港湾共振計算機 戻る
機械力学

港湾共振・固有振動数計算機

開口端/閉鎖端矩形港湾の固有振動周期・ヘルムホルツ共振をリアルタイム計算。長波(津波・高潮)の増幅率周波数応答と定在波パターンを可視化。

港湾パラメータ
境界条件
プリセット
港湾奥行き L
m
港湾幅 W
m
水深 h
m
ヘルムホルツモード(港口が小さい場合)
港口チャネル長 Lc
m
港口断面積 Am
計算結果
第1共振周期 T₁ [min]
第2共振周期 T₂ [min]
第3共振周期 T₃ [min]
ヘルムホルツ Th [min]
波速 c [m/s]
水深 h [m]
港湾
周波数
理論・主要公式

浅水波速:$c = \sqrt{gh}$

開口端 n次共振:$T_n = \dfrac{4L}{(2n-1)\,c}$  閉鎖端:$T_n = \dfrac{2L}{n\,c}$

$$f_H = \frac{c}{2\pi}\sqrt{\frac{A_m}{L_c \cdot V_b}}$$

(ヘルムホルツ共振:港口が湾内に比べ十分小さい場合)

港湾共振・固有振動数とは

🙋
「港湾共振」って何ですか?港の中だけで波が大きくなるということですか?
🎓
その通り!大まかに言うと、港の形と外からの波のリズムがたまたま合うと、港の中で波がどんどん大きくなる現象だ。例えば、浴槽の水を一定リズムで揺らすと、あるタイミングで水が大きく跳ね上がるよね。あれと同じ原理が、巨大なスケールの港で起こるんだ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ、どんな港が危ないんですか?このシミュレーターの「奥行きL」や「水深h」を変えると変わるんですか?
🎓
そうだね。長細い袋状の港ほど共振しやすいよ。上のスライダーで「奥行きL」を長くしてみて。計算される基本周期が長くなるのがわかるかな?これは、波が港の奥と入口を往復する時間が長くなるからだ。逆に「水深h」を深くすると波の伝わる速さが上がるから、周期は短くなるんだ。
🙋
なるほど!でも、港の入口って狭いですよね。あの狭さも関係あるんですか?「港口断面積Am」とか「チャネル長Lc」ってパラメータがありますが。
🎓
鋭いね!入口が細長い水路になっている港は、別の「ヘルムホルツ型」という共振を起こす。これはコーラの瓶を吹くと「ポー」と鳴るのと同じ原理だ。シミュレーターで「港口断面積Am」を小さく、「チャネル長Lc」を長く設定してみて。そうすると、このヘルムホルツ共振の周期が計算される。実務では、入口が狭い漁港や入り江でこのタイプの共振が問題になることが多いんだ。

よくある質問

本ツールは理想的な矩形港湾を前提としています。実際の複雑な形状では誤差が生じますが、初期検討や傾向把握には有効です。より正確な解析には、数値波動シミュレーション(Boussinesqモデル等)をご検討ください。
特に津波や高潮などの長波(周期が数分〜数十分)に対して、港湾内で増幅が生じやすくなります。計算された固有周期と一致する波が来襲すると、共振により水位変動が大きくなるため、防災計画の参考にしてください。
港口が外海に開かれている場合は「開口端」、防波堤などで完全に閉じられた港は「閉鎖端」を選択します。実際の港は開口端に近いケースが多いですが、港口の幅や構造により補正が必要な場合もあります。
本ツールは一様水深を仮定しています。水深が大きく変化する場合、波速が場所ごとに変わるため実際の共振周期は変わります。そのような場合は、代表的な水深を複数試すか、段階的な水深変化を考慮できる高度な解析ツールをご利用ください。

実世界での応用

津波・高潮防災計画:津波の周期(通常10分〜1時間)が港湾の固有周期と一致すると、港内で波高が大幅に増幅されます。このツールで固有周期を事前に把握し、避難計画や防波堤の設計に役立てます。例えば、特定の周期の津波に対して脆弱な港を特定できます。

港湾・漁港の設計:新設や改修時に、共振を起こしにくい形状を検討します。防波堤の延長(実質的な「奥行きL」の変更)や、浚渫による水深hの変化が固有周期にどう影響するかをシミュレーションで確認し、安全な設計に導きます。

係留船舶の安全評価:港内で共振が起きると、長周期の大きな水面変動が発生し、係留されている船のロープが切れたり、船体が岸壁に衝突したりする事故(「縦揺れ共振」)の原因となります。港湾の固有周期と船舶の動揺周期が重ならないかを評価します。

CAEシミュレーションの前処理・検証:大規模な津波数値解析(例:STOC-ML, TUNAMI)を行う前に、この簡易ツールで対象港湾のおおよその共振特性を把握します。複雑な計算結果の妥当性を、この基本原理に基づいて素早くチェックする「サニティチェック」として活用されます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるときに、特に気をつけてほしいポイントがいくつかあるよ。まず、「計算結果は理想的な矩形モデルでの値」だということを肝に銘じておこう。実際の港は複雑な地形で、海底も平らじゃない。例えば、奥行きL=500m、水深h=10mと入力すると基本周期が約100秒と出ても、実港湾では海底の勾配や湾内の構造物の影響で、実際の共振周期はこれから±10〜20%くらいズレることもある。ツールの結果は「だいたいこの辺りの周期に注意が必要」という目安として使ってね。

次に、パラメータの「代表値」の選び方。これが一番難しい。例えば「平均水深h」だけど、港の入口は深くて奥は浅いことが多いよね。そんなときは、共振に効くのは港の奥の方の浅い水深だと考えて、少し浅めの値を代表値として選ぶのがコツだ。全部の面積で平均した深さを使うと、実際より短い周期(=危険を見逃す可能性)が出てしまうから注意だ。

最後に、「一つの周期だけ見ていればいいわけじゃない」という点。ツールは第1次モード(n=1)から順に計算するけど、n=2,3の高次モードも無視できない。例えば、基本周期が3分の港でも、その半分の1.5分の周期の波が来たら、今度は港の真ん中で波が大きく跳ねる「節」ができる。防災計画を立てるときは、こうした複数のモードを想定して、港のどこが特に危険になるかを考える必要があるんだ。