LEDの直列電流制限抵抗シミュレーター 戻る
電子回路

LEDの直列電流制限抵抗シミュレーター

LEDを点灯させるための「電流制限抵抗」をオームの法則で設計するツールです。電源電圧・順方向電圧・順方向電流・直列個数を入力すると、必要抵抗値・E12標準値・実電流・電力・効率がリアルタイムで分かり、LED回路の基本設計が一度で完了します。

パラメータ設定
電源電圧 V_s
V
電池やACアダプタなど供給側の電圧
LED順方向電圧 V_f
V
赤≈2.0V、緑/黄≈2.2V、青/白≈3.2V が目安
LED順方向電流 I_f
mA
標準的なインジケータLEDは 10〜20mA
直列 LED 個数 n
直列につなぐ LED の本数(並列は別途)
抵抗の許容差
E系列の許容誤差。標準は 5%
計算結果
抵抗にかかる電圧 (V)
理想抵抗値 (Ω)
推奨 E12 抵抗 (Ω)
実際の電流 (mA)
抵抗での電力消費 (W)
効率 η = P_LED/P_total (%)
LED回路図 — 電流の流れ

電池(左)→抵抗(中央)→直列LED(右)→電池へ戻る。LED の明るさは実電流に比例します。矢印は電流 I_f の向きを示します。

必要抵抗値 vs LED 個数 n
効率 η vs 電源電圧 V_s
理論・主要公式

$$R=\frac{V_s-n\,V_f}{I_f},\qquad P_R=R\,I_f^{2}=(V_s-n V_f)\,I_f$$

電流制限抵抗 R と抵抗での消費電力 P_R。V_s:電源電圧、V_f:LED 1個あたりの順方向電圧、n:直列 LED 個数、I_f:順方向電流。E12 で丸めると実際の電流は I_f より少し小さくなります(安全側)。

LEDの電流制限抵抗とは

🙋
LED って、ただ電池とつなぐだけだとダメなんですか?電球みたいに直接つないでも光りそうですけど。
🎓
それやると一瞬で壊れるよ。電球は「電圧駆動」だけど、LED は「電流駆動」の素子なんだ。順方向電圧 V_f(赤 LED で約 2V、白 LED で約 3.2V)をほんの少し超えただけで、電流が指数関数的にドーンと上がる。例えば V_f=2.0V の LED に 2.1V を直結すると、規格の 10 倍くらい流れて、チップが焼け切れて煙が出るレベルだよ。
🙋
こわっ。じゃあ、どうやって電流を「ちょうど」にするんですか?
🎓
いちばん簡単で確実なのが「直列に抵抗を 1 本入れる」方法。電源電圧 V_s から LED の V_f を引いた残りの電圧を抵抗が受け持ってくれて、その電圧を抵抗値で割った値が LED に流れる電流になる。式で言うと R = (V_s − n·V_f) / I_f。これが LED 回路設計の出発点で、まずこの 1 式を覚えるところから始まるんだ。
🙋
なるほど!ところで E12 標準値って何ですか?計算すると 495Ω なのに、ツールは 560Ω を勧めてきます。
🎓
いいところに気づいたね。市販の抵抗は任意の値で売られているわけじゃなくて、1.0、1.2、1.5、1.8、2.2、2.7、3.3、3.9、4.7、5.6、6.8、8.2(×10ⁿ)の 12 段階=E12 系列に決められてる。495Ω はカタログにないから、その上の 560Ω を選ぶ。すると実電流は I_f より少し小さくなるけど、安全側(LED に優しい)に倒れるからこれが正解なんだ。下に丸めると過電流で壊すリスクが出る。
🙋
あと「効率」が低いのも気になります。1個だと 17.5% しかありません…そんなにエネルギーを抵抗で捨ててるんですか?
🎓
するどい。これは抵抗方式の宿命で、「電源電圧と LED の電圧差」が全部抵抗の熱になっちゃう。12V で V_f=2.1V の LED 1個だと、抵抗が約 10V を背負うから効率は約 17%。でも左の「直列 LED 個数」を 4 に増やしてみて。すると LED 側の合計電圧が 8.4V になって、抵抗が背負うのは 3.6V だけ。効率は 70% 近くまで跳ね上がる。だから「電源電圧を有効に使うために LED を直列でできるだけ並べる」のが基本テクニックだよ。
🙋
それでも 1W 以上の高輝度 LED とかだと、抵抗で熱にするのはもったいない気がします。
🎓
その通り。1W を超えるパワー LED では抵抗方式は損失が大きすぎるから、定電流モードのスイッチング電源(バック型 LED ドライバ IC)を使うのが定番。これだと 90% 近い効率で電流を一定に保てる。ただし回路は複雑になるしコストも上がるから、表示用・パイロットランプ用みたいな低電力 LED では今でも「直列抵抗 1 本」が圧倒的に主流なんだ。シンプル・安価・壊れにくいという三拍子がそろってるからね。

よくある質問

オームの法則で計算します。R = (V_s − n·V_f) / I_f。V_s は電源電圧、V_f は LED 1個あたりの順方向電圧降下、n は直列に並べた LED の個数、I_f は流したい順方向電流です。例えば 12V 電源で V_f=2.1V の LED 1個に 20mA 流したいなら、R=(12−2.1)/0.020=495Ω。この計算値を E12 系列の標準抵抗値の中で最も近い大きい方(=560Ω)に丸めると、実際の電流は I_f より少し小さく安全側になります。
LEDは電圧駆動素子ではなく電流駆動素子だからです。V_f を少し超える電圧をかけただけで電流が指数関数的に跳ね上がり、規格電流の数倍が一瞬で流れて LED チップが熱で壊れます。例えば V_f=2.0V の赤色 LED に 2.1V をかけると、電流は10倍以上になり得ます。そのため LED を電源に直結することは原則禁止で、必ず電流を制限する素子(最も簡単なのは直列抵抗)を挟みます。
抵抗に消費される電力は P_R = (V_s − n·V_f) · I_f です。例えば 12V 電源・V_f=2.1V・1個・I_f=20mA なら P_R = 9.9V × 0.020A ≈ 0.20W。一般的な 1/4W(0.25W)抵抗で十分余裕がありますが、安全率は最低 2 倍、できれば 3 倍取ります。長時間連続点灯では抵抗自体も発熱で値が変化するため、計算値の 2 倍以上の定格電力(この例なら 1/2W)を選ぶのが実務での定石です。
電源電圧に余裕があるなら直列がはるかに効率的です。直列だと全 LED に同じ電流が流れるので明るさが揃い、必要な抵抗値も小さくなって損失が減ります。例えば 12V で V_f=2.1V の LED を 4 個点灯するなら、4 個直列にすると抵抗にかかる電圧は 12−8.4=3.6V だけで効率約 70%。逆に並列にすると個体差で電流が偏り、最悪 1 個に集中して焼損します。並列にしたい場合は LED ごとに別々の制限抵抗を付けるのが鉄則です。

実世界での応用

家電・電子機器のパイロットランプ:テレビのスタンバイ LED、PC マザーボードの通電 LED、UPS の状態表示など、機器が「電源オン」を示すための定番回路です。これらは数 mA〜10mA 程度の低電流で十分明るく見えるため、電流制限抵抗 1 本で必要十分。逆にここでわざわざスイッチング電源を使うのは部品コスト・実装面積の無駄になります。電源電圧が安定しているこの用途では、抵抗方式が今でも圧倒的多数派です。

マイコン基板の I/O 表示 LED:Arduino や Raspberry Pi の GPIO に LED をつなぐとき、必ず 220〜1kΩ 程度の直列抵抗を入れます。マイコンの 3.3V 出力で V_f=2V の LED なら R=(3.3−2)/0.005=260Ω → E12 で 270Ω や 330Ω が定番。抵抗を入れ忘れると LED が一瞬で焼損するだけでなく、マイコンの GPIO ドライバも過電流で壊れます。教科書の「Lチカ」回路で必ず抵抗が描かれているのはこのためです。

車載 12V 系の LED ランプ改造:車のルームランプを電球から LED に交換するとき、市販の LED アセンブリには既に電流制限抵抗が内蔵されていますが、自作する場合は 12V 系での設計が必要です。本ツールで V_s=12V、V_f=2.1V、I_f=20mA、n=4 と入れると、抵抗 180Ω・効率 70% という効率的な構成が得られます。ただし車のバッテリー電圧は実際には 11〜14V で変動するため、最大電圧で計算する保護的な設計が必要です。

電子工作・教育用 LED マトリクス:4×4 や 8×8 の LED マトリクスでは、各行/列に個別の電流制限抵抗を入れます。マトリクスはダイナミック点灯(時分割)するため、平均電流は小さくてもピーク電流は大きく、瞬間値で抵抗を設計します。例えば 1/8 デューティで点灯するなら、抵抗値は本ツールの計算値の 1/8 にすると見かけの明るさが揃います(ただし LED のパルス電流定格を超えないこと)。

よくある誤解と注意点

最大の落とし穴が、「LED を電源に直結したり、抵抗をケチって小さくする」こと。LED の I-V 特性は急峻な指数関数で、V_f 付近で電流が爆発的に増えます。「ちょっとくらい大丈夫」と V_s ぎりぎりの抵抗を選ぶと、抵抗の許容差(±5%)や電源電圧の変動(±10%)、温度による V_f 変化(−2mV/℃)が重なって規格電流の 1.5〜2 倍が流れ、LED の寿命が桁違いに短くなります。E12 で「上に丸める」のは怠慢ではなく、これらの変動への必須マージンです。

次に、「LED を複数並列にしてしまう」失敗。同じ型番でも V_f には個体差(±0.1V 程度)があり、並列接続だと V_f が最も低い LED に電流が集中します。最初は明るさの違いだけに見えても、集中した 1 個が熱で先に劣化 → さらに V_f が下がり電流集中が加速 → 連鎖的に焼損、というドミノ倒しが起きます。並列にどうしてもしたい場合は、LED 1 個ごとに個別の制限抵抗を付ける「並列+個別抵抗」構成が鉄則。あるいは「直列を優先し、足りない分だけ抵抗付きで並列にする」設計にします。

最後に、「効率の悪さを忘れて放熱を考えない」こと。12V で 1 個の LED に 20mA 流す回路は効率 17% で、80% 以上のエネルギーが抵抗で熱になります。基板に密集して並べると抵抗周辺の温度が 60℃ を超え、隣接部品や基板自体を傷めます。1/4W 定格の抵抗でも、実装条件によっては 1/8W 程度の電力でも触れないほど熱くなることがあります。電力が 0.1W を超える場合は放熱面積を確保するか、より大型(1/2W〜1W)の抵抗を選ぶか、根本的にスイッチング方式の LED ドライバへ切り替える判断が必要です。

使い方ガイド

  1. 電源電圧(例:5V、12V、24V)をVsに入力してください
  2. 使用するLEDの順方向電圧Vf(例:赤色LED=2.0V、青色LED=3.2V)を設定します
  3. 必要なLED電流If(例:20mA標準型、10mA省電力型)を指定します
  4. 直列接続するLED個数nを設定するとシミュレーターが理想抵抗値Rを自動計算します
  5. 計算結果から推奨E12標準値(10Ω、12Ω、15Ω、18Ω、22Ω、27Ω、33Ω、47Ω、56Ω、68Ω、82Ω)を選択して回路に組み込みます

具体的な計算例

電源12V、赤色LED(Vf=2.1V)×3個を20mA点灯させる場合:抵抗にかかる電圧=12-(2.1×3)=5.7V、理想抵抗値=5.7V÷0.020A=285Ω、推奨E12値=270Ω(20%誤差範囲)、実際の電流≒21mA、抵抗での電力消費≒0.12W。電源24V、白色LED(Vf=3.5V)×2個を15mAの場合:抵抗電圧=24-7.0=17V、理想値=1133Ω→推奨値1.2kΩ、実電流≒14.1mA、電力損失≒0.24W、LED効率η≒56%。

実務での注意点