溶接シミュレーション — CAE用語解説
溶接シミュレーション
溶接シミュレーションとは何か
溶接シミュレーションって、溶接で生じる変形や残留応力を予測するものですか?
そうだ。溶接は局所的に数千度の熱が加わって冷却する過程で、材料が膨張・収縮する。この不均一な熱変形が冷却後に残留応力として構造内に残る。溶接シミュレーションは温度場・組織変態・力学応答を連成して計算し、変形量と残留応力分布を予測する。
なぜ残留応力が問題なんですか?
残留引張応力がある箇所は疲労寿命や応力腐食割れに弱くなる。特に圧力容器や原子炉の配管溶接部では、残留応力が腐食割れのリスクを高めるため、溶接後熱処理(PWHT)を行って残留応力を緩和する。その熱処理の条件設計にもシミュレーションが使われる。
解析手法と産業適用
計算はどのくらい難しいんですか?熱と構造が両方絡んでいますよね。
熱弾塑性解析という熱と弾塑性力学の完全連成問題で、かなり計算コストが高い。溶接の移動熱源をゴールドハックのダブル楕円熱源モデルなどでモデル化して、一つの溶接パスごとに熱・相変態・力学を逐次計算する。長い溶接部や複雑な溶接シーケンスのある構造では計算に数時間から数日かかることも珍しくない。
実際にどんな製品の設計で使われているんですか?
造船、建設機械、鉄道車両、原子力容器、自動車のフレームなど溶接構造を使うあらゆる分野で使われる。特に品質保証の観点で、溶接後の変形が公差内に収まるかを事前に予測して溶接シーケンスを最適化することが重要だ。例えば大型タンカーの船体は溶接シーケンスの工夫で最終的な変形量が数十センチ変わることもある。
溶接後の熱応力が残留応力になるんですね。それを解析でコントロールできる時代なんですね。
その通り。Sysweld、ANSYS、Simufact Weldingなど専用ツールも充実してきて、溶接シーケンスの最適化や治具設計への活用が実用段階に入っている。溶接前にシミュレーションで確認してから製造するのがコスト削減の鍵だ。
関連用語
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