CQC法(完全二次合成法)
CQC法(完全二次合成法)の理論基礎
CQC法とは
先生、CQC法はSRSSの改良版ですか?
CQC(Complete Quadratic Combination)はDer Kiureghian(1981)が提案したモード間の相関を考慮した合成法。SRSSの上位互換。
$\rho_{ij}$ はモード相関係数。
モード相関係数
$\rho_{ij}$ はDer Kiureghianの式:
$r = \omega_j / \omega_i$。
$r = 1$(同じ振動数)なら $\rho = 1$(完全相関)、$r$ が離れると $\rho \to 0$(非相関)ですね。
モードが十分離れていれば $\rho_{ij} \to 0$ で、CQCはSRSSに退化する。つまりCQCはSRSSを包含する。
SRSSとCQCの差
密集モードがある場合、CQCの結果はSRSSより10〜30%大きいことがある。SRSSはモード間の正の相関を無視するから、密集モードの寄与を過小評価する。
まとめ
要点:
- $R = \sqrt{\sum \sum \rho_{ij} R_i R_j}$ — モード間相関を含む完全な合成
- $\rho_{ij}$ — Der Kiureghianの式。振動数比と減衰に依存
- CQCはSRSSの上位互換 — モード離れていればSRSSに退化
- 密集モードでSRSSより10〜30%大きい — SRSSは非保守的
- 現在の設計コードはCQCを推奨 — ユーロコード8、ASCE 7
CQCはSRSSの「正確版」として1981年に登場
CQC(Complete Quadratic Combination)法はE.L. Wilsonら(UCバークレー)が1981年に発表した論文「A Replacement for the SRSS Method in Seismic Analysis」で提案された。SRSS法が密接した固有周波数間の相関を無視するため誤差が生じることを示し、相関係数ρijを用いた二次結合式を導入。密接モードが問題になる地盤上の不整形建物や原子炉建屋で特に精度が高い。
CQC法(完全二次合成法)の数値計算手法
CQCの実装
全FEMソルバーでCQCが標準オプション:
- Nastran: *RESPONSE SPECTRUM, CQC
- Abaqus: *RESPONSE SPECTRUM, COMBINATION=CQC
- Ansys: SRSS→CQCの切り替え
- ETABS/SAP2000: CQCがデフォルト
CQCをデフォルトにしておけばSRSSの問題を心配しなくて済みますね。
まさにそう。CQCを常に使うのが最も安全。モードが離れていればSRSSと同じ結果になるから、CQCにデメリットはない。
まとめ
相関係数の計算にはモード減衰比が必要
CQC法の相関係数ρijは固有周波数比βij = ωj/ωi と両モードの減衰比ζi, ζjから計算する。減衰比ζ = 5%(建物標準)の場合、周波数比が1.1以内(10%差以内)で相関係数ρ > 0.1となり無視できない。SRSS(ρ=0仮定)との差が最大になるのはβij=1(完全一致)でρijが最大値1になる場合で、応答値が√2 = 1.41倍の差が生じる。
CQC法(完全二次合成法)の実務適用
CQCの実務
CQCは現在の耐震設計の標準合成法。
実務チェックリスト
CQCの結果がSRSSと同じなら「密集モードがない」という確認にもなるんですね。
CQC-SRSS比較はモード間の相関の有無を確認するツールとしても使える。
原子炉建屋はCQCが法的要件になっている国も
米国NRCの規制ガイドRG 1.92(2006年改訂)では密接モード(固有周波数差10%以内)を持つ構造にはCQC法を推奨(事実上義務)とした。日本の原子力規制庁も同様の指針を持ち、国内の全BWR・PWR原子力発電所の耐震解析はCQCが標準。SRSS使用が認められるのはモード間隔が十分広い(差>10%)ことを証明した場合のみ。
CQC法(完全二次合成法)のソフトウェア比較
CQCのツール
全FEMソルバーでCQCが標準対応。建築設計ソフト(ETABS, SAP2000, MIDAS Gen)はCQCがデフォルト。
選定ガイド
SAP2000とEtabsがCQCのデファクト実装
建築・土木構造のレスポンススペクトル解析でCQCを最も多用するソフトウェアはCSI(Computers and Structures, Inc.)のSAP2000とETABS。UCバークレーのE.L. Wilson教授が1970年代に開発したSAP(Structural Analysis Program)が原型で、Wilson本人がCSI設立に関わった経緯からCQC実装が特に強い。原子力ではNASAP/NRCのPIPESYS/PRIMEが専用ツールとして使われる。
CQC法(完全二次合成法)の先端研究
CQCの先端研究
CQC3成分組み合わせはSRSS適用の二重構造
3方向(X,Y,Z)地震入力のモード組み合わせには「まず各方向内でCQC → 次に方向間でSRSS(またはCQC)」という二重組み合わせが必要で、CQC3(3成分CQC)と呼ばれる。Menun & Der Kiureghian(1998年)が一般化式を発表。AnsysではRSオプション`SIGNIF`と`NMODE`の設定でCQC3を実行でき、全モード・全成分の相関を一度に考慮した最も厳密な組み合わせを実現する。
CQC法(完全二次合成法)のトラブル対応
CQCのトラブル
CQCとSRSSの結果が近い場合は入力を疑え
CQCとSRSSの最大応答が5%以内に収まるなら問題ないが、モデルに密接モードが存在するのに両者がほぼ一致する場合は相関係数の計算ミスを疑う。よくある原因はNastran SOL 103でCQCを指定したつもりが`CMETHOD = SRSS`のまま(デフォルト)になっているケース。出力ファイルの`COMBINATION METHOD`行を必ず確認すること。差が20%以上あれば構造が密接モードを持つ証拠。
関連トピック
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