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電気回路シミュレーター

キルヒホッフの法則 シミュレーター — 直並列抵抗回路

電圧源VにR_1を直列、その先にR_2とR_3を並列接続した回路で、キルヒホッフ電圧則(KVL)と電流則(KCL)をリアルタイム可視化。電流分配と電圧降下の関係を回路図と数値で同時に確認できます。

パラメータ設定
電源電圧 V
V
直列抵抗 R_1
Ω
並列抵抗 R_2
Ω
並列抵抗 R_3
Ω

既定値で全電流 54.5 mA、I_2 = 32.7 mA、I_3 = 21.8 mA、V_par = 6.55 V。スイープは R_3 を 1 Ω から 1000 Ω へ自動で動かします。

計算結果
全電流 I_total
分岐電流 I_2
分岐電流 I_3
並列部電圧 V_par
直並列回路図

電圧源 V → R_1(直列)→ ノード a → R_2 と R_3(並列)→ GND。電流方向は矢印で、各部の電圧降下を表示します。

KCL バーチャート: I_total = I_2 + I_3

青=全電流 I_total / 緑=分岐電流 I_2 / 橙=分岐電流 I_3 / I_total の高さが I_2 + I_3 と一致することを目視で確認できます。

理論・主要公式

電圧源 V に R_1 を直列、その先に R_2 と R_3 を並列接続した回路です。まず並列部の合成抵抗:

$$R_{par} = \frac{R_2\,R_3}{R_2 + R_3}$$

全抵抗とキルヒホッフ電圧則 (KVL) から全電流:

$$R_{total} = R_1 + R_{par},\qquad I_{total} = \frac{V}{R_{total}}$$

並列部両端の電圧と各分岐の電流:

$$V_{par} = V - I_{total}\,R_1,\qquad I_2 = \frac{V_{par}}{R_2},\quad I_3 = \frac{V_{par}}{R_3}$$

キルヒホッフ電流則 (KCL) による検証:

$$I_{total} = I_2 + I_3$$

電流は抵抗に反比例して分配されるため、R_2 < R_3 のとき I_2 > I_3 となります。

キルヒホッフの法則 シミュレーターとは

🙋
電池に抵抗を 1 本つなぐだけならオームの法則 V=IR で電流が出せますけど、抵抗が直列・並列で混じった回路はどうやって解くんですか?
🎓
そこで登場するのがキルヒホッフの法則だ。法則は 2 つだけで、KVL(電圧則)は「閉ループを 1 周すると電圧の合計はゼロ」、KCL(電流則)は「ある節点で入ってくる電流の合計=出ていく合計」だ。直並列回路ならまず並列部を合成して 1 個の抵抗にまとめれば、回路は単純な直列に化けて V=IR で全電流が出せる。あとは並列部の両端電圧から各分岐の電流が決まる仕組みだ。
🙋
既定値の V=12 V, R_1=100 Ω, R_2=200 Ω, R_3=300 Ω で、I_total が 54.5 mA って出てます。これってどう計算してるんですか?
🎓
手で追えるよ。並列部は R_par = R_2·R_3/(R_2+R_3) = 200·300/500 = 120 Ω。直列の R_1 を足して全抵抗 R_total = 220 Ω。KVL から全電流 I_total = V/R_total = 12/220 ≒ 0.0545 A = 54.5 mA。これがシミュレーターの上の青い stat とちょうど一致するだろ。続いて R_1 にかかる電圧が I_total·R_1 = 5.45 V なので、並列部の電圧 V_par は 12 − 5.45 = 6.55 V。これを各分岐に分配すれば I_2、I_3 が出る。
🙋
なるほど!じゃあ I_2 と I_3 はどっちの方が大きいんですか?回路図で見ると同じくらいに見えるんですけど…
🎓
並列分岐の電流は「両端の電圧が共通だから、抵抗が小さい方に多く流れる」。V_par = 6.55 V を R_2 = 200 と R_3 = 300 にかければ、I_2 = 6.55/200 ≒ 32.7 mA、I_3 = 6.55/300 ≒ 21.8 mA。比は 3:2 だ。バーチャートで I_2 + I_3 = 54.5 mA となり I_total と一致しているのが KCL の証拠だよ。スライダーで R_3 をぐっと下げると、I_3 側に電流が偏って I_total 自体も増えるのが面白いところだ。
🙋
R_3 を 1 Ω まで下げたらどうなりますか?ショートに近いんですよね?
🎓
いい実験だ。R_3 → 1 Ω なら R_par ≒ 1 Ω、R_total ≒ 101 Ω、I_total ≒ 119 mA まで増える。V_par は 0.12 V 程度に下がるので、I_2 = 0.12/200 ≒ 0.6 mA、I_3 = 0.12/1 = 120 mA。ほとんど全ての電流が R_3 を通る形になる。これがいわゆる「低抵抗側に電流が集中する」現象で、半導体回路の保護や、ヒューズ・分流器の設計に直結する考え方なんだ。スライダーを動かしながら R_3 スイープボタンを押すと、その様子を連続で観察できる。

物理モデルと主要な数式

キルヒホッフの法則は、抵抗・電圧源・電流源からなる任意の線形回路に対し、ループ電圧(電圧則 KVL)と節点電流(電流則 KCL)の保存則として 2 つの拘束条件を与えます。本シミュレーターでは電圧源 $V$ に直列抵抗 $R_1$ を接続し、その先に並列抵抗 $R_2$ と $R_3$ をつないだ単一ループ + 1 節点の回路を扱います。

並列部の合成抵抗は $R_{par}=R_2 R_3/(R_2+R_3)$、全抵抗は $R_{total}=R_1+R_{par}$ です。閉ループに KVL を適用すると $V = I_{total} R_1 + V_{par}$ から $I_{total}=V/R_{total}$ が直ちに得られ、並列部両端電圧は $V_{par}=V-I_{total} R_1$ となります。各分岐の電流はオームの法則から $I_2=V_{par}/R_2$、$I_3=V_{par}/R_3$ で、節点 a での KCL $I_{total}=I_2+I_3$ が自動的に満たされることが確認できます。

既定値 $V=12$ V, $R_1=100$ Ω, $R_2=200$ Ω, $R_3=300$ Ω では、$R_{par}=120$ Ω, $R_{total}=220$ Ω, $I_{total}=12/220\approx 54.5$ mA, $V_{par}=6.55$ V, $I_2\approx 32.7$ mA, $I_3\approx 21.8$ mA となり、$I_2+I_3=54.5$ mA $=I_{total}$ が成立します。シミュレーターの 4 つのスライダーを動かすと、これら全ての値がリアルタイムに更新されます。

実世界での応用

分流器(シャント抵抗):電流計の測定レンジを拡大するために用いられる古典的な並列回路です。本来の電流計の内部抵抗 $R_m$ と並列に低抵抗のシャント $R_s$ を入れると、電流の大部分は $R_s$ を流れ、$R_m$ を流れる電流は $I_m=I\cdot R_s/(R_s+R_m)$ に縮小されます。電力測定機、クランプメーター、自動車のバッテリーモニタなど現代でも標準的に使われています。

LED 並列駆動の電流不均衡:同じ電源に 2 個以上の LED を並列接続すると、順方向電圧 $V_f$ のわずかな個体差により低い $V_f$ の素子に電流が集中して焼損する事故が起きます。各 LED に小抵抗(電流制限)を直列に入れ、$V_f$ ばらつきを電圧降下で吸収するのが定石です。これも KVL/KCL に基づく設計思想の典型例です。

電源ラインの配電と並列負荷:住宅の交流配電盤やデータセンタの DC 給電では、複数の負荷が並列にぶら下がり、それぞれが KCL に従って分流します。配線抵抗 $R_w$ が無視できない長距離給電では、各分岐先で電圧降下が起きるため太い銅線を選定する必要があります。KVL から見れば閉ループ毎に電圧収支を取り、設計通りの電圧が末端に届くかを確認する作業です。

ホイートストン・ブリッジ:4 つの抵抗を組み合わせ、電流計を橋渡しに入れたブリッジ回路は KVL/KCL の最も美しい応用です。ブリッジが平衡 $R_1/R_2=R_3/R_4$ のとき電流計に電流が流れないことを利用し、未知抵抗の高精度測定や、歪みゲージ・温度センサの差動検出に用いられます。

よくある誤解と注意点

まず多いのが、「並列なので電流が等分される」と勘違いするケース。並列分岐では「電圧が共通」であって電流は抵抗に反比例して分配されるため、$R_2=R_3$ でない限り電流は等分されません。既定値の R_2=200, R_3=300 では電流比は 3:2 で、R_3 側の方が小さい。これを直感で逆にしないように、シミュレーターのバーチャートで都度確認するのが安全です。

次に、並列部の合成抵抗を「単純な和」と混同するミス。直列なら R_total = R_1 + R_2 + ... と単純な和になりますが、並列では逆数の和になり、$1/R_{par}=1/R_2+1/R_3$。よって R_par は必ず個別抵抗の最小値より小さくなる、というのが重要なチェックポイントです。R_2=200, R_3=300 → R_par=120 という関係は、設計ミスの早期発見にも使えます。

最後に、長い配線抵抗を無視して KVL を立てる失敗。実回路ではリード線・配線・コネクタにも抵抗があり、これらを直列素子として考慮しないと「電源で 12 V のはずが負荷端で 11 V しかない」といった電圧降下が説明できません。EV のバッテリー配線、データセンタの DC 給電、長距離の DC センサ給電などでは配線抵抗まで含めた KVL/KCL モデリングが必須です。

よくある質問

回路の構造によって使い分けるのが定石です。直並列回路のように「合成抵抗 → 全電流」と進める場合は KVL を先に適用して全電流を出し、続いて並列部に戻って KCL で分岐電流を計算します。一方、ループが複数ある複雑な回路ではメッシュ解析(KVL 連立)や節点解析(KCL 連立)で全電流・全電圧を一度に解きます。本シミュレーターは前者の典型例で、KVL → KCL の順で全変数が決まります。
並列接続では各分岐の両端電圧 $V_{par}$ が共通です。各分岐の電流はオームの法則から $I_k=V_{par}/R_k$、合計電流は $I=V_{par}\sum 1/R_k$。これを 1 個の等価抵抗 $R_{par}$ に置き換えると $I=V_{par}/R_{par}$ となるため、$1/R_{par}=\sum 1/R_k$ が得られます。2 本の特殊形が「積を和で割る」式 $R_{par}=R_2 R_3/(R_2+R_3)$ で、3 本以上では一般の逆数和を使います。
成り立ちます。ただし抵抗の代わりに複素インピーダンス $Z=R+jX$ を使い、電圧・電流は位相を持つフェーザ(複素数)として扱います。KVL は $\sum V_k=0$、KCL は $\sum I_k=0$ がそのまま複素方程式として有効です。コンデンサやインダクタを含む RLC 回路、共振回路、フィルタ設計まで同じ枠組みで扱えます。本シミュレーターは純抵抗のみの DC モデルなので位相は現れません。
KVL/KCL 自体は素子の線形・非線形に関わらず常に成立します(電荷保存とエネルギー保存に由来する保存則だからです)。ただし非線形素子の電圧電流特性 $V=f(I)$ が一次式でないため、ループ方程式や節点方程式が非線形となり、解析的に解けず Newton-Raphson 法などの数値解法(SPICE シミュレータの中身)が必要になります。本シミュレーターは線形抵抗だけなので閉形式で解けます。