈夫?」という根本的な疑問。確かに、部品の共振周波数が広く離れていて、支配的なモードが1つだけならこれでOK。しかし、例えば2つのモードが近接している(例えば100Hzと110Hz)と、それらが相互作用してRMS応力が単純な足し算以上に大きくなる「モーダルカップリング」が起きる。ツールで計算した寿命が極端に短い/長い時は、モードの重なりを疑ってみよう。
最後に「Steinberg法の3つのバンド分けは万能ではない」こと。材料のS-N曲線の傾き(指数b)が非常に大きいor小さい場合、あるいは非ガウス性が強い振動(衝撃を多く含むなど)では、精度が落ちる。あくまで「簡便で保守的な見積もり法」と心得て、重要な設計では、より精緻なDirlik法などの確率密度関数ベースの手法と結果を比較することをお勧めする。
PCB搭載アルミフレーム(質量0.5kg、E=70GPa、断面係数Z=5cm³)が振動環境(0~500Hz帯域、最大PSD密度0.08g²/Hz@100Hz)に曝露される場合:RMS加速度2.8g→RMS応力12.5MPa、Steinberg 3σ法でピーク応力37.5MPa。S-N曲線(k=7、応力基準値σ₀=120MPa@10⁷サイクル)適用により、推定疲労損傷D=0.18、期待寿命1200時間。