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機械力学

短絡電流計算機(対称・非対称故障)

三相・一線地絡・線間・二線地絡の短絡電流を対称分法で計算。変圧器%Z・ケーブル長を変えてリアルタイム解析・遮断容量比較。

系統・電源パラメータ
系統電圧 V_sys
kV
電源短絡容量 S_sc
MVA
変圧器
変圧器容量 MVA_T
MVA
変圧器%Z
%
変圧器X/R比
ケーブル
ケーブル長 L
m
R'/km (mΩ/m)
mΩ/m
X'/km (mΩ/m)
mΩ/m
遮断器定格遮断電流
kA
計算結果
三相短絡電流 [kA rms]
ピーク電流 [kA]
一線地絡 I_SLG [kA]
線間 I_LL [kA]
X/R 比(合成)
ピーク係数 κ
Z_total [mΩ]
遮断容量比較
液体
Z
理論・主要公式

テブナン等価による三相短絡電流:

$$I_{3\phi}= \frac{V_{prefault}}{\sqrt{3}\cdot Z_{total}}$$

ピーク電流:$I_{peak}= \kappa \cdot \sqrt{2}\cdot I_{3\phi}$, $\kappa = 1.02 + 0.98 e^{-3/(X/R)}$

一線地絡:$I_{SLG}= \dfrac{3V}{Z_1 + Z_2 + Z_0}$

線間故障:$I_{LL}= \dfrac{\sqrt{3} \cdot V}{Z_1 + Z_2}$

短絡電流計算機(対称・非対称故障)とは

🙋
短絡電流って、電気設備で一番怖いやつですよね?計算する意味って何ですか?
🎓
その通り、事故時に流れる巨大な電流だ。計算する最大の目的は、遮断器を選ぶためだよ。例えば、工場の変電所で事故が起きた時、流れる電流より大きな遮断能力を持つ遮断器を設置しないと、火災や爆発につながる。このシミュレーターで「遮断器定格遮断電流」を設定して、計算された短絡電流と比べてみると、安全マージンが一目でわかるんだ。
🙋
「変圧器%Z」ってパラメータがありますが、これが変わるとどうなるんですか?
🎓
%Zは変圧器の内部インピーダンスを表す、特に重要な値だ。大まかに言うと、%Zが大きいほど変圧器は「電流を流しにくい」んだ。だから、上のスライダーで%Zを大きくしてみて。どう?計算される短絡電流が小さくなるだろう?実務では、系統側が強くて短絡電流が大きすぎる場合、%Zの高い変圧器を選んで電流値を下げ、遮断器を安価なものにできるんだ。
🙋
「ピーク電流」と「三相短絡電流」は何が違うんですか?遮断器はどっちを見ればいいの?
🎓
いいところに気が付いたね。「三相短絡電流」は実効値(RMS)で、熱的な破壊力を表す。一方、「ピーク電流」は事故直後の最初の半波に現れる、最も高い瞬間値を表す。遮断器には機械的なストレスがかかるから、こっちも見ないとね。パラメータの「X/R比」を変えてみて。これが大きいと、ピーク電流係数κが大きくなって、ピーク電流が跳ね上がるのがわかるよ。現場では、両方の値を見て遮断器を選定するんだ。

よくある質問

%Zは百分率インピーダンスで、単位は「%」です。例えば「7.5」と入力します。一般的な配電用変圧器では4~10%程度が目安です。値が小さいほど短絡電流は大きくなります。
故障の種類によって等価回路が異なるためです。三相短絡は正相インピーダンスのみで計算しますが、一線地絡では正相・逆相・零相の3つのインピーダンスを直列に合成するため、特に零相インピーダンスが大きいと電流値が小さくなります。
電源や変圧器のインピーダンスがケーブルに比べて非常に大きい場合、ケーブル長の影響が相対的に小さくなります。例えば、大容量の変圧器直近ではケーブル長を変えても電流値はほとんど変わりません。
遮断器や断路器の「投入耐量(メイク電流)」の選定に使用します。遮断器は短絡電流の実効値だけでなく、最初の半波に現れる大きなピーク電流にも耐える必要があるため、この値が遮断器の定格選定の重要な指標となります。

実世界での応用

遮断器・ヒューズの選定:計算された短絡電流(実効値とピーク値)をもとに、それらを遮断できる定格容量の遮断器を選びます。シミュレーターでケーブル長を変えて電流値がどう変わるか確認することで、設備のどこに遮断器を設置するのが経済的か検討できます。

変電所・配電盤の設計:バスバー(母線)や支持碍子には、ピーク電流による電磁力(機械的ストレス)と、実効値電流による発熱($I^2t$)への耐性が必要です。本ツールで両方の値を評価し、機器の機械的強度と熱的強度を保証します。

保護継電器の設定:地絡や短絡を検出する継電器は、計算された故障電流値に基づいて動作値や動作時間を設定します。特に「一線地絡故障」などの非対称故障計算は、接地保護設計に不可欠です。

既設設備の増強・系統連系:工場拡張で新しい大型設備を追加する場合、系統から見た短絡容量が増大し、既存の遮断器容量を超える恐れがあります。本ツールで電源短絡容量 $S_{sc}$ を上げてシミュレーションし、遮断器の更新必要性を事前に評価します。

よくある誤解と注意点

まず、「定格電圧」の設定ミスは非常に多いです。例えば、変圧器二次側の定格が440Vだからといって、計算にも440Vを使うと実際より小さな短絡電流が出てしまいます。正しくは、負荷率や電圧変動を考慮し、故障前電圧(通常は定格の105%程度)を使う必要があります。このツールでは「故障前電圧」を別パラメータとしていますが、現場の電圧計測値があればそれを入力するのがベストです。

次に、ケーブルインピーダンスの過小評価。長さ10mのケーブルだから無視できる、と思いがちですが、大容量系統ではこれが全体のインピーダンスの大部分を占めることも。特に、ケーブルの並列本数を考慮するかどうかで結果が大きく変わります。3本並列ならインピーダンスは1/3になります。このツールでケーブル長を変えた時の電流の変化率を確認すれば、その影響度の感覚が掴めます。

最後に、「非対称故障電流」の解釈。一線地絡電流が三相短絡電流より小さい結果を見て「地絡の方が安全だ」と早合点するのは危険です。中性点接地方式によっては、地絡電流が過大になり、消弧が困難になるケースがあります。この計算はあくまで「故障点の電流」であり、系統全体の保護協調を考えるための一要素に過ぎないことを覚えておきましょう。