配管熱膨張応力計算 戻る
構造解析

配管熱膨張応力シミュレーター

温度差・材料・配管サイズから熱膨張力・熱応力を即時算出。Caesar-II準拠の応力増大係数(SIF)・可撓性係数を完全実装。ASME B31.3 許容応力との比較も可能。

パラメータ設定
材料
パイプサイズ (NPS)
スケジュール
設計温度 T_design
°C
据付温度 T_install
°C
配管長さ L
m
端部条件
エルボ SIF 計算
エルボ曲率比 R/D
リアルタイム熱応力アニメーション
加熱温度 250 °C
端部条件(拘束)
プリセット
ピーク応力 / 許容応力 比率
低応力 中応力 高応力(SIF集中) 自由膨張ゴースト
ライブ計算結果
熱応力 σ_th [MPa]
SIF 係数 i
ピーク応力 σ_peak [MPa]
端部条件
読み方:両端アンカーでは膨張できず σ_th = E·α·ΔT が満載でかかり、ガイド端は曲げ吸収で約1/2、自由端では熱応力ゼロ(自由膨張)。エルボ/ティーでは SIF i 倍のピーク応力が局所に集中します。
理論・主要公式

熱膨張量:

$$\Delta L = \alpha \cdot \Delta T \cdot L$$

完全拘束時の熱応力(両端アンカー):

$$\sigma_{th}= \alpha \cdot \Delta T \cdot E,\qquad F = \sigma_{th}\cdot A$$

SIF補正後のピーク応力(ASME B31.3):

$$\sigma_{peak} = i\cdot\sigma_{th},\qquad S_E = i \cdot \frac{M_c}{Z}\leq S_A$$

柔軟性特性(エルボ):$h = \dfrac{t \cdot R}{r^2}$, $i = \dfrac{0.9}{h^{2/3}}$, $k = \dfrac{1.65}{h}$

検証例:炭素鋼 E=206 GPa, α=12×10⁻⁶/°C, ΔT=230°C → σ_th≈569 MPa(両端アンカー・直管)。

配管熱膨張応力とは

🙋
配管が熱で膨張すると、なんで問題なんですか?ただ伸びるだけじゃないんですか?
🎓
大まかに言うと、伸びる場所がなければ「力」に変わるからだよ。例えば、両端が壁にがっちり固定された配管を温めると、膨張したいのにできなくて、中に大きな圧縮力が発生するんだ。このシミュレーターで「端部条件」を「両端アンカー」に設定して温度を上げてみると、膨張量はゼロなのに応力が急上昇するのがわかるよ。
🙋
え、じゃあ配管が壊れてしまうんですか?現場ではどうしてるんですか?
🎓
その通り、対策しないと継手から漏れたり破断したりする。実務では「ガイド」や「エルボ」で逃がすんだ。このツールで「端部条件」を「片端アンカー/片端ガイド」に変えてみて。ガイドは横方向だけ拘束するから、配管は縦に膨張できて、力が大幅に減るのが確認できるよ。発電所の蒸気配管などは、この膨張をループ状に吸収しているんだ。
🙋
「エルボSIF計算」っていうプルダウンがありますね。これは何ですか?エルボがあると余計に弱くなるということ?
🎓
鋭いね!SIF(応力増大係数)は、エルボの曲がり部分に応力が集中する度合いを示す数字だ。直管を1としたら、エルボでは2〜5倍になる。チェックを入れて「曲率比R/D」を変えながら応力を確認してみて。R/Dが小さい(きつい曲がり)ほどSIFが大きくて危険だ。Caesar-IIなどの本格解析ソフトも、この係数を自動で適用して精密に評価しているんだ。

よくある質問

算出された熱応力をASME B31.3の許容応力値と比較し、許容範囲内かを確認します。許容値を超える場合は、膨張ループやベローズの追加、材料変更などで応力を低減する設計検討にご利用ください。
SIFは配管の曲がり部や分岐部などで応力が集中する度合いを示す係数です。本ツールはCaesar-IIと同じSIFと可撓性係数を実装しているため、実務の詳細解析に近い精度で熱応力を評価でき、簡易設計の信頼性が向上します。
温度差が大きいと熱膨張量と熱応力が比例して増大します。特に長直管や拘束の強い箇所では許容応力を超えやすくなるため、膨張吸収策(ループ、オフセット、伸縮継手)の検討が必須です。材料の高温強度も併せて確認してください。
肉厚が増すと断面積が大きくなり、同じ熱応力でも発生する力(軸力)は増加します。一方、SIFは配管サイズと肉厚に依存するため、応力集中の度合いも変化します。本ツールではこれらの関係を自動反映し、即座に再計算できます。

実世界での応用

石油化学・精油プラント:高温の原油やプロセス流体を扱う配管系の設計で必須です。加熱炉への配管や触媒反応器の出入口ラインなど、熱膨張によるノズル荷重を評価し、機器へのダメージを防ぎます。

火力・原子力発電所:高温高圧の蒸気を送るメインステームラインや再熱ラインの設計に活用されます。膨張ループやエキスパンションジョイントの最適配置を計画する際の基礎計算として使われます。

LNG(液化天然ガス)施設:極低温(-160℃)の配管では、据付時からの温度差が非常に大きくなります。冷却時の収縮による引張応力や支持部の設計に、この熱応力計算が応用されます。

建築設備(空調・給湯):大型ビルの屋上ボイラーから下階まで伸びる高温水配管などでも問題になります。ループやフレキシブルホースを用いた膨張吸収設計の初歩検討に役立ちます。

よくある誤解と注意点

まず、「温度差ΔTは、単に最高温度から室温を引けばいい」と思っていない?実務では「据付温度」が鍵なんだ。真夏の炎天下で施工した配管と、真冬に施工した配管では、同じ運転温度でもΔTが大きく異なる。例えば、運転温度100℃の配管を、夏(35℃)と冬(5℃)で据え付けたら、ΔTはそれぞれ65℃と95℃。発生応力は約1.5倍も違ってくる。設計では、年間を通じた想定施工温度範囲を考慮するのが鉄則だよ。

次に、「ガイドがあれば完全に自由膨張できる」という過信。ガイドは摩擦がつきもの。特に長大配管では、ガイド部の摩擦力が無視できず、想定より膨張が抑制されて応力が残留する。このツールでは「完全なガイド」を仮定しているから、実際の設計では摩擦係数を考慮した余裕を見るか、ローラーサポートの採用を検討しよう。

最後に、「計算された応力が許容応力以下ならOK」という短絡的な判断。このツールで出るのは「一次応力」の評価がメイン。でも、配管の繰り返し起動・停止で熱応力も繰り返し負荷がかかると、「疲労」の問題が発生する。たとえ静的な強度は足りていても、疲労寿命で破損する可能性がある。特にエルボSIFを考慮した部位は、応力変動幅が大きいので要注意だ。

使い方ガイド

  1. 設計温度(td)と初期温度(ti)の温度差を入力。例:運転温度120°C、常温20°Cの場合、温度差は100°Cです
  2. 配管材料を選択して線膨張係数を決定。炭素鋼(A106)は12×10⁻⁶/°C、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304/316)は16~17×10⁻⁶/°Cが標準値です
  3. 配管の実長(pipeLen)と外径(rd)を入力。例えばφ60.5mm×厚さ4.8mmの配管で2.5m区間の熱膨張を評価する場合、長さ2500mm、外径60.5mmと設定します
  4. 計算結果から熱膨張量ΔL、発生力F、応力σ、SIF値iを確認。配管経路の拘束条件に応じた応力増大係数を反映した実務値が得られます

具体的な計算例

SUS304配管(線膨張係数17×10⁻⁶/°C)が常温20°Cから運転温度150°Cに昇温する場合を想定。配管長3m、外径76.1mm(厚さ5.6mm、断面積1,208mm²)、両端アンカー条件でSIF=1.85とします。温度差130°Cの熱膨張量ΔL=3,000×17×10⁻⁶×130=6.63mm、弾性係数195GPa適用時の完全拘束応力σ=17×10⁻⁶×130×195×10³=431MPa、発生力F=431×1,208/1,000=521kN、SIF考慮後の評価応力=431×1.85=797MPaとなり、SUS304の許容応力138MPaを大きく超過するため配管ルート変更やフレキシブルジョイント導入が必要です

実務での注意点

  1. ASME B31.1(火力発電)やASME B31.3(化学プラント)では設計温度と最小気温の差を採用。北海道の-20°C環境で100°C運転管の場合、温度差は120°C(-20°Cベース)と150°C(20°Cベース)で大きく異なります
  2. ベンド部やティー分岐などの局部では応力増大係数が1.5~2.5に上昇。特に小径配管(φ15~25mm)で温度変動が大きい場合、SIF値が2.0を超える設計が頻繁に発生します
  3. 蒸気配管(200°C超)は支持点間隔を1.5~2.0m以下に制限し、定期的なハンガー点検で沈下による二次応力発生を防止する必要があります
  4. 配管材の耐力は温度上昇で低下。例えば炭素鋼は100°C上昇で許容応力が約10~15%低減するため、高温配管設計では降下係数を適用した許容応力値を使用してください