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プラスチック成形プロセス計算機

射出成形・充填圧力・冷却時間計算機

ランナー形状・溶融粘度・成形品肉厚を入力して充填圧力・冷却時間・型締め力・サイクルタイムを即計算。溶融樹脂の充填過程をアニメーションで可視化します。

材料プリセット
ランナー・成形品
ランナー長さ L
mm
ランナー半径 R
mm
体積流量 Q
cm³/s
溶融粘度 η
Pa·s
成形品肉厚 t
mm
溶融樹脂温度 T_m
°C
金型温度 T_mold
°C
離型温度 T_eject
°C
計算結果
計算結果
充填圧力 [MPa]
冷却時間 [s]
型締め力 [kN]
サイクルタイム [s]
溶融樹脂充填アニメーション
金型
理論・主要公式
充填圧力(Hagen-Poiseuille):
$\Delta P = \dfrac{8\eta Q L}{\pi R^4}$

冷却時間:
$t_c = \dfrac{t^2}{\pi^2\alpha}\ln\!\left(\dfrac{4}{\pi}\cdot\dfrac{T_m - T_{mold}}{T_{ej}- T_{mold}}\right)$
$\alpha = k/(\rho c_p)$ — 熱拡散率

射出成形の充填と冷却とは

🙋
このシミュレーターで計算してる「充填圧力」って、射出成形で具体的に何がわかるんですか?
🎓
大まかに言うと、溶けた樹脂を金型の隅々まで流し込むために必要な圧力だね。例えばスマホケースを作る時、細いゲートから樹脂を流し込むけど、圧力が足りないと端まで充填できずに「ショートショット」という不良品になってしまう。上のスライダーで「ランナー半径R」を小さくしてみて。圧力が急激に上がるのがわかるかな?
🙋
え、すごい!半径を半分にしたら圧力が16倍近くになりました!でも、これって金型や成形機にどう影響するんですか?
🎓
良いところに気づいたね。この計算された充填圧力が、必要な「型締め力」を決めるんだ。樹脂を流し込む圧力で金型が開かないように、成形機で型をギュッと締める力が必要で、実務では「充填圧力×成形品の投影面積」で計算する。だから無駄に高い充填圧力だと、巨大で高価な成形機が必要になってしまうんだよ。
🙋
なるほど。じゃあ「冷却時間」の方は、肉厚を変えるとどうなるんですか?下の「成形品肉厚t」のバーを動かしてみてもいいですか?
🎓
もちろん!やってみて。ほら、肉厚が2倍になると冷却時間は約4倍になるだろう?これが冷却時間の計算で一番重要なポイントで、式に肉厚の2乗$t^2$が入ってるからだよ。自動車の大型バンパーみたいに肉厚があると、1サイクルに数十秒もかかるから、生産コストに直結するんだ。薄く設計すればサイクルタイムが短くなってお得、ってわけ。

よくある質問

ハーゲン・ポアズイユの式で圧力損失は半径の4乗に反比例するためです。半径が半分になると圧力は16倍になるため、設計上の微調整が大きな影響を与えます。シミュレーターで数値を変えて確認してみてください。
計算は理想的な熱伝導を仮定していますが、実際は金型温度のムラや冷却回路の配置、離型温度の設定値が影響します。また、肉厚が均一でない場合は最も厚い部分の冷却時間が支配的になるため、その値を入力してください。
樹脂の充填過程における圧力分布を可視化しています。赤色が高圧、青色が低圧を示し、ランナー入口から成形品末端に向かって圧力が低下していく様子をリアルタイムで確認できます。
目安としてご利用ください。計算値は充填圧力と投影面積から求めた理論値ですが、実際は樹脂の流動性や金型のベント(ガス抜き)状態により変動します。機械選定時は20〜30%の余裕を見ることを推奨します。

実世界での応用

家電製品の筐体成形:薄肉で軽量なノートPCやスマートスピーカーの外枠を成形する際、冷却時間を正確に見積もることでサイクルタイムを最適化し、コスト競争力を高めます。充填圧力から必要な型締め力を決定し、適切な射出成形機を選定します。

自動車部品の生産:大型で肉厚のあるバンパーやドアトリムでは、冷却時間が生産効率のボトルネックになります。肉厚設計と冷却水路配置の最適化に、これらの計算が基礎データとして活用されます。

医療用ディスポーザブル製品:シリンジや培養皿など、大量生産される薄肉製品では、1サイクルあたりの時間が製造コストに直結します。冷却時間のわずかな短縮が、年間では莫大な生産量の増加につながります。

金型設計の初期検討:ランナーの径や長さを決める際、充填圧力の計算は必須です。圧力が高すぎると金型が開いたりフラッシュ(バリ)が発生するため、計算結果をもとにランナーサイズやゲート位置を決定します。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める時に、いくつか気をつけてほしいポイントがあるよ。まず、「計算された冷却時間は絶対的な値ではない」ということ。計算式は理想的な平板冷却を仮定しているから、実際の成形品にはリブやボス、曲面があって熱が逃げにくい部分がある。例えば、スマホケースの側面にあるボタン用のリブは、本体の肉厚が1mmでも、その部分だけは冷却が遅れるんだ。だから計算値は「ベースライン」として捉えて、経験則で1.2〜1.5倍の安全係数をかけて考えるのが現場の知恵だね。

次に、粘度が固定値と思い込まないで。ツールでは樹脂種ごとに代表的な粘度を設定してるけど、実際の溶融樹脂の粘度は、せん断速度(流す速さ)と温度で大きく変わる。例えば、高速で充填すると樹脂が擦れて発熱し、粘度が下がって計算より低い圧力で流れる「せん断発熱」って現象が起きる。逆に、金型温度が低すぎると、樹脂がすぐに固まり始めて粘度が急上昇し、計算値よりはるかに高い圧力が必要になることもあるんだ。

最後に、「ランナー半径を大きくすれば圧力は下がるから安心」は危険ということ。確かに圧力は下がるけど、ランナーが太くなるとその分、冷却に時間がかかるし、無駄な樹脂も増える。ランナー自体の冷却が不十分だと、成形品を eject(取り出す)した後でランナー内部がまだ溶けてて、次のショットで混ざってしまう「オーバーパック」の原因にもなる。圧力低下と材料ロス/冷却時間のトレードオフを常に意識しよう。