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解析ツール

複合材料積層板 CLTシミュレーター

古典積層理論(Classical Lamination Theory)に基づくABD行列、面内歪み・曲率、各ply応力、Tsai-Wu/Tsai-Hill破壊基準をリアルタイム計算。CFRP・GFRPの積層設計検討に。

材料特性
E₁ [GPa]
GPa
E₂ [GPa]
GPa
G₁₂ [GPa]
GPa
ν₁₂
ply厚さ・強度
ply厚 t_k [mm]
mm
F₁t [MPa]
MPa
F₁c [MPa]
MPa
F₂t [MPa]
MPa
F₁₂ [MPa]
MPa
積層構成 (layup)
プリセット積層
各plyの繊維角度(ply 1〜8、度)
適用荷重(合力)
Nₓ [N/mm]
N/mm
Nᵧ [N/mm]
N/mm
Nₓᵧ [N/mm]
N/mm
Mₓ [N·mm/mm]
N·mm/mm
計算結果
等価 Eₓ [GPa]
等価 Eᵧ [GPa]
等価 Gₓᵧ [GPa]
等価 νₓᵧ
最小破壊指数 (Tsai-W)
最大 σ₁ [MPa]
総板厚 [mm]
積層対称性
各ply 面内主応力 σ₁・σ₂・τ₁₂
Tsai-Wu 破壊指数(各ply)& ABD行列表示
ABD行列 [N/mm, N·mm/mm, N·mm]
計算中...
ply別応力・破壊指数テーブル
Ply #角度 [°]σ₁ [MPa]σ₂ [MPa]τ₁₂ [MPa]Tsai-Wu FITsai-Hill FI判定
理論・主要公式

積層板の合力-歪み関係(ABD行列):

$$\begin{bmatrix}N \\ M \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}A & B \\ B & D \end{bmatrix}\begin{bmatrix}\varepsilon^0 \\ \kappa \end{bmatrix}$$

各ply応力(材料主軸):$\{\sigma\}_k = [Q]_k [T]_k \{\varepsilon\}(z_k)$

$A_{ij}= \sum_k \bar{Q}_{ij}^{(k)}(z_k - z_{k-1})$,$D_{ij}= \frac{1}{3}\sum_k \bar{Q}_{ij}^{(k)}(z_k^3 - z_{k-1}^3)$

複合材料積層板とCLTとは

🙋
複合材料の積層板って、単純に板を何枚も重ねただけなのに、なぜ強度計算が難しいんですか?
🎓
大まかに言うと、各層(プライ)の繊維方向がバラバラだからだよ。例えば、0度方向だけの層と90度方向だけの層では、力の伝わり方がまるで違う。このシミュレーターでは、左のパラメータで「E₁(繊維方向のヤング率)」と「E₂(横方向のヤング率)」を別々に設定できるでしょ。この違いが積層全体の挙動を複雑にしているんだ。
🙋
なるほど。で、よく出てくる「ABD行列」って何ですか? このツールの結果にも大きく表示されてますけど。
🎓
積層板全体の「性格」を決める剛性のまとめ表みたいなものだ。Aは面内の伸び縮みに対する強さ、Dは曲げに対する強さ。Bは面内の力が曲げを起こす(またはその逆)という「連成」効果を表す。ツールで積層順を非対称にすると、このB行列がゼロじゃなくなるのが確認できるよ。実務では加工後の反りを防ぐため、B=0となる対称積層が多いね。
🙋
「Tsai-Wu破壊基準」ってのも出てきますね。これは何を判断してるんですか?
🎓
各プライが「いつ壊れるか」を予測するための複合材料専用のルールだ。単純な引張りだけじゃなく、圧縮やせん断が同時に働く場合を評価できる。ツールの下の方で、各層の応力と一緒に「Tsai-Wu比」が色付きで表示されるだろ? これが1.0に近づくほど危険だ。パラメータの「F₁t(繊維方向引張強度)」などを変えると、この値がどう変わるか、すぐに試せるよ。

よくある質問

各プライの材料主軸方向を、積層板全体の基準座標系(通常は板の長手方向を0°)に対する角度(度)で入力します。例えば、0°は基準方向に繊維が平行、90°は垂直を意味します。CFRPの一方向材では、この角度が剛性と強度に大きく影響します。
B行列がゼロでないと、面内力(N)を加えると曲げ変形(κ)が生じ、逆に曲げモーメント(M)を加えると面内変形(ε⁰)が生じる「連成」が発生します。これは非対称積層(例:[0/90])で顕著で、硬化後の反りやねじれの原因となるため、設計では対称積層が推奨されます。
Tsai-Hillは計算が簡便で、一方向材の初期破壊予測に広く使われます。Tsai-Wuは引張と圧縮の強度差を考慮できるため、より精度の高い評価が可能です。一般的な設計検討ではTsai-Hillで十分ですが、安全率を厳しく見たい場合や、圧縮荷重が卓越する場合はTsai-Wuを推奨します。
CFRPやGFRPの材料定数は、一般的にプリプレグメーカーが公表する技術データシートから入手できます。代表的な値としては、高強度CFRPでE1=135GPa、E2=9GPa程度です。不明な場合は、本シミュレーターに初期値として設定されている標準的な値を参考に、設計対象に近い材料を選んでください。

実世界での応用

航空機・宇宙構造物:CFRP(炭素繊維複合材料)を用いた主翼や胴体パネルの設計で必須です。軽量化と強度確保のため、疑似等方積層[0/±45/90]sや、荷重経路に合わせた積層設計が行われ、CLTによる初期検証が行われます。

風力発電ブレード:長大なGFRP(ガラス繊維複合材料)ブレードは、曲げとねじりが複合した荷重を受けます。積層板のD行列(曲げ剛性)を最適化し、かつTsai-Wu基準に基づいて疲労寿命を考慮した安全率を設定します。

自動車・スポーツ用品:F1マシンのモノコックや高性能自転車のフレームでは、衝撃吸収と剛性のバランスが重要です。積層パターンを変えて(例えば±45度層を増やす)面内せん断剛性を調整する設計にCLTが活用されます。

CAEモデルの検証(V&V):AbaqusやNastranなどのFEMソフトで複合材料シェル解析を行う際、その要素が正しくABD行列を計算しているか、本シミュレーターのような手計算ツールで結果を照合し、モデルの信頼性を確認する第一ステップとして使われます。

よくある誤解と注意点

まず、「材料定数を適当に入力しても結果が出る」という誤解。例えば、CFRPのE₁(繊維方向ヤング率)は120GPa程度なのに、GFRPの値(約40GPa)をそのまま使っていませんか? これでは計算結果の桁自体が変わってしまい、全く参考になりません。最初はツール内のデフォルト値や材料データベースの値をそのままコピーして使うのが安全です。次に、「破壊基準の値が1.0を超えなければ絶対安全」という思い込み。Tsai-Wu比が0.95でも、現実では層間剥離や製造欠陥、繰り返し荷重で破壊が起こり得ます。シミュレーション結果はあくまで「比較のための目安」。最後に、「積層角度は0°と90°だけ考えればいい」という落とし穴。確に対称積層[0/90]sは基本ですが、せん断剛性を上げたいなら±45°層が必須です。例えば、[0/±45/90]sのように多様な角度を組み込むことで、複合的な荷重に強くなります。

使い方ガイド

  1. 各層の繊維方向角度(e1Val)、縦弾性係数E1、横弾性係数E2、せん断弾性係数G12、ポアソン比nu12を入力します。CFRP一方向材の場合、典型値はE1=230GPa、E2=13GPa、G12=10GPa、nu12=0.2です
  2. 積層構成を[0/45/-45/90]sなどの記号で指定し、各層の厚さ(通常0.125mm)と枚数を設定します
  3. シミュレーションを実行すると、古典積層理論に基づくABD行列が計算され、等価弾性係数、面内歪み、曲率、各層の主応力σ1、σ2、τ12が出力されます
  4. Tsai-Wu破壊基準により破壊指数を算出し、破壊指数≤1.0であれば設計が妥当です

具体的な計算例

CFRP積層板[0/90/45/-45]s(総8層、各層0.125mm)に面内荷重Nₓ=500N/mm、Nᵧ=200N/mm、Nₓᵧ=100N/mmを加えた場合、等価Eₓ≈95GPa、等価Eᵧ≈95GPa、等価Gₓᵧ≈35GPa、総板厚1.0mmが得られます。0度層の最大主応力σ1≈180MPa、45度層で最大τ12≈120MPaとなり、CFRP樹脂系の破壊強度Xt=1600MPa、Xc=1200MPa、Yt=50MPa、Yc=200MPaに対してTsai-Wu破壊指数は0.35となり、安全性が確認できます

実務での注意点