誘電損失 — CAE用語解説

カテゴリ: 用語集 | 2026-01-15
CAE visualization for dielectric loss - technical simulation diagram

誘電損失

🧑‍🎓

先生、誘電損失って高周波回路や電子部品の話ですよね。CAEでどんな場面に出てくるんですか?


🎓

主に2つの場面だ。①高周波PCB(プリント基板)の信号損失評価——GHz帯の信号が基板(FR4等)の誘電体を伝播するとき、誘電正接(tan delta)が大きいほど信号が熱として失われる。5G基板設計では低損失誘電体(PTFE、低誘電正接材料)の選定がSI(Signal Integrity)設計の核心だ。②マイクロ波加熱・誘電加熱——電子レンジや工業用誘電加熱装置で、材料の誘電損失が発熱を生み出す原理だ。FEM電磁場解析でVolumetric Heat Source = sigma * |E|^2 + omega * epsilon_r * epsilon_0 * tan_delta * |E|^2 を計算する。


定義

🧑‍🎓

誘電正接(tan delta)ってどういう意味ですか?


🎓

複素誘電率の虚部と実部の比だ。複素誘電率は epsilon = epsilon_r - j*epsilon_i と書けて、tan_delta = epsilon_i / epsilon_r だ。実部は電界エネルギーの蓄積を、虚部は損失(熱として散逸するエネルギー)を表す。FR4(標準PCB材料)の tan delta は1GHzで約0.02程度、低損失のPTFEは0.001程度——桁違いに違う。高周波信号が長い配線を伝わるとき、この差が信号品質に大きく効いてくる。


FEM解析での扱い

🧑‍🎓

FEMで誘電損失を扱うにはどうするんですか?


🎓

CSTやAnsys HFSSなどの電磁場FEMで材料の複素誘電率(epsilon_r と tan_delta)を設定する。ソルバーは誘電体内部の電場分布E(x,y,z)を計算して、発熱密度 P_loss = 0.5 * omega * epsilon_0 * epsilon_r * tan_delta * |E|^2 を出力する。この発熱分布を熱FEMに渡してCHT解析——電磁加熱の連成だ。COMSOL MultiphysicsのRF+Heat Transferモジュールはこれを一括で解ける。電子レンジの均一加熱設計や、マイクロ波プラズマ装置の設計に使われる。


🧑‍🎓

5Gの基板設計での誘電損失の影響って具体的にどのくらいですか?


🎓

かなり大きい。28GHz帯の5G信号では、FR4基板(tan_delta=0.02)の50cm配線での伝送損失は約-10dB以上——エネルギーの90%が熱になる計算だ。低損失材料(Megtron6、Rogers RO4000シリーズ、tan_delta=0.002〜0.004)に変えると損失が1/5〜1/10になる。材料コストは10倍以上になるが、信号品質と電力効率を確保するには必要だ。高速サーバー基板(112G PAM4信号)や車載レーダー(76-81GHz)でも同じ問題があって、基板材料と積層設計の最適化にFEM解析が不可欠だよ。


関連用語

🧑‍🎓

誘電正接の差が信号損失に直結するんですね。5G基板の材料選定がFEM解析と連携しているのが面白かったです!


🎓
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  • 高調波
  • 伝送線路

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