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構造解析

柱脚ベースプレートの支圧シミュレーター

鉄骨柱の柱脚ベースプレートが、コンクリート基礎にどんな支圧応力を与えるかを設計するツールです。軸力・曲げモーメント・プレート寸法を変えると、偏心量、核(中央1/3)の内外、最大支圧応力と浮上りの有無がリアルタイムで分かります。

パラメータ設定
柱の軸力 P
kN
柱が基礎に伝える圧縮の鉛直荷重
柱脚の曲げモーメント M
kN·m
風・ラーメン架構などによる柱脚の曲げ
ベースプレート幅 B
mm
曲げ方向と直交する辺の寸法
ベースプレート長さ N
mm
曲げ方向に平行な辺の寸法。核 N/6 を決める
前提条件
コンクリート強度 f'c = 24 MPa、許容支圧応力 = 0.85·f'c = 20.4 MPa を仮定しています。偏心は曲げ方向(長さ N 方向)にのみ生じるものとします。
計算結果
偏心量 e (mm)
偏心の区分
最大支圧応力 (MPa)
最小支圧応力 (MPa)
許容支圧応力 (MPa)
支圧の判定
柱脚断面図 — 支圧分布アニメーション

柱・ベースプレート・コンクリート基礎・アンカーボルトの側面図。プレート下の支圧分布は、核内なら台形、核外なら三角形(浮上り側のボルトが引張)になります。

最大支圧応力 vs 曲げモーメント M
最大支圧応力 vs ベースプレート長さ N
理論・主要公式

$$e=\frac{M}{P},\qquad p_{max}=\frac{P}{B\,N}\left(1+\frac{6e}{N}\right)\quad(e\le N/6)$$

偏心量 e(M:柱脚モーメント、P:軸力)と、核内のときの最大支圧応力 p_max。B:プレート幅、N:プレート長さ。核内では支圧は台形分布になります。

$$p_{min}=\frac{P}{B\,N}\left(1-\frac{6e}{N}\right),\qquad p_{max}=\frac{2P}{3\,B\left(N/2-e\right)}\quad(e\gt N/6)$$

偏心が核 N/6 を超えるとプレートの一部が浮上り、支圧は三角形域に集中します。このとき最小支圧応力 p_min はゼロです。

$$p_{allow}=0.85\,f'_c,\qquad \text{支圧比}=\frac{p_{max}}{p_{allow}}$$

許容支圧応力 p_allow(f'c:コンクリート強度)。最大支圧応力をこの許容値と比べた支圧比が1.0以下なら設計OKです。

柱脚ベースプレートの支圧とは

🙋
鉄骨の柱の足元に付いている、四角い鉄板のことですよね?あれって、ただの台座じゃないんですか?
🎓
「ベースプレート」だね。台座に見えるけど、実はとても重要な役割を持っているんだ。鉄骨の柱は、自分の細い断面に建物の重さをぎゅっと集めて足元まで運んでくる。でもコンクリート基礎は、鉄に比べると圧縮にずっと弱い。柱の荷重をそのまま小さな断面で押し付けたら、コンクリートが潰れてしまう。そこでベースプレートが、その集中した荷重を「広い面積」に引き伸ばして、コンクリートが耐えられる支圧応力まで下げてくれるんだ。
🙋
なるほど、荷重を広げる板なんですね。じゃあ「軸力 ÷ 面積」で支圧応力が出るってことですか?
🎓
柱がまっすぐ押すだけ、つまり軸力しかないならその通り。一様な支圧 P/(B·N) になる。でも実際の柱脚は、ほとんどの場合「曲げモーメント」も一緒に受けるんだ。風で建物が揺れたり、ラーメン架構として柱が梁と一体で曲げを負担したり。モーメントが加わると、支圧の分布が傾く。左の「曲げモーメント M」を動かしてみて。一様だった圧力が、片側で大きく、反対側で小さくなっていくのが分かるはずだ。
🙋
本当だ、片側の支圧応力だけぐんぐん上がりますね。でも「偏心の区分」が途中で「核外」に変わると、急に分布が三角形になりました。これは何ですか?
🎓
いいところに気づいたね。モーメントが小さいうちは、偏心量 e = M/P がプレートの「核」――中央1/3の範囲――の中に収まっていて、プレート全面がコンクリートに密着したまま、支圧は台形にゆるく傾くだけ。ところが M が大きくなって e が核(中心から N/6)を超えると、片側で支圧応力がマイナスになろうとする。でもコンクリートは「引っ張る」ことができない。だからその端が浮上って、支圧は反対側の三角形の領域だけに集中するんだ。
🙋
浮上っちゃうんですか!それって柱が倒れたりしないんですか?
🎓
そこで登場するのが「アンカーボルト」だよ。浮上った側のボルトが引っ張られて、モーメントを受け止める。だから核外の設計では、ボルトの本数・径・コンクリートへの定着長さを、この引張力に対してきちんと決めなきゃいけない。設計者の仕事は二つ。一つは最大支圧応力が許容支圧を超えないか確認すること。もう一つは、浮上るならアンカーボルトを引張に対して設計すること。このツールは核内・核外の判定と、最大支圧応力の安全性チェックの部分を引き受けてくれる。

よくある質問

軸力だけならベースプレートはコンクリートに一様な支圧 σ=P/(B·N) で押し付けます。曲げモーメントが加わると圧力分布が傾き、偏心量 e=M/P で判定します。偏心がプレート長さの1/6(核)以内なら全断面が圧縮で、支圧応力は σ_max=P/(B·N)·(1+6e/N)、σ_min=P/(B·N)·(1−6e/N) と直線分布します。核外になると一端が浮上り、三角形支圧域だけが残ります。本ツールはこの最大支圧応力を許容支圧と比較して判定します。
核(ケルン)はプレート断面の中で、ここに合力が載れば全面が圧縮のまま保てる範囲のことです。矩形断面では中央の長さ1/3(中心から±N/6)が核になります。偏心 e が N/6 以下なら σ_min がゼロ以上に保たれ、プレート全面がコンクリートに密着します。e が N/6 を超えると σ_min がマイナスになりますが、コンクリート支圧は引張に耐えられないため、その端が浮上って三角形分布に切り替わります。
浮上りそのものは即破壊ではありませんが、二つの影響があります。一つは支圧域が三角形に縮むため、同じ軸力でも最大支圧応力が急増し、コンクリートが局所的に潰れやすくなること。もう一つは、浮上った側のアンカーボルトが引張力を負担し始めることです。柱脚モーメントが大きい設計では、アンカーボルトの本数・径・定着長さをこの引張力に対して設計する必要があります。本ツールは核内・核外を自動判定して表示します。
最も直接的なのはベースプレートを大きくすることです。プレート長さ N を伸ばすと支圧面積が増えるだけでなく、核 N/6 も広がって核外から核内に戻りやすくなり、最大支圧応力が二重に下がります。下のグラフで N を動かすとその効果が見えます。それでも足りなければ、基礎コンクリートの強度 f'c を上げる、フーチングを大きくして支圧の割り増しを使う、リブ付きベースプレートにして剛性を高める、といった対策をとります。

実世界での応用

鉄骨造の建築物:鉄骨ラーメン構造のオフィスビル、工場、倉庫、店舗などでは、すべての鉄骨柱が柱脚ベースプレートを介して基礎に荷重を伝えます。建物の重さによる軸力に加えて、地震や風による水平力が柱脚に大きな曲げモーメントを与えるため、ベースプレートの寸法とアンカーボルトの配置は、核内・核外の判定を踏まえて決定されます。

露出柱脚と根巻き・埋込み柱脚:柱脚には、ベースプレートをそのまま基礎上に置く「露出柱脚」、柱脚をコンクリートで巻く「根巻き柱脚」、基礎に柱を埋め込む「埋込み柱脚」があります。本ツールが扱うのは最もシンプルな露出柱脚の支圧で、設計の出発点になります。曲げが大きく露出柱脚で支圧や浮上りが厳しい場合に、根巻きや埋込みへ計画を切り替える判断材料になります。

鉄骨架構の門型ラーメン・体育館:体育館や工場の大スパン門型ラーメンでは、柱脚に大きな曲げモーメントが生じやすく、核外(浮上り)になることが珍しくありません。この場合アンカーボルトの引張設計が支配的になり、ベースプレートを長くして核を広げる、あるいはアンカーボルトを増やすといった対策を、支圧応力とのバランスで検討します。

設備架台・鉄塔・看板柱:屋上の設備架台、独立した鉄塔、大型看板の柱なども、柱脚ベースプレートでアンカー固定されます。これらは軸力が小さく曲げが大きい――つまり偏心が大きく核外になりやすい――典型例で、アンカーボルトの引抜き耐力と支圧の両面からベースプレートを設計します。

よくある誤解と注意点

まず多いのが、「ベースプレート下の支圧は常に一様だと思い込む」ことです。軸力だけなら確かに一様ですが、曲げモーメントが加わった瞬間に分布は傾きます。「軸力 ÷ 面積」の平均支圧だけ見ていると、実際にはその1.5〜2倍以上の最大支圧応力が片側の端に生じていることを見落とします。本ツールが示すように、設計で照査すべきは平均ではなく、必ず最大支圧応力 p_max です。曲げの向きが反転する地震荷重では、両端で交互に p_max が生じる点にも注意が必要です。

次に、「核外になっても直線分布の式をそのまま使ってしまう」こと。偏心が N/6 を超えると σ_min がマイナスになりますが、コンクリート支圧に引張は存在しません。マイナスの支圧をそのまま計算に残すと、最大支圧応力を過小評価し、危険側の設計になります。核外では必ず三角形分布の式 p_max=2P/(3B(N/2−e)) に切り替えること。本ツールはこの切り替えを自動で行いますが、手計算では見落としやすい最重要ポイントです。さらに偏心が N/2 に近づくと支圧域が消失し、式が破綻するため、その前にベースプレートの再設計が必要です。

最後に、「支圧さえ満たせばベースプレートは安全」だと考えること。本ツールが扱うのはコンクリート側の支圧応力です。しかしベースプレート自体は、支圧反力を受けて板として曲げられ、柱フランジから張り出した部分が曲げ降伏する恐れがあります。プレートの厚さは、この曲げに対して別途決めなければなりません。また核外で浮上る場合は、アンカーボルトの引張耐力、コーン破壊やコンクリートへの定着、ボルト周りの支圧も合わせて検討する必要があります。支圧の照査は柱脚設計の出発点であって、ゴールではありません。

使い方ガイド

  1. 軸力(kN)と曲げモーメント(kN·m)をスライダーまたは数値入力で設定します
  2. ベースプレートの幅(mm)と長さ(mm)を入力し、鋼材種(SS400/SN490)を選択します
  3. 「計算実行」ボタンを押すと、偏心量e、最大・最小支圧応力、許容支圧応力との判定が表示されます

具体的な計算例

H形鋼(H-200×200×8×12)の柱脚にSS400ベースプレート(厚さ25mm、幅300mm、長さ400mm)を設計する場合を想定します。軸力N=500kN、曲げモーメントM=80kN·mが作用するとき、偏心量e=M/N=80/500=0.16m=160mmです。支圧応力σ=N/(B·L)±M·c/I では、B=300mm、L=400mm、c=200mm(長手方向中心距離)を代入すると、σmax≒16.7+13.3=30MPa、σmin≒16.7-13.3=3.4MPaとなります。モルタル支承での許容支圧応力は通常10〜15MPaのため、判定は「支圧OK」となりますが、σminが正値であることを確認し浮上りがないことを検証します。

実務での注意点

  1. 支圧応力がマイナス値(引張)になる場合は浮上りが生じるため、アンカーボルトの引張設計が必須です
  2. モルタル厚さ5〜10mm程度では局部的な集中荷重になりやすく、実厚さ・練り加減を考慮した許容応力低減が必要です
  3. 短辺方向の応力分布が非線形になる場合、プレート厚さを増加させるか幅広設計に変更してください