応答スペクトル法を用いて、設計ベースシア・固有周期・層間変位角をリアルタイムに計算します。階数、地盤種別、地震動条件を変えながら耐震性能を確認できます。
耐震設計の基本は、建物が抵抗すべき等価水平力、すなわちベースシア $V$ を求めることです。この簡易モデルでは、建物重量と設計用の応答スペクトルに基づいて計算します。
$$ V = C_s W $$ここで $V$ は設計ベースシア、$W$ は建物の地震重量、$C_s$ は地震応答係数です。$C_s$ は建物の周期 $T$、地震ハザード、用途上の重要度などに依存します。
建物の固有周期 $T$ は、建物がどの程度ゆっくり揺れるかを表します。モーメント抵抗フレームでは、次のような近似式が使われます。
$$ T_a = C_t h_n^x $$鋼構造では $C_t = 0.028, x=0.8$、RC構造では $C_t = 0.016, x=0.9$ が一例です。$h_n$ は建物高さです。このシミュレーターでは初期検討向けに $T \approx 0.1N$ の簡易式を用いています。
高層建物の設計: 柱・梁・接合部の断面検討では、設計地震時のベースシアと層間変形角を確認します。高層建物ではエレベーターシャフトやカーテンウォールへの影響も重要です。
病院・学校の耐震補強: 既存建物では現行基準に基づいてベースシアと変形を評価し、必要に応じてブレースや耐震壁を追加して剛性と耐力を高めます。
重要インフラ: 橋梁、発電所、制御棟などでは許容変形がより厳しく、簡易式に加えて詳細なFEM解析や時刻歴応答解析が用いられます。
共同住宅・一般建築: 地盤種別の選択は結果に大きく効きます。軟弱地盤では同じ建物でも大きな地震力や変形が生じるため、基礎計画にも影響します。
最初に注意したいのは、リアルタイム計算は正式な構造計算書ではないという点です。NovaSolverはパラメータ検討用であり、最終設計の代替にはなりません。実建物では平面形状、壁配置、剛性分布によって周期や応答が変わります。
また、地震係数 $C_s$ が小さければ常に安全 というわけではありません。応答低減係数 $R$ を大きくすると見かけの地震力は小さくなりますが、許容すべき変形は大きくなります。耐力と変形性能のバランスが重要です。
最後に、地盤種別の選定は非常に重要です。実務ではN値などの地盤調査に基づいて分類します。このツールでは、地盤条件を変えると結果がどれだけ変わるかを体感する目的で使ってください。
RC造6階建て事務所(階高3.5m、合計高21m)で地盤II種の場合:固有周期T=0.85秒、建築基準法のZc=0.8・Rt=1.0・Ai=1.0を適用すると、設計ベースシアCb≒0.32となります。総重量10000kNに対し層せん断力V1階=3200kN、2階=2720kNと逆三角形分布が得られます。変形性能確認では層間変位角1/200以下を満たすことを確認してください。