速度圧: $q_z = \tfrac{1}{2}\rho V_z^2$
設計風圧: $p = q_z \cdot G \cdot C_f$
ガスト係数 $G = 0.85$(ASCE7)
基準風速・建物寸法・地形カテゴリを設定するだけで、設計風圧・基底せん断力・転倒モーメントを自動算出。風速プロファイルと建物断面の圧力分布をリアルタイム可視化。
建築構造設計:ビルやタワーマンションの柱・梁・耐力壁のサイズを決める際の基本的な外力として風荷重を算定します。特に高層建築では、頂部の変位や振動(居住性)を検討するために、風圧分布とそれによる転倒モーメントが重要です。
外装材・カーテンウォール設計:ガラスやアルミパネルといった建物の外皮(外装)が風圧に耐えられるか、また、吸力で飛ばされないかを検証します。シミュレーターで見える正圧・負圧の値は、これらの部材の固定金具の強度計算に直接使われます。
太陽光パネル架台・屋外設備の設計:屋上に設置する太陽光パネルや空調室外機は、屋根面で増幅される吸力(風が剥がれる力)に対して十分な固定強度が必要です。建築基準法に基づく屋根面の局部風圧係数を用いて計算します。
仮設構造物の安全性確認:建設現場の仮設足場やクレーン、大型看板は、恒久構造物に比べて安全性の余裕が小さい場合があります。想定される最大風速に対して転倒や崩壊が起きないか、このような計算に基づいて検討されます。
まず、「基準風速V」をそのまま建物が受ける風速だと思っていないか? これはあくまで平坦で開けた地形の10m高さでの値だ。実際の敷地が市街地なら、べき乗則で高さ方向の分布を求め、さらに周辺建物による「近隣建物影響係数」を考慮する必要がある。例えば、隣に高いビルがあると、風下側の建物は風が弱まる「ウィンドシェルター効果」を受ける。逆に、ビルの角や間の狭い通路では風が加速する「ビル風」が発生する。シミュレーターは標準的な形状を想定しているので、特殊な立地条件では別途検討が必要だ。
次に、「地表面粗度区分」の選定を軽視しがちだ。これは風のプロファイルを決める最重要パラメータの一つ。例えば、「市街地」と「開けた平地」では、高さ100mでの風速が同じ基準風速からスタートしても、10〜20%も違ってくる。敷地周辺をGoogle Earthなどで上空から確認し、500m〜1km程度の範囲でどのカテゴリーに当てはまるか、客観的に判断しよう。
最後に、計算結果の「基底せん断力」や「転倒モーメント」を鵜呑みにしないこと。このツールは、風が建物の一面から直角に当たる「主風向」の計算が基本だ。しかし、実際の暴風は方向が変動する。構造設計では、あらゆる風向から建物が攻撃されることを想定し、最も不利なケースを拾い上げる「風向別計算」が必須となる。このシミュレーターの結果は、あくまで特定方向における代表値の理解と、パラメータが結果に与える影響の感度分析に活用するのが正しい使い方だ。
東京のRC造オフィスビル(H=20m、幅B=15m、奥行き12m)に基準風速40m/sが作用する場合:地形カテゴリII(郊外、α=0.15)で屋上高さの風速は40×(20/10)^0.15≈44.4m/s、速度圧q_H=½×1.225×44.4²≈1207Pa。風圧係数Cf=+0.8とガスト係数G=0.85で風上面風圧=+0.82kPa、風下面Cf=-0.5で-0.51kPa。受圧面積B×H=300m²に対して高さ方向に積分すると基底せん断力V_b≈308kN、転倒モーメントM_ot≈3477kN·mとなります
準拠/参考: ASCE 7 速度圧(SI)\(q_z = 0.613\,K_z K_{zt} K_d V^2\) [N/m²]。本ツールは \(q_z=\tfrac12\rho V_z^2\)(ρ=1.225 → 0.5ρ=0.613)を用い、設計風圧 \(p = q_z\,G\,C_f\)、ガスト係数 G=0.85。風速プロファイルはべき乗則 \(V_z = V(z/10)^\alpha\)。
モデルの前提: 露出・地形・方向係数を \(K_z=K_{zt}=K_d=1\) と簡略化。圧力係数は一定値(風上+0.8/風下−0.5/屋根−0.7)。基底せん断・転倒モーメントは建物を20層に分割した数値積分。規格切替(ASCE 7/建築基準法)は図中バッジ表示のみを変更し、計算式は共通の簡易式。
適用範囲・限界: 単一風向・標準的直方体の概算用。共振・空力弾性(H>90m級)、近隣建物影響、開口・局部風圧、風向別最不利ケースは含まない。実設計では各規格の正規の係数・風洞試験・動的解析が必要。