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物理シミュレーター

放射性崩壊・半減期計算機

核種を選択して放射性崩壊をリアルタイム計算。N(t)・A(t)の対数グラフ、崩壊連鎖の可視化、炭素14年代測定まで対応。

パラメータ設定
核種選択
半減期: 30.17年 · β⁻崩壊 · 娘核種: Ba-137m → Ba-137(安定)
初期活動度 A₀ 1.00 MBq
10⁻³ Bq ~ 10⁶ MBq (対数スケール)
時間範囲
半減期
Cs-137 → β⁻ → Ba-137m → γ → Ba-137
計算結果
30.17 yr
半減期 T₁/₂
7.28×10⁻¹⁰
崩壊定数 λ [s⁻¹]
活動度 A(t) [Bq]
残存割合 N/N₀
原子数 N(t)
5
半減期の回数
減衰
連鎖
理論・主要公式

基本崩壊則:

$$N(t)=N_0\,e^{-\lambda t},\quad A(t)=\lambda N(t)=A_0\,e^{-\lambda t}$$

半減期と崩壊定数:$T_{1/2}=\dfrac{\ln 2}{\lambda}$

炭素14年代測定:$t=-\dfrac{\ln(A/A_0)}{\lambda}$

崩壊連鎖(バテマン方程式):$\dfrac{dN_2}{dt}=\lambda_1 N_1 - \lambda_2 N_2$

解析解:$N_2(t)=N_1(0)\dfrac{\lambda_1}{\lambda_2-\lambda_1}\!\left(e^{-\lambda_1 t}-e^{-\lambda_2 t}\right)$

放射性崩壊・半減期計算機とは

🙋
「半減期」って、放射能がちょうど半分になる時間ですよね?でも、どうやって計算するんですか?
🎓
大まかに言うと、指数関数的に減っていく現象を数式で表すんだ。このシミュレーターの「核種選択」でC-14を選んでみて。グラフが一気に下がるのが見えるだろ?これが崩壊曲線だ。半減期が5730年だから、時間スライダーを5730年に合わせると、確かに初期値の半分になってるよ。
🙋
え、そうなんですか!でも、C-14と医療で使うI-131ではグラフの減り方が全然違いますね。I-131は一瞬で減ってしまう。
🎓
その通り!半減期が8日と短いから、崩壊定数λが大きくて、あっという間に減る。逆に、上の「半減期(年)」のパラメータを直接動かして、100万年とかにしてみて。グラフがほとんど水平になるだろ?地層中のウラン238の崩壊みたいに、人間のスケールでは変化が感じられない現象も、このツールで可視化できるんだ。
🙋
「現在の活動度比 A/A₀」ってパラメータがありますけど、これって何に使うんですか?
🎓
これが実は特に重要で、年代測定のカギなんだ。例えば、発掘した化石のC-14の活動度が、今の大気中のC-14の活動度の半分だったら?A/A₀=0.5だね。この値をツールに入れると、自動で経過時間が計算される。つまり、半減期5730年そのものが出てくる。考古学者はまさにこの原理で、モノが何年前のものかを割り出しているんだよ。

よくある質問

放射性崩壊は指数関数的に減少するため、通常の線形軸では初期の急激な変化しか見えません。対数軸を使うと、N(t)やA(t)の減少が直線になり、長期間にわたる減衰の様子や半減期の規則性を一目で確認できます。
親核種から娘核種、さらにその孫核種へと続く一連の崩壊過程を図示します。各核種の半減期や崩壊モード(α崩壊、β崩壊など)が表示され、連鎖の中でどの核種が長寿命か、放射能がどのように移り変わるかを理解できます。
まず試料中の炭素14の現在の活動度(または残存率)を入力します。初期活動度は大気中の基準値(約13.56崩壊/分/g炭素)が自動設定されます。計算ボタンを押すと、半減期5730年に基づいて経過年数が推定され、誤差範囲も表示されます。
Bqは1秒間に崩壊する原子核の数(活動度)を表す単位です。一方Svは、放射線が人体に与える影響(被ばく線量)を表す単位で、崩壊の種類やエネルギー、遮蔽条件などが影響します。本ツールはBqの計算に特化しており、Svへの換算は行いません。

実世界での応用

原子力プラント廃止措置:使用済み燃料や構造物中に含まれる核種(Cs-137, Co-60など)の量(インベントリ)を、半減期に基づいて数十年〜百年先まで計算します。これにより、廃炉工程や廃棄物の管理計画を立案します。

医療被ばく線量評価:診断や治療に用いる放射性医薬品(I-131やTc-99m)は、体内での崩壊速度(活動度の減衰)を正確に把握することが重要です。半減期の短い核種は、患者の被ばく線量を最小限に抑えるために選択されます。

環境放射能モニタリング:福島第一原子力発電所事故で放出されたCs-137(半減期約30年)は、環境中での長期的な挙動を予測するために監視が続けられています。土壌や食品中の濃度測定結果は、この崩壊則に基づいて解釈されます。

放射性廃棄物の貯蔵期間設計:高レベル放射性廃棄物は、人間環境から隔離する必要があります。廃棄体中の核種の崩壊連鎖を考慮し、有害度が自然ウラン鉱石のレベルまで低下するのに要する数万年規模の時間を、半減期の計算から見積もります。

よくある誤解と注意点

このツールを使いこなす上で、特に初心者がつまずきやすいポイントをいくつか挙げておくよ。まず「半減期が経てば放射能はゼロになる」という誤解。半減期5730年のC-14で考えてみよう。5730年で1/2、次の5730年で1/4、その次で1/8…と、理論上は永遠にゼロにはならない。実務では、例えば10半減期経つと初期値の約1/1000になるので「実質的に無視できる」と判断するんだ。逆に言うと、半減期の長い核種(例えばU-238の約45億年)は、人類の時間スケールではほとんど減らないことを意味する。

次にパラメータ入力時の単位の混同。ツールでは「半減期(年)」とあるが、I-131のように半減期が8日の核種を扱う時は「8/365 ≒ 0.022年」と換算して入力する必要がある。ここを間違えるとグラフは全く違うものになる。同様に、崩壊定数λの単位は[1/秒]が基本だが、半減期が年の場合はλ=ln2 / (半減期[秒])と、秒に換算するのを忘れずに。

最後に「活動度」と「原子核の数」を同一視しないこと。ツールのグラフは通常「活動度A(t)」の減衰を示している。同じ原子核の数N(t)があっても、崩壊定数λが大きい(半減期が短い)核種ほど活動度は高くなる。例えば、同じ100万個の原子でも、半減期1時間の核種と半減期1年の核種では、前者の方が圧倒的に「今この瞬間の崩壊数」が多いんだ。