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構造解析 / 複合材料

複合材料破壊基準シミュレーター

CFRP・GFRPのプライ応力を計算し、Tsai-Wu・Hashin・最大応力基準で破壊判定。繊維/マトリクス破壊モードと破壊包絡線をリアルタイム表示。

パラメータ設定
繊維角度 θ
°
面内荷重 Nₓ
N/mm
面内荷重 Nᵧ
N/mm
面内荷重 Nₓᵧ
N/mm
材料
破壊基準
プライ数
計算結果
破壊指数 FI
強度余裕 R = 1/√FI
σ₁ (MPa)
σ₂ (MPa)
τ₁₂ (MPa)
破壊モード
破壊指数バー(FI)SAFE
包絡線
角度スイープ
理論・主要公式
$F_1\sigma_1 + F_2\sigma_2 + F_{11}\sigma_1^2$
$+ F_{22}\sigma_2^2 + F_{66}\tau_{12}^2 + 2F_{12}\sigma_1\sigma_2 \leq 1$

F₁=1/Xt−1/Xc, F₁₁=1/(XtXc)
Xt,Xc:繊維引張/圧縮強度
Yt,Yc:マトリクス引張/圧縮強度

複合材料破壊基準とは

🙋
複合材料の「破壊基準」って何ですか? 普通の金属と何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、CFRPやGFRPのような繊維強化プラスチックがいつ壊れるかを予測するための「ものさし」だね。金属は等方性だから1つの降伏応力で判断できるけど、複合材料は繊維方向とそれ以外で強度が大きく異なる。だから、引張と圧縮も含めて複数の応力成分を組み合わせた特別な計算式が必要なんだ。このシミュレーターでは、代表的な4つの「ものさし」を試せるよ。
🙋
え、4つもあるんですか? どれを使えばいいか迷いそうです。例えば、上の「Tsai-Wu」と「Hashin」は何が違うんですか?
🎓
良い質問だね。Tsai-Wuは、全ての応力を1つの式にまとめて「全体として壊れるか」を1つの数値(破壊指数)で出す。一方、Hashin基準は「繊維が引張で壊れる」「樹脂(マトリクス)が圧縮で壊れる」といった、壊れ方のモードを4つに分けて個別に評価するんだ。シミュレーターの「破壊基準」セレクトボックスを切り替えて、結果の表示がどう変わるか確かめてみよう。Hashinにすると、繊維破壊とマトリクス破壊の指数が別々に出るはずだよ。
🙋
なるほど!「積層角度」のスライダーも気になります。角度を変えると、強さが大きく変わるということですか?
🎓
その通り!これが複合材料設計の肝なんだ。繊維はその方向にすごく強いけど、斜め方向からの力には弱い。例えば、繊維方向(0度)に引張力を加えると、破壊指数は小さくて余裕がある。でも、角度を45度や90度に変えて確認してみて。 同じ力を加えても、破壊指数が1を超えて「危険!」と表示されるようになるよ。実際の設計では、この角度を何層も重ねて最適化するんだ。

よくある質問

Tsai-Wuは応力成分の二次相互作用式で破壊の有無のみを判定するのに対し、Hashinは繊維破壊とマトリクス破壊を分離して評価します。本ツールでは両方を同時に計算し、どのモードで破壊するかをリアルタイム表示します。
包絡線の内側が安全領域、外側が破壊領域です。σ1-σ2平面上に楕円や多角形で表示され、引張と圧縮で強度が異なるため非対称になります。マウスで応力点を動かすと、その位置での破壊余裕が数値で確認できます。
一般的なCFRP/GFRPの値は材料データベースやメーカーの技術資料に記載されています。実験値がない場合は、繊維体積含有率から推定するか、本ツールのデフォルト値(例:T300/5208)を参考にしてください。
積層板全体に作用する面内応力(Nx, Ny, Nxy)または各プライのひずみを入力します。本ツールは直交異方性弾性則に基づき、各プライの材料主軸方向に応力を変換して破壊判定を行います。

実世界での応用

航空機・宇宙機の一次構造材設計:CFRPを用いた主翼や胴体部材の設計では、多軸応力状態下での安全性をTsai-Wu基準等で評価します。軽量化のために極限近くまで材料を使うため、正確な破壊予測が不可欠です。

風力発電用ブレード(ウィンドタービン):GFRP製の大型ブレードは、繰り返し荷重と複雑な曲げ・ねじりを受けるため、Hashin基準を用いて繊維とマトリクスの各損傷モードを分離評価し、寿命予測に役立てます。

自動車の軽量構造部品:CFRPを用いたドライブシャフトやサスペンションアームでは、積層角度を最適化してねじり剛性と強度を両立させます。シミュレーターのように角度をスイープさせて破壊指数を調べる作業が、設計プロセスで行われます。

スポーツ用品の開発:テニスラケット、自転車フレーム、釣り竿などでは、特定の方向への剛性と強度が求められます。積層設計と破壊基準を用いることで、狙った性能と安全性を兼ね備えた製品開発が可能になります。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターを使い始める際、特にCAE初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず「破壊指数(FI)が1を超えたら即座に全体がバラバラになる」という誤解です。実際の複合材料、特に積層板では、一層が破壊しても他の層が荷重を負担する「逐次破壊」が起こります。FI=1.2は「その層で破壊が始まる」サインであって、部品全体の終局強度ではありません。実務では、FI=0.5~0.8程度に抑える安全率を設定するのが一般的です。

次に材料定数の入力ミス。例えば、引張強度(Xt)と圧縮強度(Xc)を逆に入力してしまうと、結果は全く意味を成しません。CFRPでは繊維方向の圧縮強度は引張強度の6〜7割程度であることが多く、例えばXt=1500MPaならXc=900〜1000MPaが目安です。この関係性が逆転していたら、入力を見直すべきサインです。

最後に「最強の破壊基準」を探そうとする姿勢。Tsai-Wuは便利ですが、破壊モードは教えてくれません。一方、Hashinはモードを教えてくれますが、繊維とマトリクスの相互作用を完全には考慮していない場合があります。重要なのは「設計のどの段階で、何を知りたいか」です。概念設計ではTsai-Wuで大まかなFIを出し、詳細設計でHashinで弱点モードを特定する、といった使い分けが実践的です。

使い方ガイド

  1. プライ角度(theta)をCFRP積層板の繊維方向に合わせて入力。0°~90°の範囲で設定
  2. 面内応力成分(Nx、Ny、Nxy)を単位面積あたりの力(N/mm)で入力。例:Nx=800N/mm、Ny=50N/mm
  3. シミュレーター実行でプライ座標系の応力(σ1、σ2、τ12)を自動計算
  4. Tsai-Wu基準とHashin基準の破壊指数(FI)をリアルタイム表示。FI≧1.0で破壊判定
  5. 繊維破壊・マトリクス破壊・層間破壊のモード判別を確認

具体的な計算例

45°積層CFRP(T800H/3900-2)にNx=1200N/mm、Ny=200N/mm、Nxy=300N/mmを負荷した場合:プライ座標系応力はσ1≈849MPa、σ2≈157MPa、τ12≈501MPa。Hashin繊維引張基準FI=0.68、マトリクス剪断基準FI=0.82と判定。一方、±45°積層でNxy=600N/mm時はτ12が増加し、マトリクス破壊FI=1.15で破壊判定となり、層間剪断補強が必要と判定可能。

実務での注意点

  1. GFRPはCFRPより横弾性率Gが低いため、同一剪断応力でもマトリクス破壊指数が上昇。GFRPサンドイッチパネルのコア材選定時は要注意
  2. 45°プライは繊維方向強度より剪断強度支配になるため、τxyが500MPa超えるとHashin基準で危険域に急速に遷移
  3. 温度上昇時は樹脂Tgの低下により横圧縮強度が15~20%低下。真夏運用の航空機主翼ではTsai-Wu基準のマトリクス係数を補正必須
  4. 含水率上昇でマトリクス強度が変動。積層板は1%含水で横強度が5~10%低下するため、湿度環境での検証試験推奨