ローレンツ力シミュレーター 戻る
物理シミュレーター

ローレンツ力・荷電粒子の運動

電子・陽子・任意荷電粒子の磁場・電場中での軌道をリアルタイムアニメーション。ローレンツ力・回転半径・サイクロトロン周波数を自動計算。

パラメータ設定
粒子タイプ
電荷 q
C·10⁻¹⁹
×1.6×10⁻¹⁹ C
質量 m
×mₑ
×(基準値 m₀)、対数スケール
初速度 vx
初速度 vy
磁場 B
⊙ 表向き / ⊗ 裏向き(B > 0 / B < 0)
電場 Ex
電場 Ey
再生コントロール
t = 0.00 s
キャンバス上の粒子をドラッグして初期位置を変更
計算結果
ローレンツ力 F [N]
回転半径 r [m]
サイクロトロン周波数 fc
周期 T [s]
可視化
理論・主要公式

ローレンツ力:

$$\vec{F}= q(\vec{E}+ \vec{v}\times \vec{B})$$

回転半径(純磁場中):$r = \dfrac{mv}{|q|B}$

サイクロトロン周波数:$f_c = \dfrac{|q|B}{2\pi m}$  周期:$T = \dfrac{2\pi m}{|q|B}$

運動方程式:$m\dot{\vec{v}}= q(\vec{E}+ \vec{v}\times\vec{B})$ をRK4で数値積分

ローレンツ力・荷電粒子の運動とは

🙋
ローレンツ力って何ですか?教科書には $F = q(E + v \times B)$ って書いてあるけど、具体的にどんな動きになるんですか?
🎓
大まかに言うと、電場と磁場の中を飛ぶ電気を帯びた粒子にかかる力だね。例えば、このシミュレーターで「粒子タイプ」を「電子」にして、「磁場B」を0.1 Tくらいに設定してみて。電場は0にしておこう。すると、電子がくるくる円を描いて回るのが見えるよ。これが磁場によるローレンツ力 $q v \times B$ の効果で、力が速度と磁場に垂直だから、粒子を曲げ続けるんだ。
🙋
え、そうなんですか!確かに円運動してます。でも、電場も一緒にかけるとどうなるんですか?
🎓
そこが面白いところだ。今度は「電場Ex」に0.1 V/mとか値を入れてみよう。すると、円運動しながら全体が横に流れていく、サイクロイドっていう独特な軌道が見えるはず。これは電場 $qE$ が粒子を一方向に加速し、磁場がそれを曲げる、両方の効果が組み合わさった結果なんだ。実務では、この「E×Bドリフト」って呼ばれる現象がプラズマの制御で特に重要になるよ。
🙋
なるほど!でも、回転半径とか周波数はどうやって決まるんですか?上のパラメータで「質量m」や「電荷q」を変えると、計算結果が変わりますよね。
🎓
その通り。シミュレーターが自動計算して表示している「回転半径」と「サイクロトロン周波数」は、純粋な磁場中での理論式から出てくるんだ。例えば「陽子」に変えると、電子よりずっと重いから、同じ速度・同じ磁場でも回転半径が大きくて回るのが遅くなる。実際の装置設計では、この関係式を使って粒子を閉じ込める磁場の強さを決めているんだよ。

よくある質問

はい、可能です。「任意荷電粒子」モードを選択すると、質量・電荷量・初速度を自由に設定できます。これにより、例えばアルファ粒子やミューオンなど、任意の荷電粒子の軌道シミュレーションが行えます。
はい、スライダーや数値入力で磁束密度・電場ベクトルの各成分をリアルタイム調整できます。変更は即座に軌道計算とアニメーションに反映されるため、パラメータ変化による粒子運動の違いを直感的に観察できます。
これらの値は、電場がゼロで磁場が一様かつ速度が磁場に垂直な場合の理論値です。電場が存在する場合や速度に平行成分がある場合は螺旋運動など複雑な軌道となるため、参考値としてご利用ください。
現バージョンでは固定の時間刻みで動作していますが、計算安定性は保証されています。高精度が必要な場合は、速度や磁場の値を大きくしすぎない(例:磁束密度1T以下、速度1e7m/s以下)ことで、より正確な軌道が得られます。

実世界での応用

サイクロトロン・シンクロトロン設計:高エネルギー物理学や医療用放射性同位体の製造で用いられる粒子加速器の基本原理です。磁場で荷電粒子を円軌道に閉じ込め、電場で繰り返し加速します。シミュレーターで見た円運動と加速の組み合わせが、巨大な装置の根幹を成しています。

MRI(磁気共鳴画像法):人体内の水素原子核(陽子)は小さな磁石です。強力な外部磁場中でこれらが歳差運動する周波数(ラーモア周波数)は、ローレンツ力の関係から導かれるサイクロトロン周波数と本質的に同じです。これに電磁波を共鳴させて画像化します。

核融合プラズマ閉じ込め:1億度を超えるプラズマを容器に触れずに保持するために、強力な磁場が用いられます。この時、イオンや電子は磁力線の周りをらせん運動します。さらに電場が存在すると「E×Bドリフト」が生じ、これを制御することが安定な閉じ込めの鍵となります。

電磁偏向型質量分析計:イオンを電場で加速し、一様磁場中を通すと、その軌道の曲がり具合(回転半径)が質量に依存します($r \propto \sqrt{m}$)。これを利用して、イオンの質量を分離・同定する装置に応用されています。

よくある誤解と注意点

まず、「磁場は仕事をしない」という点を押さえましょう。シミュレーターで磁場だけをかけたとき、粒子の速さが変わらないのを見て確認できますね。ローレンツ力 $q \vec{v} \times \vec{B}$ は常に速度と垂直なので、粒子の運動エネルギーを増減させないんです。エネルギーを変えるのは電場の仕事だけ。実務で磁場だけで粒子を加速しようとするのは、根本的な誤りです。

次に、初期速度の向きと磁場の向きの関係に注意。磁場に平行な速度成分 $v_{\parallel}$ は全く曲げられず、粒子はらせん運動をします。シミュレーターで「初期速度vz」に値を入れてみると、円運動しながらZ方向に進む様子がわかります。このらせんのピッチは $v_{\parallel}$ で決まるので、粒子ビームを正確に導くには初期条件の設定が肝心です。

最後に、単位系の混同。特に磁場の単位テスラ(T)は実感しにくく、よく間違えます。例えば、0.01 Tは地磁気の約2倍、一般的な永久磁石の表面で0.1〜0.5 T、MRIでは1.5 Tや3 Tです。シミュレーターで「陽子、速度1e6 m/s、磁場1 T」と設定すると、回転半径は約10 mmと計算されますが、これを「1 m」と読み間違えると設計が大きく狂います。常にオーダーを確認する癖をつけましょう。