$+ F_{22}\sigma_2^2 + F_{66}\tau_{12}^2 + 2F_{12}\sigma_1\sigma_2 \leq 1$
F₁=1/Xt−1/Xc, F₁₁=1/(XtXc)
Xt,Xc:繊維引張/圧縮強度
Yt,Yc:マトリクス引張/圧縮強度
CFRP・GFRPのプライ応力を計算し、Tsai-Wu・Hashin・最大応力基準で破壊判定。繊維/マトリクス破壊モードと破壊包絡線をリアルタイム表示。
航空機・宇宙機の一次構造材設計:CFRPを用いた主翼や胴体部材の設計では、多軸応力状態下での安全性をTsai-Wu基準等で評価します。軽量化のために極限近くまで材料を使うため、正確な破壊予測が不可欠です。
風力発電用ブレード(ウィンドタービン):GFRP製の大型ブレードは、繰り返し荷重と複雑な曲げ・ねじりを受けるため、Hashin基準を用いて繊維とマトリクスの各損傷モードを分離評価し、寿命予測に役立てます。
自動車の軽量構造部品:CFRPを用いたドライブシャフトやサスペンションアームでは、積層角度を最適化してねじり剛性と強度を両立させます。シミュレーターのように角度をスイープさせて破壊指数を調べる作業が、設計プロセスで行われます。
スポーツ用品の開発:テニスラケット、自転車フレーム、釣り竿などでは、特定の方向への剛性と強度が求められます。積層設計と破壊基準を用いることで、狙った性能と安全性を兼ね備えた製品開発が可能になります。
このシミュレーターを使い始める際、特にCAE初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず「破壊指数(FI)が1を超えたら即座に全体がバラバラになる」という誤解です。実際の複合材料、特に積層板では、一層が破壊しても他の層が荷重を負担する「逐次破壊」が起こります。FI=1.2は「その層で破壊が始まる」サインであって、部品全体の終局強度ではありません。実務では、FI=0.5~0.8程度に抑える安全率を設定するのが一般的です。
次に材料定数の入力ミス。例えば、引張強度(Xt)と圧縮強度(Xc)を逆に入力してしまうと、結果は全く意味を成しません。CFRPでは繊維方向の圧縮強度は引張強度の6〜7割程度であることが多く、例えばXt=1500MPaならXc=900〜1000MPaが目安です。この関係性が逆転していたら、入力を見直すべきサインです。
最後に「最強の破壊基準」を探そうとする姿勢。Tsai-Wuは便利ですが、破壊モードは教えてくれません。一方、Hashinはモードを教えてくれますが、繊維とマトリクスの相互作用を完全には考慮していない場合があります。重要なのは「設計のどの段階で、何を知りたいか」です。概念設計ではTsai-Wuで大まかなFIを出し、詳細設計でHashinで弱点モードを特定する、といった使い分けが実践的です。
45°積層CFRP(T800H/3900-2)にNx=1200N/mm、Ny=200N/mm、Nxy=300N/mmを負荷した場合:プライ座標系応力はσ1≈849MPa、σ2≈157MPa、τ12≈501MPa。Hashin繊維引張基準FI=0.68、マトリクス剪断基準FI=0.82と判定。一方、±45°積層でNxy=600N/mm時はτ12が増加し、マトリクス破壊FI=1.15で破壊判定となり、層間剪断補強が必要と判定可能。