$T_{2s}= T_1 \left(\frac{P_2}{P_1}\right)^{\frac{\gamma-1}{\gamma}}$
$w_s = \frac{\gamma}{\gamma-1}R T_1 \left[\left(\frac{P_2}{P_1}\right)^{\frac{\gamma-1}{\gamma}} - 1\right]$
入口条件・圧縮比・ポリトロープ指数を変えて出口温度・比仕事・断熱効率・実動力をリアルタイム計算。T-s線図とP-v線図でプロセスを可視化。
航空機エンジン(ターボファン):エンジン前方の「軸流圧縮機」で吸入空気を高圧縮。シミュレーターで圧縮比を10以上に設定し、等エントロピー効率を高く(>90%)すると、燃焼効率向上に必要な高温高圧空気が得られることが確認できます。
工場の空圧システム:往復式(レシプロ)圧縮機が多く使われます。ポリトロープ指数nを調整して「中間冷却器」の効果を模擬し、最終出口温度を下げる設計が可能です。温度が高すぎるとオイル劣化や機器故障の原因になります。
冷凍・空調サイクル:冷媒ガスを圧縮する「遠心式冷凍機」の設計に活用されます。冷媒の比熱比γは気体により異なるため、シミュレーターでガス種を変え(γを変更)、最適な圧縮比と効率のバランスを探ります。
水素ステーションのコンプレッサー:水素を高圧タンクに充填するための多段圧縮機設計。ポリトロープモデルを用いて各段の出口温度と必要仕事量を計算し、段間冷却の設計と全体効率の評価に使用されます。
このツールを使い始める際、特に気をつけてほしいポイントがいくつかあります。まず、「比熱比γ」と「ポリトロープ指数n」を混同しないこと。γは「気体そのものの性質」(例えば空気なら約1.4)で、nは「圧縮機の動作状態」を表します。nをγと同じ値に設定すると「等エントロピー効率100%」と同じ結果になりますが、それは現実的ではありません。例えば、空気(γ=1.4)を圧縮比3で圧縮する場合、nを1.35(現実的な値)にすると、出口温度は等エントロピー計算より約30K高くなります。この差を無視すると、冷却システムの設計が根本的に狂います。
次に、「等エントロピー効率」は万能ではないという点。ツールでは圧縮機タイプに応じて推奨値が出ますが、これはあくまで目安です。実際の効率は、流量や回転数、経年劣化で大きく変動します。例えば、遠心圧縮機を定格より低い流量で運転すると、サージングという不安定現象が起き、瞬間的に効率が大幅に低下します。ツールの計算結果は「設計点」での理想的な値と心得ておきましょう。
最後に、単位系の統一は必須です。入口温度を摂氏で入力していないか、圧力をゲージ圧で設定していないか要確認。全ての温度は絶対温度[K]、圧力は絶対圧[Pa, bar abs.]で計算されます。大気圧(1.013 bar abs.)を入口圧力とする場合、出口圧力を「8 bar」と設定したいなら、それは通常ゲージ圧なので、絶対圧では「9.013 bar abs.」と入力する必要があります。ここを間違えると、圧縮比が大きくずれ、すべての計算が台無しです。
遠心圧縮機で空気を圧縮する場合:T1=288K、P1=101.3kPa、PR=4.0、γ=1.4を入力。等エントロピー圧縮では理論出口温度T2s≈407K、必要な理論比仕事W_s≈120kJ/kg。実機でポリトロープ圧縮指数n=1.48を適用すると実出口温度T2≈424K、実比仕事W≈134kJ/kg、断熱効率ηad≈89%と計算されます。往復式圧縮機でPR=10.0の場合、同じ吸入条件でW_s≈220kJ/kg、η_ad≈82~85%が目安です。