Spalart-Allmaras — CAE用語解説
Spalart-Allmaras
翼まわりのCFDで「Spalart-Allmarasモデルを使え」って先輩に言われたんですけど、k-εとかk-ωとは何が違うんですか?
一番大きな違いは方程式の数だよ。k-εやk-ωは乱流エネルギーkとその散逸率の2つの輸送方程式を解くけど、Spalart-Allmaras(SA)モデルは渦粘性そのものの輸送方程式を1つだけ解く。方程式が少ない分だけ計算が軽くて収束も早い。だから航空機の翼やタービン翼のように壁面境界層が支配的な流れには非常に適しているんだ。
定義
1方程式で済むなら、いつでもSAモデルを使えばいいんじゃないですか?
そうもいかなくてね。SAモデルは壁面近傍の境界層には強いけど、自由せん断流(ジェットやウェイク)や大きな剥離を含む流れでは精度が落ちる。例えば自動車の後方ウェイクのように複雑な3次元剥離がある場合はSST k-ωモデルの方が適切。SAモデルは「付着流れの予測に特化したスペシャリスト」と思えばいい。
流体解析における役割
航空業界で特に好まれている理由はあるんですか?
元々NASAのSpalartとBoeing出身のAllmarasが航空機設計のために開発したモデルだからね。抗力予測の精度が高く、AIAA Drag Prediction Workshopでも標準モデルとして使われている。巡航状態の翼面境界層のような、ほぼ付着した壁面乱流の計算にはベストな選択だよ。
メッシュの要件はk-εモデルと比べてどうですか?
SAモデルは壁面第1層のy+≈1を推奨する低Reynolds数モデルとして使うのが標準的。壁関数モードもあるけど、本来のメリットを活かすなら壁面を十分に解像した方がいい。
SAモデルもRANSの枠組みの中で使うから、解くべきNavier-Stokes方程式自体は同じだよ。
関連用語
SAモデルの派生版ってありますか?DESとかで使うって聞いたんですけど…
いい質問。DES(Detached Eddy Simulation)は実はSAモデルがベースで、壁面近傍はRANSのSAモデル、壁面から離れた領域ではLES的に動作するハイブリッド手法なんだ。大規模剥離も扱えるようになるから、戦闘機の高迎角飛行の解析なんかで使われるよ。
付着流れに特化したモデルだからこそ翼の解析で信頼されてるんですね。まずはy+を確認するところから始めます。
その通り。迷ったらまずSAモデルで収束させて、必要に応じてSSTに切り替えるのが効率的な進め方だよ。
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