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構造・風工学

風荷重・風圧計算機(建築基準法・ASCE7)

基準風速・建物寸法・地形カテゴリを設定するだけで、設計風圧・基底せん断力・転倒モーメントを自動算出。風速プロファイルと建物断面の圧力分布をリアルタイム可視化。

設計条件
計算規格
地表面粗度区分
基準風速 V
m/s
建物高さ H
m
間口幅 B
m
奥行き D
m
結果サマリー
計算結果
風上面風圧 (kPa)
風下面風圧 (kPa)
屋根風圧 (kPa)
基底せん断力 V_b (kN)
転倒モーメント M_ot (kN·m)
建物
理論・主要公式
べき乗則: $V_z = V \cdot (z/10)^\alpha$
速度圧: $q_z = \tfrac{1}{2}\rho V_z^2$
設計風圧: $p = q_z \cdot G \cdot C_f$
ガスト係数 $G = 0.85$(ASCE7)

風荷重・風圧計算機とは

🙋
このシミュレーターで「べき乗則」って出てきますけど、何ですか?建物の高さによって風の強さが変わるということ?
🎓
その通り!大まかに言うと、地面に近いほど風は障害物で邪魔されて弱く、高くなるほど強くなるんだ。その関係を表すのがべき乗則 $V_z = V \cdot (z/10)^\alpha$ だよ。上の「地表面粗度区分」を「市街地」から「開けた平地」に変えてみて。指数αが小さくなって、高さによる風速の増え方が急になるのがグラフで見えるはず。
🙋
え、そうなんですか!…確かに変わりました!で、この計算された風速から、どうやって建物にかかる実際の「力」を求めるんですか?
🎓
風速を「速度圧」という圧力に換算して、それに建物の形で決まる係数をかけるんだ。式は $p = q_z \cdot G \cdot C_f$ だね。実務では、風上側の壁は押されるので正の圧力、風下側や屋根は吸い上げられるので負の圧力(吸力)になる。右の圧力分布図を見ると、青(正圧)と赤(負圧)で色分けされてるでしょ?「間口幅B」を大きくすると、負圧がかかる面積が増えるから全体の力も変わるよ。
🙋
「計算規格」でASCE7と建築基準法を選べますけど、どっちを使えばいいんですか?現場で多いのは?
🎓
日本国内の設計なら当然、建築基準法を使うよ。ASCE7はアメリカや国際プロジェクトで使われることが多いね。大きな違いは、基準にする風速の定義(平均風速か瞬間風速か)と、地形の分類の仕方だ。シミュレーターで両方切り替えて、「基準風速V」を同じ値にしても、計算される基底せん断力が結構違うことに気付くはず。規格の背景が違うからね。

よくある質問

建築基準法に基づく場合、国土交通省が公開する地域別の基準風速マップ(V0)をご参照ください。ASCE7の場合は、米国気象データや各州の建築コードで定義された基本風速図から該当地域の値を入力してください。
べき指数αが変わるため、高さ方向の風速プロファイルが大きく変化します。例えば、海岸(カテゴリI:α=0.10)では高層部の風速が強く、都市部(カテゴリIV:α=0.35)では地表付近の風速がより減衰します。設計風圧は最大で2倍以上異なる場合があります。
高層建築物や看板・塔状構造物など、高さに対して幅が小さい(細長い)構造物で重要です。風圧による水平力が建物基部に大きな回転モーメントを生じ、基礎の浮き上がりや転倒リスクが高まるため、アンカーボルトや基礎設計の際に必ず確認すべき値です。
本ツールは建築基準法・ASCE7の簡易式に基づく平均的な分布を示します。実際の設計では、開口部の有無や隣接建物の影響など局所的な変動を考慮する必要があるため、本結果は初期検討や概算としてご利用いただき、詳細設計では風洞実験や専門家の検証を推奨します。

実世界での応用

建築構造設計:ビルやタワーマンションの柱・梁・耐力壁のサイズを決める際の基本的な外力として風荷重を算定します。特に高層建築では、頂部の変位や振動(居住性)を検討するために、風圧分布とそれによる転倒モーメントが重要です。

外装材・カーテンウォール設計:ガラスやアルミパネルといった建物の外皮(外装)が風圧に耐えられるか、また、吸力で飛ばされないかを検証します。シミュレーターで見える正圧・負圧の値は、これらの部材の固定金具の強度計算に直接使われます。

太陽光パネル架台・屋外設備の設計:屋上に設置する太陽光パネルや空調室外機は、屋根面で増幅される吸力(風が剥がれる力)に対して十分な固定強度が必要です。建築基準法に基づく屋根面の局部風圧係数を用いて計算します。

仮設構造物の安全性確認:建設現場の仮設足場やクレーン、大型看板は、恒久構造物に比べて安全性の余裕が小さい場合があります。想定される最大風速に対して転倒や崩壊が起きないか、このような計算に基づいて検討されます。

よくある誤解と注意点

まず、「基準風速V」をそのまま建物が受ける風速だと思っていないか? これはあくまで平坦で開けた地形の10m高さでの値だ。実際の敷地が市街地なら、べき乗則で高さ方向の分布を求め、さらに周辺建物による「近隣建物影響係数」を考慮する必要がある。例えば、隣に高いビルがあると、風下側の建物は風が弱まる「ウィンドシェルター効果」を受ける。逆に、ビルの角や間の狭い通路では風が加速する「ビル風」が発生する。シミュレーターは標準的な形状を想定しているので、特殊な立地条件では別途検討が必要だ。

次に、「地表面粗度区分」の選定を軽視しがちだ。これは風のプロファイルを決める最重要パラメータの一つ。例えば、「市街地」と「開けた平地」では、高さ100mでの風速が同じ基準風速からスタートしても、10〜20%も違ってくる。敷地周辺をGoogle Earthなどで上空から確認し、500m〜1km程度の範囲でどのカテゴリーに当てはまるか、客観的に判断しよう。

最後に、計算結果の「基底せん断力」や「転倒モーメント」を鵜呑みにしないこと。このツールは、風が建物の一面から直角に当たる「主風向」の計算が基本だ。しかし、実際の暴風は方向が変動する。構造設計では、あらゆる風向から建物が攻撃されることを想定し、最も不利なケースを拾い上げる「風向別計算」が必須となる。このシミュレーターの結果は、あくまで特定方向における代表値の理解と、パラメータが結果に与える影響の感度分析に活用するのが正しい使い方だ。