動的粘弾性 — CAE用語解説
動的粘弾性
先生、ゴムや樹脂の部品を解析するとき「動的粘弾性」を考慮しないといけないと聞いたんですが、普通の弾性解析と何が違うんですか?
普通の弾性解析は応力と歪みが位相的にぴったり同期している(応力∝歪み)という前提だけど、粘弾性材料では応力が歪みより少し遅れて応答する。この位相遅れを持つ弾性特性が「動的粘弾性」だ。周波数依存の複素弾性率 E* = E_prime + i * E_dprime で表現されて、E_prime(貯蔵弾性率)は弾性的な応答成分、E_dprime(損失弾性率)は振動エネルギーが熱に散逸する成分を表す。その比 tan_delta = E_dprime / E_prime が損失正接で、防振ゴムや制振鋼板の性能指標として使われているよ。
定義
FEM解析でこれを扱うにはどうするんですか?
Prony級数という表現を使う。時間域での緩和弾性率 E(t) = E_inf + sum(E_i * exp(-t/tau_i)) をProny係数(g_i, tau_i)で定義すると、これをラプラス変換すると周波数域の複素弾性率に変換できる。AbaqusやNASTRANでは材料定義のViscoelasticityブロックにProny係数を入力すれば、周波数応答解析や過渡解析に自動的に粘弾性効果が組み込まれる。Prony係数はDMA(動的機械分析)試験から時間温度重ね合わせ則(WLF則)を使って広い周波数・温度範囲にわたる特性として推定するのが実務の標準手順だ。
振動・制振解析での応用
自動車のマウント部品とかの解析で使うんですか?
まさにそれが典型的な用途だ。エンジンマウントは振動絶縁と荷重支持を両立させる必要があるから、tan_deltaが高く(よく減衰する)かつ動的剛性が適切な周波数範囲に入るようなゴム配合の設計にFEM+動的粘弾性解析が活躍する。ボディのNVH(騒音・振動・ハーシュネス)解析では、制振材・吸音材の動的粘弾性特性を正確に反映した有限要素モデルを使って、車室内のオクターブバンド騒音レベルを予測する。温度依存性も重要で、エンジン周辺の高温環境と冬季の低温環境でゴムの特性が大きく変わることも設計に折り込む必要があるよ。
関連用語
Prony級数という表現法で弾性と粘性を同時に扱えるんですね!
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