ランダム振動解析ツール(PSD入力) 戻る
計算ツール

ランダム振動解析シミュレーター(PSD入力)

1自由度系(SDOF)のランダム振動応答を数値計算。PSD入力から応答スペクトルと応答RMS・3σ値をリアルタイム算出。宇宙・航空・車載振動試験の設計に活用できます。

システム・入力パラメータ
f₀ — 固有振動数
Hz
ζ — 減衰比
PSD入力形状
G₀ — PSDレベル
g²/Hz
f_min
Hz
f_max
Hz
計算結果
g
σ_rms 応答
g
3σ(99.73%)
g
Miles式近似
×
共振ピーク倍率
入力PSD・応答PSD・伝達関数(対数スケール)
理論・主要公式

$$S_y(f) = |H(f)|^2 S_x(f)$$

出力 PSD:\(H(f)\) 周波数応答関数、\(S_x\) 入力 PSD [g²/Hz]

$$\sigma_y^2 = \int_0^\infty S_y(f)\,df, \quad \sigma_{y,rms} = \sqrt{\sigma_y^2}$$

RMS応答:PSD の周波数全域積分、3\(\sigma\) 値が設計上限の目安

$$\sigma_y \approx \sqrt{\frac{\pi f_n S_x(f_n)}{4\zeta}} \cdot \frac{1}{k}$$

白色雑音近似(共振が支配的な場合)

ランダム振動解析(PSD入力)とは

🙋
ランダム振動解析って何ですか?普通の正弦波振動と何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、不規則で予測できない振動を扱う解析だね。例えば自動車が荒れた道を走る時や、ロケットが大気中を通過する時に受ける振動は、毎回同じ波形じゃない。こういう「揺れの強さの統計的な分布」を、パワースペクトル密度(PSD)という形で入力して応答を計算するんだ。このシミュレーターでは、左側の「入力PSD」のスライダーを動かして、その不規則な振動が部品にどれだけの負荷を与えるか、すぐに結果が見られるよ。
🙋
え、そうなんですか!で、計算結果に出てくる「RMS」と「3σ」って何を表しているんですか?
🎓
RMS(実効値)は揺れの平均的な強さ、3σ(3シグマ)はほぼ最大クラスの揺れの目安だ。実務では、3σ値が部品の強度設計の基準になることが多いね。例えば、人工衛星の電子基板が打ち上げ振動で壊れないかを評価する時は、この3σ値を見る。シミュレーターの真ん中にある「固有振動数」と「減衰比」のスライダーを変えると、部品の特性が変わって、RMSと3σの値がどう変わるか、リアルタイムで確認できる。
🙋
「Miles式による近似値」ってのも出てきますけど、これって何が便利なんですか?
🎓
Miles式は、入力PSDがフラット(白色雑音)な時の超簡易計算式なんだ。現場では、複雑な数値積分をする前に、この式でサッと応答の目安を計算して「だいたいこのくらいの負荷になるな」と見積もるのに使う。シミュレーターで「入力PSDプロファイル」を「フラット」に設定して、固有振動数やPSDレベルを変えてみてごらん。精密計算の結果とMiles式の結果がほぼ一致するのがわかるよ。設計の初期検討で重宝するんだ。

よくある質問

加速度PSDの場合は (m/s²)²/Hz または G²/Hz が一般的です。宇宙・航空分野ではG²/Hz、車載では(m/s²)²/Hzがよく使われます。シミュレーターでは単位を合わせて入力してください。
RMS値は応答の標準偏差で、ランダム振動の平均的な大きさを示します。3σ値(RMS×3)は設計の最大応答目安として用いられ、正規分布仮定下で99.73%の振幅がこの範囲に収まります。
一般的な構造物では減衰比は0.01~0.05(1%~5%)程度です。溶接構造で0.01、ボルト締結で0.03、ゴムマウントで0.05を参考に。実測値があればそれを優先してください。
入力PSDの周波数範囲が共振周波数を含み、かつ減衰比が極端に小さい(0.001未満)と応答が過大になります。また、サンプリング周波数が低すぎるとエイリアシングが発生します。減衰比または周波数刻みを調整してください。

実世界での応用

宇宙機・人工衛星の打ち上げ環境評価:ロケットの打ち上げ時に発生する強烈なエンジン振動や空力振動は典型的なランダム振動です。搭載する電子機器や光学機器がこの環境で故障しないよう、入力PSDを設定して応答3σ値を計算し、強度や耐久性を事前に検証します。

航空機・車載部品の振動試験設計:MIL-STD-810やISO 16750などの規格には、航空機や自動車部品に要求されるランダム振動試験のPSDプロファイルが規定されています。このツールを使えば、試験条件が自社製品にどのような負荷を与えるかをシミュレーションし、試験時間の設定や治具設計に役立てられます。

車両の走行耐久性解析:自動車が不整地を走行する際の路面入力はランダム振動です。サスペンションやボディ、バッテリーなどの重要部品への伝達振動をPSDでモデル化し、疲労寿命を予測するための応答ストレスを算出します。

電子基板・はんだ接合部の信頼性評価:基板上の大型ICやコネクタは、固有振動数付近のランダム振動で共振し、はんだ部に大きな応力が集中します。入力PSDと部品の共振特性から応答を推定し、はんだの破断リスクを評価します。

よくある誤解と注意点

まず、「PSDの単位を確認せずに数字だけ見てしまう」という落とし穴があります。例えば、入力PSDの単位が[(m/s²)²/Hz]なのか[(G)²/Hz]なのかで、計算される応答加速度の値は全く違います。シミュレーターで遊ぶ時も、実務で試験条件書を見る時も、まず単位をチェック!これが基本です。

次に、「減衰比ζを適当に設定してしまう」こと。教科書的には0.01〜0.05(Q値で言うと100〜10)を使いがちですが、実際の構造物はもっと減衰が大きいことも。例えば、樹脂ケースに入った電子機器ならζ=0.1以上も珍しくありません。減衰が大きいと、共振ピークが低くなりRMS値も小さく見積もられます。実機のデータがない初期設計では、敢えて控えめ(ζを小さく)に見積もって安全側設計をするのがコツです。

最後に、「3σ値が絶対的な最大値だと勘違いする」点。3σは、確率統計的に約99.7%のデータが収まる範囲の「目安」です。つまり、1000回に3回くらいはこれを超える揺れが発生する可能性があります。例えば、打ち上げロケットの振動試験では、この「はみ出す可能性」を考慮して、3σ値にさらに安全率(例えば1.5倍)を掛けて試験レベルを設定することもあります。