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熱解析

ヒートポンプ・冷凍サイクル計算機

蒸発温度・凝縮温度・圧縮機効率を設定してCOP・圧縮仕事・熱負荷をリアルタイム計算。P-hモリエル線図を即時描画。R-410A/R-134a/R-32/R-22対応。

サイクル設定
動作モード
冷媒選択
蒸発温度 T_evap
°C
凝縮温度 T_cond
°C
過熱度 SH
K
過冷却度 SC
K
圧縮機断熱効率 η_s
計算結果
COP 暖房
COP 冷房
圧縮仕事 W [kJ/kg]
熱負荷 Qh [kJ/kg]
カルノーCOP
第2法則効率 η_II
P-h モリエル線図
Ph
COP vs 凝縮温度
COP比較
理論・主要公式

蒸気圧縮サイクル:

$$\text{COP}_h = \frac{Q_h}{W}= \frac{h_2 - h_4}{h_2 - h_1}$$ $$\text{COP}_c = \frac{Q_c}{W}= \frac{h_1 - h_4}{h_2 - h_1}$$

カルノーCOP(暖房):$\text{COP}_{Carnot}= \dfrac{T_h}{T_h - T_c}$(絶対温度)

第2法則効率:$\eta_{II}= \text{COP}_{actual}/ \text{COP}_{Carnot}$

ヒートポンプ・冷凍サイクル計算機とは

🙋
このシミュレーターで計算できる「COP」って何ですか?電気代に関係あるんですか?
🎓
大まかに言うと、エネルギー変換の効率を表す成績係数だよ。例えば、暖房COPが3なら、電気代1円分の電力で3円分の暖房熱を得られるということ。電気ヒーター(COP=1)よりずっとお得だね。実際に、上の「蒸発温度」と「凝縮温度」のスライダーを動かしてみると、COPの値がどう変わるか体感できるよ。
🙋
え、そうなんですか!「過熱度」や「過冷却度」ってスライダーもありますけど、これって何を調整してるんですか?
🎓
良いところに気づいたね。これは実務で設計者がよく調整するパラメータなんだ。過熱度は、蒸発器を出た冷媒ガスをさらに何度温めるか。これを大きくすると圧縮機が安全に動くけど、効率が下がることもある。逆に過冷却度は、凝縮器を出た冷媒をさらに冷やす度合いだ。この「圧縮機効率」と合わせて変えてみると、COPや必要な仕事量がどう変わるか、トレードオフの関係がよくわかるよ。
🙋
画面右のぐにゃぐにゃした線図(P-h線図)は、何を見てるんですか?冷媒の種類を変えると形が変わりますね。
🎓
あれは冷媒の「地図」みたいなものだ。横軸が冷媒1kgあたりのエネルギー(エンタルピー)、縦軸が圧力だ。線図上の点が、蒸発器や凝縮器での冷媒の状態を表している。君がパラメータを変えると、点が動いてサイクルが変形するのがリアルタイムで見えるでしょう?例えばR-410AとR-134aを切り替えると、同じ温度でも圧力が大きく異なる。これが機器の強度設計に直結するんだ。

よくある質問

圧縮機効率の設定値が適切か確認してください。効率を100%に近づけるとCOPが過大になります。また、蒸発温度と凝縮温度の差が大きすぎるとCOPは低下します。実用的な範囲(例:蒸発温度-10〜10℃、凝縮温度30〜50℃)で設定することを推奨します。
冷媒の種類と温度範囲が整合しているか確認してください。例えばR-410Aで凝縮温度を80℃に設定すると臨界点に近づき異常な線図になります。各冷媒の推奨温度範囲(R-410A:-40〜60℃程度)内で設定し、圧縮機効率は0.6〜0.9の範囲で調整してください。
暖房COPは凝縮器の放熱量、冷房COPは蒸発器の吸熱量を圧縮仕事で割った値です。暖房用途なら暖房COP、冷房用途なら冷房COPを参照してください。同一条件では暖房COPは冷房COPより約1大きくなります(凝縮器の放熱量=蒸発器の吸熱量+圧縮仕事のため)。
可能ですが、使用した冷媒種、温度条件、圧縮機効率を明記してください。本ツールは理想サイクルベースで実機の損失(配管圧損、熱損失等)を考慮していないため、実設計には安全率(通常1.1〜1.3倍)を加味することを推奨します。

実世界での応用

建築・住宅設備設計:エアコンや給湯ヒートポンプの機器選定や年間エネルギー消費量(APF)を概算する際の基礎計算に使われます。外気温(蒸発温度)と給湯温度(凝縮温度)を設定し、季節ごとのCOP変動を評価します。

データセンター冷却:サーバーから発生する熱を効率的に排熱する冷凍サイクルの設計に活用されます。冷却水温度や冷媒の種類(R-134a等)を変え、最適なCOPと圧縮機仕事のバランスを探ります。

産業用冷凍プロセス:食品冷凍倉庫や化学プラントの低温プロセスでは、多段圧縮やキャスケード冷凍など複雑なサイクルを組むことがあります。その基本ユニットの性能を、過冷却度や過熱度を調整しながらシミュレートできます。

電気自動車の熱管理:車室内の暖冷房とバッテリー冷却を統合的に行うヒートポンプシステムの開発で、広い作動温度域でのCOPと熱負荷を計算し、システム構成の検討材料とします。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特に学習目的の方はいくつかつまずきやすいポイントがあるよ。まず第一に、「蒸発温度と凝縮温度は、単に外気温や水温ではない」ということ。例えば、外気温7℃の時に屋外熱交換器(蒸発器)の冷媒温度は、熱交換に必要な温度差(ペナルティ)を引いて、実際は0℃や-2℃くらいに設定されるんだ。このツールで「蒸発温度」を設定する時は、冷媒そのものの温度を考えよう。

次に、「COPが高い設定が常に最善」とは限らないというトレードオフの理解。確かにCOP3.5は2.8より効率が良い。でも、例えば蒸発温度を上げてCOPを高くすると、得られる熱量(能力)自体が小さくなる場合がある。必要な暖房能力を満たせなければ意味がないよね。実務では、要求能力を満たした上で、可能な限りCOPを高めるパラメータを探す、という二段階の思考が必要だ。

最後に、ツール上では「圧縮機効率」を自由に変えられるけど、現実の圧縮機はある程度の効率範囲でしか動作しないということ。スクロール圧縮機なら高効率(例えば85〜90%)だが、往復動圧縮機はそれより低いことも。カタログ値や実機データを参照して、現実的な範囲で遊ぶのがコツだね。