ここが一番大事な落とし穴だ。水力直径はあくまで「等価な長さスケール」であって、本物の直径じゃない。摩擦やレイノルズ数、伝熱の相関式に D の代わりに入れるのはOK。でも流量を出すときに π·D_h²/4 で断面積を計算するのは間違い。実際の断面積 A とずれるからね。このツールは『等価円管との面積比』A/(π·D_h²/4) を表示していて、これが 1 からどれだけ離れているかで「D_h の円とは面積が違う」ことが一目で分かる。流量は必ず実断面積 A を使うこと。これだけは覚えておいてほしい。
円管の摩擦損失や伝熱の相関式(ムーディ線図、ディタス・ベルター式など)は直径 D を基準に整理されています。矩形や円環のダクトをそのまま扱うと相関式が使えませんが、D_h = 4A/P で「等価な長さスケール」を定義すれば、円管の式に D の代わりに D_h を入れるだけで概算できます。これが水力直径の最大の存在意義です。
レイノルズ数は Re = U·D_h / ν で計算します(U は平均流速、ν は動粘度)。円管と同様に Re < 2300 を層流、それ以上を乱流の目安とします。ただし水力直径による判定はあくまで近似で、断面が極端に偏平な場合や円環の隙間が狭い場合は遷移レイノルズ数が標準値からずれることがあるため、精密な設計では断面形状ごとの実験値や数値解析を併用します。
いいえ、水力直径は「等価長さスケール」であって幾何学的な直径ではありません。例えば D_h と同じ直径の円管を考えると、その断面積は π·D_h²/4 となり、元の非円形ダクトの断面積 A とは一般に一致しません。本ツールは『等価円管との面積比』A/(π·D_h²/4) を表示し、水力直径が面積を保存しないことを可視化します。流量計算では D_h ではなく実断面積 A を必ず使ってください。
次に、「濡れ縁長さに自由表面や非接触面を含めてしまう」こと。濡れ縁長さ P は、あくまで流体が固体壁に接して摩擦を受ける周長です。開水路の水面、二相流の気液界面、流れに寄与しないデッドスペースの壁などは濡れ縁に含めません。満流の矩形ダクトなら4辺すべてが濡れ縁ですが、開水路なら水面を除いた3辺だけです。この区別を誤ると D_h の値が大きくずれ、圧損やレイノルズ数の見積もりが根本から狂います。