LED設計・熱解析 戻る
解析ツール

LED設計・熱解析シミュレーター

壁面電力効率(WPE)・ジャンクション温度・光束・ビン選択をリアルタイム計算。駆動電流-効率カーブで最適動作点を即座に特定。光学設計と熱設計を統合した実務向けLEDエンジニアリングツール。

LED・駆動パラメータ
LEDタイプ
順電流 I_f
mA
順電圧 V_f (25℃)
V
WPE @ 350mA (25℃)
%
光束 (標準) Φ₀
lm
熱抵抗 θ_j-s (LED)
K/W
熱抵抗 θ_s-a (ヒートシンク)
K/W
雰囲気温度 T_a
温度係数 (光束) δΦ/ΔT
%/℃
温度係数 (V_f) dV/dT
mV/℃
計算結果
T_j ジャンクション温度 [℃]
動作時光束 Φ [lm]
発光効率 [lm/W]
入力電力 P_in [W]
駆動電流 vs 光束・発光効率
Iv
理論・主要公式

入力電力と光エネルギー:

$$P_{in}= V_f \cdot I_f, \quad P_{opt}= \eta_{WPE}\cdot P_{in}$$

発熱量と熱抵抗:

$$P_{heat}= P_{in}(1 - \eta_{WPE}), \quad T_j = T_a + P_{heat}\cdot (\theta_{j\text{-}s}+ \theta_{s\text{-}a})$$

温度補正後光束:

$$\Phi(T_j) = \Phi_0 \cdot \left[1 + \delta_\Phi \cdot (T_j - 25)\right]$$

発光効率(ランプ効率):

$$\eta_{lm/W}= \frac{\Phi(T_j)}{P_{in}}$$
ジャンクション温度 vs 光束低下率
フラックスビン参考表(ANSI/IEC準拠)
ビン光束範囲 (lm)代表用途現在の設計

LED設計・熱解析とは

🙋
LEDの「壁面電力効率(WPE)」って何ですか?シミュレーターで一番上にあるパラメータですけど。
🎓
大まかに言うと、電気を光に変える効率だよ。入力した電力($V_f \times I_f$)のうち、何%が光エネルギーになるかを表す数値さ。例えばWPEが50%なら、半分は光になって、残りの半分は熱になる。このシミュレーターで「WPE @ 350mA」の値を変えてみると、出てくる光束や発熱量が大きく変わるのがわかるよ。
🙋
え、じゃあ熱の計算がすごく大事なんですね。「熱抵抗」ってパラメータが2つありますけど、これはどう使い分けるんですか?
🎓
その通り!LEDは熱に弱いから、熱設計が命なんだ。$\theta_{j\text{-}s}$はLEDチップ(ジャンクション)からパッケージ表面までの熱の通りにくさ、$\theta_{s\text{-}a}$はその表面から外気(雰囲気)までの通りにくさだ。実務では、$\theta_{j\text{-}s}$はLEDメーカーのデータシートから、$\theta_{s\text{-}a}$は自分で選ぶヒートシンクの性能で決まるんだ。右側のスライダーで$\theta_{s\text{-}a}$を大きくすると、計算されるジャンクション温度$T_j$が一気に上がるから確認してみて。
🙋
「温度係数」ってパラメータもありますね。光束と順電圧にあるけど、これが効くと実際の明るさはどう変わるんですか?
🎓
いいところに気が付いたね。LEDは熱くなると光らなくなるんだ。光束の温度係数が「-0.01 /℃」なら、ジャンクション温度が25℃上がるごとに光束は約2.5%ずつ低下する。シミュレーターで「雰囲気温度$T_a$」を夏場の高温(例:40℃)に設定して、$\theta_{s\text{-}a}$(ヒートシンク性能)を悪くすると、$T_j$が跳ね上がって、最終的な光束がカタログ値よりずっと低くなることが体感できるよ。これが設計ミスで製品が暗くなる原因さ。

よくある質問

シミュレーター上で駆動電流を変化させると、WPE(壁面電力効率)がリアルタイムでプロットされます。効率が最大となる電流値が理論上の最適点ですが、実際は目標光束やジャンクション温度制限も考慮し、効率が急激に低下する手前の電流値を実用的な最適動作点として選定します。
まず入力した熱抵抗(Rth)と周囲温度(Ta)が実態と合っているか確認してください。特に基板やヒートシンクの熱抵抗値が過小評価されていないか、駆動電流が想定以上に大きくないかをチェックします。また、WPEが低すぎると発熱が増大するため、効率データの入力値も見直してください。
LEDメーカーが提供する光束や順方向電圧のビン範囲を入力し、目標性能(例:光束1000lm)を達成可能なビンの組み合わせを即座に抽出できます。これにより、設計段階で歩留まりを考慮した最適なビン選定が可能となり、量産時のばらつきリスク低減に役立ちます。
従来は光学と熱を別々に検討するため、ジャンクション温度上昇による光束低下やWPE変化を見落としがちでした。本ツールでは温度依存の効率カーブを反映し、発熱による光出力の劣化をリアルタイムで計算。光学レンズ設計と放熱設計のトレードオフを同時に評価でき、試作回数を削減できます。

実世界での応用

LED照明器具の設計:このシミュレーターの主な用途です。目標光束を達成しつつ、許容ジャンクション温度(通常85℃や105℃以下)に収めるための最適な駆動電流($I_f$)とヒートシンク($\theta_{s\text{-}a}$で表現)の組み合わせを探します。光束の温度低下も考慮するため、高温環境でも規定の明るさを維持できる設計が可能です。

自動車用LEDライト:エンジンルーム内など高温環境下での使用が前提です。雰囲気温度$T_a$を高く設定し、熱暴走を防ぐための十分な放熱設計($\theta_{s\text{-}a}$を小さく保つ設計)が求められます。また、振動や信頼性の観点から、実測に基づく正確な$\theta_{j\text{-}s}$の値が特に重要になります。

LEDの寿命予測(信頼性設計):計算された$T_j$はLEDの寿命(L70寿命:光束が70%に低下する時間)を推定するための直接的な入力パラメータです。一般的に$T_j$が10℃上昇すると寿命は約半分になると言われており、シミュレーターで$T_j$を低く抑える設計が、製品の長期信頼性と保証期間の設定に直結します。

電源(ドライバ)設計との連携:順電圧$V_f$の温度係数(dV/dT)は、負の値(温度上昇で$V_f$が低下)を持つため、定電流駆動するドライバ回路の設計に影響します。また、$T_j$が高くなるとWPE自体も低下する場合があり、そのフィードバックを考慮したより高度な設計解析にも発展できます。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターを使い始める際、特に初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず第一に、「データシート値は条件付き」という点。例えば、カタログに「WPE: 55% @ 350mA, 25℃」と書いてあっても、これはあくまで特定の電流・温度での値です。実際の使用電流が700mAなら、WPEは低下するのが普通。シミュレーターでは「WPE @ 350mA」を入力しますが、これはあくまで基準点。ツール内部で電流依存性を考慮して実際のWPEを計算していることを理解しておきましょう。

次に、熱抵抗θs-aは「システム全体」の値だということ。これはヒートシンク単体の性能ではなく、LEDパッケージを実装基板に実装し、ヒートシンクに取り付け、筐体に収めた状態での「総合的な熱の通りにくさ」です。例えば、ヒートシンクのカタログ値が5℃/Wでも、グリス塗布が悪かったり、筐体の通気が不十分だったりすると、実測では8℃/Wになることも。シミュレーション結果はあくまで理想条件での目安と心得て、設計には安全マージン(例えば計算Tjより20℃低く見積もる)を持たせるのが実務の知恵です。

最後に、光束の温度係数は線形ではないという点。シミュレーターでは簡略化のため線形(例: -0.01/℃)で計算していますが、実際のLEDの特性は高温域で低下がより顕著になることが多いです。そのため、夏場の高温環境(Ta=40℃以上)で使用する製品を設計する場合は、シミュレーション結果を過信せず、必ず実機での温度・光束測定を実施して検証するステップが不可欠です。