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構造解析ツール

圧力容器応力計算機
薄肉・厚肉・Lamé方程式

内圧容器の壁内応力分布をLamé方程式でリアルタイム計算。薄肉/厚肉の自動判定、ASME最小肉厚評価、von Mises応力分布を可視化します。

パラメータ設定
内半径 r_i
mm
肉厚 t
mm
内圧 p_i
kPa
外圧 p_o
kPa
材料
形状
判定基準
t/r_i < 0.1 → 薄肉近似有効
t/r_i ≥ 0.1 → 厚肉(Lamé必須)
計算結果
σ_θ max (周方向)
MPa
σ_r 内壁
MPa
σ_vM max
MPa
安全率 S.F.
σ_Y / σ_vM
t/R 比
薄肉判定
ASME t_min
mm
壁内応力分布 — Lamé方程式
断面図 (内壁=高応力)
理論・主要公式

$$\sigma_\theta = \frac{pD}{2t}, \quad \sigma_a = \frac{pD}{4t}$$

薄肉圧力容器:\(\sigma_\theta\) 周方向(フープ)応力、\(\sigma_a\) 軸方向応力。\(D\) 内径、\(t\) 肉厚、\(p\) 内圧 [MPa]

$$\sigma_{VM} = \sqrt{\sigma_\theta^2 - \sigma_\theta\sigma_a + \sigma_a^2}$$

von Mises相当応力:降伏判定 \(\sigma_{VM} \leq \sigma_y / S_f\)(\(S_f\) 安全率)

$$t_{min} = \frac{pR}{SE - 0.6p}$$

ASME式必要肉厚:\(S\) 許容応力、\(E\) 溶接効率(≤1.0)

内圧容器の応力解析とは

🙋
このシミュレーターで「薄肉」と「厚肉」って自動で判定されてますけど、何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、肉厚と直径の比で決まるんだ。例えば、高圧ガスボンベみたいに肉厚が太いのが「厚肉」で、缶ジュースの薄い胴体部分が「薄肉」だね。このツールは、君が入力する「内半径」と「肉厚」の比(t/r_i)を計算して、0.1以上なら厚肉と判定するよ。試しに肉厚のスライダーを大きく動かしてみると、判定が「厚肉」に変わるはずだ。
🙋
え、じゃあ薄肉の時は計算が違うんですか?でも説明に「常にLamé方程式で計算」って書いてありますよね。
🎓
その通り!実務では薄肉なら簡単な式 $\sigma_\theta \approx p \cdot r / t$ で済ませることも多いけど、このツールはどんな場合も一番厳密なLaméの解で計算するんだ。だから薄肉と判定されても、中の計算は厚肉と同じ。精度はこっちの方が高いからね。パラメータで「材料」を鋼に変えて、内圧を上げてみてごらん。内壁の応力が一気に高くなるのが分かるよ。
🙋
なるほど!で、グラフで見える「フォン・ミーゼス応力」って何ですか?「周方向応力」とどっちを見ればいいんですか?
🎓
良い質問だ!周方向応力はあくまで一方向の引張り圧縮だけど、実際の材料の壊れやすさは複数の応力を組み合わせて評価する。それがフォン・ミーゼス応力だ。例えば自動車のCNGタンクの設計では、この値が材料の降伏強度を超えないかが重要になる。このシミュレーターでは、その最大値がどこで発生するかも教えてくれる。肉厚を変えながら、最大フォン・ミーゼス応力の位置が内壁からどう動くか観察してみるといい。

よくある質問

内半径に対する板厚の比(t/ri)に基づき判定します。一般的にt/ri < 0.1の場合は薄肉、0.1以上の場合は厚肉と自動分類され、薄肉では平均応力式、厚肉ではLamé方程式が適用されます。
ASME Boiler & Pressure Vessel Code Section VIII Div.1に準拠し、内圧、許容応力、溶接継手効率、腐れ代を入力することで、必要な最小肉厚を算出します。この値と現在の板厚を比較し、安全適合を判定します。
半径方向の各位置における相当応力(ミーゼス応力)の分布をグラフで表示します。内壁から外壁にかけての応力集中度合いを視覚的に確認でき、降伏条件に対する安全余裕の評価に役立ちます。
はい、可能です。内圧と外圧の両方を入力できるようになっており、両方の圧力が作用する場合のLamé方程式による応力分布をリアルタイムで計算します。外圧のみのケース(真空容器など)にも対応しています。

実世界での応用

高圧ガス容器・CNGタンク:自動車の燃料タンクや産業用の高圧ガスボンベの設計に不可欠です。内圧と材料強度から安全な最小肉厚をASME規格に基づいて決定し、過大な応力がかからないことを確認します。

化学プラントの配管・反応器:高温高圧で化学反応が行われる装置の胴体設計に使用されます。腐食余裕を見込んだ肉厚の決定や、定期的な安全評価における応力状態の把握に活用されます。

油圧・空圧シリンダー:建設機械や工場の自動化設備で使われる油圧シリンダーのチューブ厚さの設計です。繰り返し圧力がかかるため、疲労強度も考慮した適切な肉厚が求められます。

エネルギー分野(原子炉圧力容器、地熱パイプ):極めて高い安全性が要求される原子炉の圧力容器や、高温の蒸気・熱水を輸送する地熱発電用パイプラインの設計検証の基礎計算として利用されます。

よくある誤解と注意点

「薄肉厚肉の判定は内径と板厚の比だけで決まる」と思いがちですが、実際は材料の降伏応力や安全率、運転温度による強度低下も考慮する必要があります。単純な径厚比だけでは、高温クリープや疲労を伴う設計では不十分です。

「Lamé方程式は内圧のみで成立する」と誤解されがちですが、実際は外圧や熱応力が作用する場合、重ね合わせの原理を適用する際に注意が必要です。特に内圧と外圧が同時に作用する二重管構造では、境界条件を正しく設定しないと応力分布が大きくずれます。

「von Mises応力が最大となるのは内壁面」と思いがちですが、厚肉の場合、外壁面でせん断応力が支配的になり、内壁より高い相当応力が発生することがあります。特に内圧と軸力が同時に作用するケースでは、外壁の応力集中を見落とさないように注意が必要です。