荷電粒子電磁場シミュレーター 戻る
電磁気・光学

荷電粒子の電磁場中の運動 シミュレーター

ローレンツ力 $\mathbf{F}=q(\mathbf{E}+\mathbf{v}\times\mathbf{B})$ による粒子軌道をボリス積分法でリアルタイム可視化。ラーモア半径・E×Bドリフト・サイクロトロン周期を確認。

パラメータ設定
電場 Eₓ
V/m
電場 Eᵧ
V/m
磁場 Bz
T
粒子の選択
初速度 v₀
初速角度 θ₀
°
軌跡の長さ
pt
θ₀に90°刻みで4粒子を同時表示
一時停止中に1フレーム進めるか速度を変更
キャンバス上でドラッグすると初速の向きと大きさを直接設定できます
計算結果
現在速度 |v|
ラーモア半径 rL
E×Bドリフト vd
サイクロトロン周期 Tc
0 deg
Initial angle
-1.00
q/m
1
Particles
軌跡長 (pt)
理論・主要公式

ローレンツ力:$\mathbf{F}= q(\mathbf{E}+ \mathbf{v}\times \mathbf{B})$

2次元(Bz 垂直)での加速度:

$$a_x = \frac{q}{m}(E_x + v_y B_z), \quad a_y = \frac{q}{m}(E_y - v_x B_z)$$

ラーモア半径:$r_L = \dfrac{mv_\perp}{|q|B}$

E×Bドリフト速度:$v_d = \dfrac{|\mathbf{E}\times \mathbf{B}|}{B^2}= \dfrac{E_\perp}{B}$

サイクロトロン周期:$T_c = \dfrac{2\pi m}{|q|B}$

数値積分:Boris integrator、$\Delta t = 0.02$

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荷電粒子の電磁場中の運動とは

🙋
このシミュレーターで、磁場だけをかけると粒子がグルグル回るのはなぜですか?
🎓
大まかに言うと、磁場が粒子に「常に進行方向を曲げる力」を及ぼすからだよ。この力をローレンツ力と言って、式は $\mathbf{F}= q \mathbf{v}\times \mathbf{B}$ だ。力が速度と常に垂直だから、速さは変わらずに方向だけが変わり続けて円運動になるんだ。実際、上の「磁場 Bz」のスライダーを動かしてみて。強くすると円が小さくなるのがわかるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ「電場 Eₓ」も一緒にかけると、軌道がどんどん横に流れていきますけど、あれは何ですか?
🎓
あれは「E×Bドリフト」って呼ばれる現象だ。電場と磁場が垂直なとき、粒子の円運動の中心自体が一定方向に動き出すんだ。面白いのは、このドリフト速度 $v_d = (E \times B)/B^2$ は、粒子の種類(電子か陽子か)や質量によらないこと。シミュレーターで「粒子の選択」を変えながら、電場と磁場を両方オンにしてみて。みんな同じ方向に流れるのが確認できるよ。
🙋
なるほど!でも、どうやってこんな複雑な動きをコンピュータで計算してるんですか?
🎓
ここでは「ボリス積分法」という賢いアルゴリズムを使ってるんだ。電場による加速と磁場による回転を半ステップずつ分けて計算することで、エネルギーが保存される安定した計算ができるんだよ。実務ではプラズマ粒子の長時間追跡に必須の手法だ。パラメータを極端な値にしても軌道が発散しないのは、この方法のおかげなんだ。

よくある質問

粒子の初期速度が大きすぎるか、磁場が弱すぎる可能性があります。初期速度を下げるか、磁場Bの値を大きくするとラーモア半径が小さくなり、軌道が画面内に収まりやすくなります。また、電場Eをゼロに設定して確認してみてください。
電場Eをx方向、磁場Bをz方向(画面奥行き方向)に設定し、初期速度を適当な値(例:vx=0, vy=0)にしてください。粒子はサイクロトロン運動しながら、E×B方向(この場合y方向)にゆっくりとドリフトする様子が観察できます。
ラーモア半径 r_L = mv⊥/(|q|B) のv⊥は磁場に垂直な速度成分です。初期速度に磁場方向成分がある場合、v⊥は全速度より小さくなります。また、電場があると軌道が複雑になるため、まず電場E=0で確認してください。
はい、磁場中の荷電粒子の螺旋運動やミラー効果の基礎を直感的に理解できます。ただし、本シミュレーターは2次元(磁場はz方向固定)の単一粒子追跡であり、多粒子の衝突や自己無撞着な場の計算は含まれません。原理の学習用としてご活用ください。

実世界での応用

核融合プラズマの閉じ込め:トカマクやヘリカル型装置では、強力な磁場で高温プラズマを閉じ込めます。E×Bドリフトはプラズマの輸送や不安定性に深く関わり、その理解は効率的な閉じ込め設計に不可欠です。

宇宙プラズマ・電離層物理学:地球周辺のヴァン・アレン帯や電離層では、地磁気と電場の中で荷電粒子が複雑な運動をしています。衛星通信や宇宙天気予報のためにも、これらの粒子の挙動をシミュレートする必要があります。

加速器・ビーム光学:サイクロトロンやシンクロトロンでは、磁場を用いて荷電粒子ビームを円軌道上で加速します。また、四重極磁石などによるビームの収束・発散制御は、この基本原理に基づいています。

分析機器の設計:質量分析計(マスフィルタ)は、電場と磁場の中での粒子の軌道が質量によって変わることを利用して、イオンを質量ごとに分離します。シミュレーションは機器の分解能を決める重要な設計ツールです。

よくある誤解と注意点

まず、「電場と磁場を同時にかけると、軌道は単純な円運動と直線運動の足し算になる」と思いがちですが、それは誤りです。 シミュレーターで電場Eyと磁場Bzを両方オンにしてみてください。粒子は複雑なトロコイド軌道(サイクロイドに似た曲線)を描きます。これは、電場による加速が瞬間ごとの速度に影響し、それが磁場による回転半径を変えるためで、単純な合成ではありません。次に、無次元パラメータの重要性を見落とさないでください。例えば、磁場の強さBを10倍にすると、円運動の周期は1/10になりますが、シミュレーションの「時間ステップ」が大きすぎると、1周期を数点でしか計算できず、軌道が歪んで見えます。実務でも、粒子のサイクロトロン周期に対して十分小さな時間ステップを選ぶことが精度の鍵です。最後に、「初期速度はとりあえず(1,0,0)でいいや」と安易に決めないこと。例えば、磁場に対して完全に平行な初期速度(vz成分だけ)を与えると、粒子は全く曲がらず直進します。シミュレーターで「初期速度 vₓ」を0、「v_z」を1にし、磁場Bzをかけてみると、この「力が働かないケース」を確認できます。現象を観察したいなら、必ず磁場に対して垂直な速度成分を与えましょう。

使い方ガイド

  1. 電場(Ex、Ey)と磁場(Bz)の値をVol/m、Tの単位で入力します。例えば電子の場合、Ex=1000V/m、Bz=0.1Tを設定
  2. 電荷質量比(q/m)を選択します。電子は-1.76×10¹¹C/kg、陽子は9.58×10⁷C/kg、α粒子は4.82×10⁷C/kgを使用
  3. 初期速度角度を0~360度で設定し、シミュレーション開始ボタンを押すとリアルタイムで粒子軌跡が表示されます

具体的な計算例

磁場Bz=0.5T、電場Ex=2000V/mの条件で電子を注入した場合、ラーモア半径rL=mv/(eB)から、速度v=1×10⁶m/sの電子ではrL≈1.14mm。E×Bドリフト速度vd=E/B=4000m/sで垂直方向に移動。サイクロトロン周期Tc=2πm/(eB)≈5.68nsとなり、数nsの時間スケールで高速振動する軌道を描きます

実務での注意点