圧縮性流れ計算機 戻る
流体解析

圧縮性流れ・マッハ数関係式計算機

等エントロピー関係式・垂直衝撃波・斜め衝撃波をリアルタイム計算。P/P₀・T/T₀・ρ/ρ₀・A/A* の M 依存性を可視化し、現在動作点をマーク。

パラメータ設定
マッハ数 M₁
M=1: 音速 M>1: 超音速
比熱比 γ
空気:1.40 / ヘリウム:1.67 / CO₂:1.30
プリセット

等エントロピー関係:

$$\frac{T_0}{T}=1+\frac{\gamma-1}{2}M^2$$ $$\frac{P_0}{P}=\left(1+\frac{\gamma-1}{2}M^2\right)^{\!\gamma/(\gamma-1)}$$ $$\frac{A}{A^*}=\frac{1}{M}\left[\frac{2}{\gamma+1}\left(1+\frac{\gamma-1}{2}M^2\right)\right]^{\!(\gamma+1)/[2(\gamma-1)]}$$

垂直衝撃波(Rankine-Hugoniot):

$$M_2=\sqrt{\frac{M_1^2(\gamma-1)+2}{2\gamma M_1^2-(\gamma-1)}}$$ $$\frac{P_2}{P_1}=\frac{2\gamma M_1^2-(\gamma-1)}{\gamma+1}$$
計算結果
P/P₀
T/T₀
ρ/ρ₀
A/A*
等エントロピー関係式 vs マッハ数
メイン
理論・主要公式

$$Ma = \frac{v}{a}, \quad a = \sqrt{\gamma R T}$$

マッハ数:流速 $v$ を音速 $a$ で割った無次元数。$\gamma$:比熱比、$R$:気体定数、$T$:温度(K)。

$$\frac{p_0}{p} = \left(1 + \frac{\gamma-1}{2}Ma^2\right)^{\gamma/(\gamma-1)}$$

等エントロピー関係:よどみ点圧力 $p_0$ と静圧 $p$ のマッハ数依存。

$$\frac{p_2}{p_1} = \frac{2\gamma Ma_1^2 - (\gamma-1)}{\gamma+1}$$

垂直衝撃波の圧力比:上流マッハ数 $Ma_1 > 1$ で衝撃波が発生。

圧縮性流れ・マッハ数関係式計算機とは

🙋
このシミュレーターで「等エントロピー関係」って何がわかるんですか?
🎓
大まかに言うと、摩擦や衝撃波がない理想的な流れの中で、速度(マッハ数)が変わると温度や圧力がどう変わるかがわかるんだ。例えば、ジェットエンジンのノズルの中で空気が加速されるとき、速度が上がるほど温度と圧力が下がる関係を表しているよ。上の「マッハ数 M₁」のスライダーを動かしてみて、グラフの「T/T₀」の線がどう変わるか確かめてみよう。
🙋
え、速度が上がると温度が下がるんですか?「垂直衝撃波」のところを見ると、衝撃波を超えたら圧力も温度も急に上がってますけど…?
🎓
良いところに気づいたね!「等エントロピー」はエネルギーが散逸しない理想的な変化で、加速すると温度が下がる。一方「垂直衝撃波」は、超音速流れが急に止められる非可逆な変化で、運動エネルギーが一気に熱に変わるから、温度も圧力も跳ね上がるんだ。実務では、ロケットノズルの設計(等エントロピー)と、超音速機の先端で起こる衝撃波(垂直衝撃波)の両方を見る必要があるよ。「比熱比 γ」を1.4(空気)から1.3や1.67に変えて、衝撃波後のマッハ数M₂がどう変わるか確認してみて。
🙋
「斜め衝撃波」の「偏向角 θ」って何ですか?「垂直」と「斜め」は何が違うの?
🎓
垂直衝撃波は流れに真っ直ぐ突き当たる壁で起こるイメージだ。斜め衝撃波は、超音速機の先端の「くさび形」部分や、ジェットインテークの斜板(ランプ)で発生するんだ。流れが物体の角度(偏向角θ)だけ曲げられるときに、その角度に応じて斜めの衝撃波が立つ。シミュレーターで、マッハ数を3に固定してから「偏向角 θ」を少しずつ増やしてみて。ある角度を超えると計算できなくなるはずだ。これが「最大偏向角」で、それ以上は流れが曲がりきれず、もっと強い「離脱衝撃波」が発生するんだ。

よくある質問

グラフ上部のスライダーまたは数値入力欄でマッハ数Mを変更すると、対応するP/P₀・T/T₀・ρ/ρ₀・A/A*の値がリアルタイムで計算され、各曲線上の該当位置にマークが自動表示されます。
はい、画面上部のγ入力欄で変更可能です(通常は空気の1.4が初期値)。γを変えると等エントロピー関係式・衝撃波の全計算結果とグラフが即座に更新されます。
垂直衝撃波は流れが衝撃波に垂直に入射する1次元問題に、斜め衝撃波は翼やランプなどで流れが角度を持って衝突する2次元問題に使用します。斜め衝撃波では偏向角と波面角度の関係も計算可能です。
A/A*は流路断面積と臨界断面積(M=1となる位置)の比です。M<1の亜音速域ではA/A* > 1、M>1の超音速域でもA/A* > 1ですが、M=1で最小値1となります。1未満になることはありません。

実世界での応用

ロケット/ジェットエンジンノズル設計:ラバルノズル(収束拡大ノズル)の形状は、目標マッハ数から求まる面積比 $A/A^*$ に基づいて設計されます。シミュレーターで出口マッハ数に対応する面積比を求め、その形状をCADでモデリングし、CFD(例えばOpenFOAMの`sonicFoam`)で性能を検証します。

超音速機・再突入カプセルの空力設計:機首や翼前縁で発生する斜め衝撃波の角度と強度を計算し、機体にかかる空力加熱や抵抗を予測します。シミュレーターで偏向角θとマッハ数の関係を調べ、最適なくさび角を決定します。

超音速風洞の試験部設計:風洞のノズル部で等エントロピー膨張させ、試験部で所望のマッハ数流れを発生させます。また、モデル前面に立つ衝撃波の影響を評価するため、垂直・斜め衝撃波の計算式が使われます。

CFD解析の境界条件設定と検証:圧縮性流れのCFD計算を行う際、流入境界や流出境界に与えるべき圧力・温度・マッハ数の関係を、これらの等エントロピー関係式から決定します。また、計算結果に衝撃波が含まれる場合、その前後の状態量がランキン・ユゴニオ関係式を満たしているかで計算の妥当性をチェックします。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるときに、特に気をつけてほしいポイントがいくつかあるよ。まず「比熱比γは固定値ではない」という点。デフォルトの1.4は常温の空気だけど、例えばジェットエンジン内のように高温になるとγは小さくなるし、アルゴンガスなら1.67だ。この値を間違えると、特に衝撃波後の温度や圧力の計算結果が大きくずれてしまう。実務では、扱う流体と温度範囲を確認してからγを設定することが鉄則だね。

次に、「等エントロピー流れはあくまで理想」であることを忘れないで。現実の流路には必ず摩擦や熱伝導があるから、計算で出した綺麗な温度低下率(T/T₀)そのままにはならない。例えば、ラバルノズルの設計では、この理想計算で求めた形状に、摩擦による損失分を見込んだ「安全マージン」を上乗せするのが普通だ。

最後に、斜め衝撃波の「最大偏向角」の意味を正しく理解しよう。ツールでマッハ数3、γ=1.4の時に偏向角θを増やしていくと、だいたい34度付近で計算ができなくなるはず。これは「この条件では物体をこれ以上鋭く曲げられない」という限界を意味している。でも現実には、それ以上曲がらせる必要があるよね?その時は、衝撃波が物体から「離脱」して、より複雑な干渉パターンが生じる。ツールがエラーを出すこと自体が、重要な物理現象のシグナルなんだ。