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電気回路シミュレーター

直列 RLC 回路 シミュレーター — 交流インピーダンスと共振

抵抗 R、コイル L、コンデンサ C を直列に接続した交流回路。周波数 f を変えてインピーダンス |Z|、位相角 φ、共振周波数 f0、Q 値をリアルタイム計算し、log-log 周波数特性を可視化します。

パラメータ設定
抵抗 R
Ω
インダクタンス L
mH
容量 C
μF
周波数 f
Hz

共振周波数は f0 = 1/(2π·√(LC))。周波数スイープは f を 1 Hz から 100 kHz へ自動で動かし、共振点を通過します。

計算結果
インピーダンス |Z|
共振周波数 f0
位相角 φ
品質係数 Q
直列 RLC 回路

AC 電源(正弦波シンボル)→ R(ジグザグ) → L(コイル) → C(平行線) を直列接続。電流方向と各素子の電圧降下、位相角を波形で表示。

周波数特性 |Z|(f)

横軸 = 周波数 f (Hz, log) / 縦軸 = インピーダンス |Z| (Ω, log) / 黄 = 現在の f、破線 = 共振周波数 f0、V 字曲線が共振点で最小値 R に到達。

理論・主要公式

角周波数 $\omega = 2\pi f$ における直列 RLC 回路の各リアクタンスは:

$$X_L = \omega L,\qquad X_C = \frac{1}{\omega C},\qquad X = X_L - X_C$$

合成インピーダンスの大きさと位相角:

$$|Z| = \sqrt{R^2 + X^2},\qquad \varphi = \arctan\!\left(\frac{X}{R}\right)$$

共振周波数(X_L = X_C となる周波数):

$$f_0 = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}$$

品質係数(共振の鋭さ):

$$Q = \frac{1}{R}\sqrt{\frac{L}{C}} = \frac{\omega_0 L}{R}$$

共振点 f = f0 では X = 0 となり |Z| = R で最小、位相角 φ = 0 で純抵抗的にふるまいます。

直列 RLC 回路 シミュレーターとは

🙋
スピーカーの分周回路に「LC ローパス」とか「RLC バンドパス」って書いてあるんですけど、抵抗とコイルとコンデンサが直列に並ぶと何が起きるんですか?周波数で何かが変わるってこと?
🎓
いい質問だ。コイル L とコンデンサ C は「周波数で抵抗値が変わる」素子なんだよ。コイルは X_L = ωL で高周波ほど詰まる、コンデンサは X_C = 1/(ωC) で低周波ほど詰まる。だから直列に並べると、ある特定の周波数で両者がちょうど打ち消し合って残るのは R だけ、という現象が起きる。これが「共振」だ。シミュレーターで f を 1 Hz から 100 kHz までスイープしてみて。V 字の谷ができるだろ?谷の底が共振周波数 f0 = 1/(2π√(LC)) だ。
🙋
なるほど!その共振点で |Z| が最小になるってことは、電流が最大になるんですよね?それって何の役に立つんですか?
🎓
その通り。直列共振では電源から見たインピーダンスが純抵抗 R に等しくなり、そこで電流が最大になる。だからラジオの選局回路では、聴きたい局の周波数を共振点に合わせると、そこの信号だけが大きな電流として現れる。他の周波数の局は |Z| が高いので電流が流れない。これが「同調」だ。デフォルト値(R=100, L=10mH, C=1μF)だと f0 ≈ 1591.5 Hz で、ちょうどシミュレーターの初期値 1592 Hz と一致するから、共振真っ最中の状態が見られるよ。
🙋
Q 値の「品質係数」って何ですか?1.00 って表示されてますけど、これは何の品質ですか?
🎓
Q は共振の鋭さ、つまり「どれだけ狙った周波数だけ選べるか」の指標だ。Q = (1/R)·√(L/C) で計算する。Q が大きいほど V 字の谷が深くて鋭くなり、狙った周波数だけくっきり選べる。Q が小さいと谷が浅くてなだらかになる。シミュレーターで R を 10 に下げてみて。Q は 10 倍になり、V 字がぐっと鋭くなる。逆に R を 1000 にすると Q は 0.1 で、もはや V 字とは呼べないなだらかなカーブになる。ラジオは Q 100 以上、オーディオフィルタは Q 0.7(バターワース)あたりが目安だ。
🙋
位相角 φ が共振点で 0 度って書いてありますけど、共振点を外れるとどうなるんですか?
🎓
いいところを見てる。共振点を境に符号が入れ替わるんだ。f < f0 ではコンデンサが優勢(X_C > X_L)で、回路は「容量性」になり電流は電圧より進む(φ が負)。f > f0 ではコイルが優勢(X_L > X_C)で、回路は「誘導性」になり電流は電圧より遅れる(φ が正)。シミュレーターで f を 500 Hz と 5000 Hz に動かしてみて。波形パネルの I(t) が V(t) に対して左右にずれるのが見える。位相が分かるとフィルタの群遅延や、力率改善の容量補償の設計ができるようになる。
🙋
L と C の値を変えると共振周波数が動くって聞いたんですけど、どっちを増やすとどう動くんですか?
🎓
f0 = 1/(2π√(LC)) だから、L か C のどちらを増やしても f0 は下がる。逆にどちらかを下げると f0 は上がる。シミュレーターで C を 1 μF → 100 μF に動かしてみて。√100 = 10 倍だから、f0 は約 1591.5 Hz から 159.2 Hz に下がる。ラジオの同調つまみは可変コンデンサで C を変えて f0 を選局し、無線機の VFO はバリキャップで電子的に C を変える。EMC フィルタの設計では「カットオフを下げたい」→「L と C を大きく」、「小型化したい」→「L を小さく、その分 C を大きく」というトレードオフがある。

物理モデルと主要な数式

直列 RLC 回路は、抵抗 $R$、インダクタンス $L$、容量 $C$ を一直線に並べて交流電源 $V(t) = V_0\sin(\omega t)$ を加えた回路です。各素子は周波数 $f$(角周波数 $\omega = 2\pi f$)に応じた「インピーダンス」を持ちます。抵抗は周波数によらず $Z_R = R$、コイルは $Z_L = j\omega L$(純虚数で位相 +90°)、コンデンサは $Z_C = 1/(j\omega C) = -j/(\omega C)$(位相 -90°)。直列接続なので各インピーダンスは複素数として加算され、回路全体のインピーダンスは $Z = R + j(\omega L - 1/(\omega C))$ となります。

大きさ $|Z| = \sqrt{R^2 + (\omega L - 1/(\omega C))^2}$ と位相角 $\varphi = \arctan((\omega L - 1/(\omega C))/R)$ が、振幅と時間遅れの観測量です。共振周波数 $f_0 = 1/(2\pi\sqrt{LC})$ では $\omega_0 L = 1/(\omega_0 C)$ なので括弧内が 0 になり、$|Z| = R$ で最小、$\varphi = 0$ で純抵抗的にふるまいます。品質係数は $Q = (1/R)\sqrt{L/C} = \omega_0 L/R = 1/(\omega_0 R C)$ で、共振の鋭さ(半値幅 $\Delta f = f_0/Q$)を決めます。

シミュレーターは既定値 $R = 100$ Ω, $L = 10$ mH, $C = 1.0$ μF, $f = 1592$ Hz で $|Z| = 100.0$ Ω, $f_0 = 1591.5$ Hz, $\varphi = 0.0°$, $Q = 1.00$ を出力します。$f = 1592$ Hz は理論共振点 1591.5 Hz とほぼ一致するため、$\omega L \approx 1/(\omega C) \approx 100$ Ω となり、リアクタンスが完全に打ち消し合って |Z| が $R$ ちょうどに収まることを確認できます。

実世界での応用

ラジオの同調回路:AM ラジオの選局つまみは可変コンデンサで C を変えて f0 を 530 kHz〜1600 kHz の範囲で動かし、聴きたい局の搬送波周波数に合わせます。共振点では電流が最大になるため、その局の信号だけがアンテナから取り込まれ、他の局は |Z| が高くて電流が流れないため拒否されます。Q が大きいほど選択度が高く、隣接局との分離がよくなります。

スピーカーネットワーク(クロスオーバー):2-way / 3-way スピーカーでは、低音はウーハー、高音はツイーターに分けるため LC・RLC バンドパスフィルタを使います。ツイーターには高域通過(C 主体)、ウーハーには低域通過(L 主体)、ミッドレンジには RLC バンドパスを構成し、それぞれの周波数帯だけを各ユニットに送ります。クロスオーバー周波数は f0 と Q で決まります。

電源 EMI フィルタ:スイッチング電源のノイズ抑制には、ラインに直列の L とパラレルの C で構成された π 型・T 型フィルタが使われます。電源周波数(50/60 Hz)は通すが、高周波スイッチングノイズ(kHz〜MHz)は遮断する設計です。Q が大きすぎると共振点で逆にノイズを増幅してしまうため、ダンピング抵抗 R で Q を制限する設計が一般的です。

力率改善コンデンサ:工場の誘導モータ負荷は誘導性で電流が電圧より遅れ、力率が悪化します。並列にコンデンサを入れると容量性リアクタンスで打ち消し、見かけ上の力率を 1 に近づけることができます。理想的には誘導負荷の $X_L$ に対し $X_C = X_L$ となる C を選びますが、過補償だと力率が容量性に振れて逆に悪化するため、計測値に基づいた設計が必要です。

よくある誤解と注意点

まず多い誤解が、共振点で電流が無限大になると思うこと。理想的な L と C だけなら共振点で |Z| = 0 となり電流が無限大になるが、現実の回路には必ず抵抗(コイルの巻線抵抗、コンデンサの ESR、配線抵抗)が含まれる。シミュレーターでも R = 0 にはできない設計で、共振点では |Z| = R に下がるだけ。R が小さいほど Q が大きく共振が鋭くなるが、Q が極端に大きいと部品定格を超える電流が流れる危険があるので注意。

次に、並列共振と直列共振を混同するミス。直列 RLC では共振点で |Z| が最小(電流最大)、並列 RLC では共振点で |Z| が最大(電流最小)になる。挙動が真逆なので、用途に応じて使い分けが必要だ。アンテナの送信整合は直列共振、トラップ回路(特定周波数だけ阻止)は並列共振、と使い分ける。シミュレーターは直列専用なので、|Z| の V 字(谷)が共振点であることを覚えておこう。

最後に、共振周波数を L や C だけで決められると思う落とし穴。実は f0 = 1/(2π√(LC)) は L と C の積で決まるので、L を 2 倍にして C を 1/2 にすれば f0 は変わらない。しかし Q = (1/R)√(L/C) は L/C の比で変わるので、同じ f0 でも Q(選択度)は変わる。設計時は f0 と Q を別々に決めて、L, C, R を組み合わせで選ぶ必要がある。RF 設計では L と C の比を「特性インピーダンス」√(L/C) として独立に管理する。

よくある質問

RC・RL 過渡応答シミュレーター(rc-rl-circuit)はステップ入力に対する時間領域の応答(充電・放電カーブ、時定数 τ = RC または L/R)を扱います。一方、本ツールは正弦波交流定常状態の周波数領域応答(|Z|、位相、共振)を扱います。同じ素子でも観点が違うため、過渡解析と周波数解析の両方を組み合わせて回路を理解することが重要です。直列 RLC の過渡応答は減衰振動になり、減衰係数 ζ = R/(2)·√(C/L) = 1/(2Q) で支配されます。
RLC 回路のインピーダンスは周波数で 5〜6 桁にわたって変化します。線形軸では低周波の挙動か高周波の挙動の片方しか見えませんが、log-log(両対数)プロットにすると全範囲が一枚のグラフに収まり、共振点の V 字形状もはっきり見えます。コンデンサの -20 dB/dec の傾き(X_C ∝ 1/f)とコイルの +20 dB/dec の傾き(X_L ∝ f)も log-log では直線として現れ、ボード線図の解釈にもそのまま使えます。
本ツールは直列 RLC 専用です。並列 RLC 回路は別途、交流回路インピーダンス計算シミュレーター(ac-circuit-impedance)を参照してください。並列共振では |Z| が共振点で最大(電流最小)となり、トラップ回路(特定周波数の遮断)や LC タンク(発振器の共振素子)として使われます。並列共振の品質係数は Q = R·√(C/L) = R/(ω0·L) と、直列の逆数関係になります。
Q が大きいと共振点で電流(あるいは電圧)が極端に大きくなり、部品の定格を超えて焼損する危険があります。例えば共振コンデンサ両端電圧は Q·V_in にも達するため、入力電圧 12 V でも Q = 100 だと 1200 V が瞬間的に印加される計算になります。また製造ばらつきで f0 が想定からずれると帯域から外れるため、Q が大きい回路ほど精密調整(トリマーコンデンサ等)が必要です。実用設計では Q を 1〜100 程度に収め、必要に応じてダンピング抵抗を加えます。