降伏加速度:$k_y = (FS-1)\sin\beta$
永久変位(Ambraseys-Menu):
$$D = 0.087\frac{v_{max}^2}{a_{max}}\left(\frac{k_y}{a_{max}/g}\right)^{-2.53}$$
FS: 極限平衡法(単純無限斜面モデル)
斜面の形状・土質・地震動を入力し、静的安全率・降伏加速度・地震時永久変位をリアルタイム計算。崩壊リスクを即座に評価します。
降伏加速度:$k_y = (FS-1)\sin\beta$
永久変位(Ambraseys-Menu):
$$D = 0.087\frac{v_{max}^2}{a_{max}}\left(\frac{k_y}{a_{max}/g}\right)^{-2.53}$$
FS: 極限平衡法(単純無限斜面モデル)
道路・鉄道の切土・盛土斜面設計:新規路線建設時、地震時に発生しうる斜面の変位量を事前に評価し、擁壁の必要有無や対策工法(土留め、アンカー等)を決定します。計算された永久変位が線路や路床の許容変位量を超えないように設計します。
既存斜面の耐震性評価と補強優先度判定:多くの斜面が存在する道路区間などで、各斜面の崩壊リスク(永久変位量)を算定し、補強工事の優先順位付けに利用します。予算を効果的に配分するための重要な指標となります。
宅地開発における安全性確認:丘陵地を切り開いて宅地を造成する際、計画斜面の地震時安定性を評価します。住宅地の背後にあるのり面が地震で数センチ動くだけで、家屋に被害が及ぶ可能性があるため、事前の検討が不可欠です。
地震防災ハザードマップの作成基礎データ:広域的な地震時の土砂災害危険度を評価する際の基礎的な計算手法として利用されます。地域の地盤強度パラメータと想定地震動を入力し、危険箇所をマッピングします。
このツールを使い始める際、特に現場経験の浅いエンジニアが陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず大きな誤解は、「計算結果の永久変位Dがそのまま崩壊距離だ」と思ってしまうこと。例えば、D=0.5mと出ても、それは斜面全体が一気に0.5m滑るという意味ではありません。ニューマーク法で求めるのは、せん断ひずみの蓄積による「平均的な」変位量の目安です。実際の崩壊は、この変位が局所的に集中したり、表層すべりに発展したりするので、Dの値はあくまでリスク比較のための相対指標と捉えましょう。
次に、入力パラメータの設定です。「粘着力c」と「内部摩擦角φ」は地盤調査値からそのまま使ってはいけません。地震時は繰り返し載荷によって強度が低下(動的強度低下)するため、通常は静的強度の7〜8割程度を目安に設定します。例えば、静的試験でc=30kN/m²、φ=30°なら、動的解析ではc=24kN/m²、φ=24°として計算するのが一般的です。ツール上でこの補正を忘れると、過大な安全率と過小な永久変位を算出してしまうので要注意です。
最後に、地震動の入力について。ツールでは$v_{max}$と$a_{max}$を単一値で入力しますが、実際の地震波は周期特性が重要です。例えば、長周期の地震動は斜面の深部まで影響を与え、表層だけでなく深層すべりのリスクを高めます。実務では、想定される地震の震源特性や地盤増幅率を考慮して、複数の地震波を入力し、最も不利な結果を採用する「多数ケース解析」が基本です。このツールはあくまで初期スクリーニング用と心得ておきましょう。
富山県の砂質土斜面(γ=18 kN/m³、φ=35°、c=5 kPa、β=30°)で地震解析を実施。静的安全率Fs=1.24、降伏加速度ky=0.18gと算出。Mw6.5地震(kh=0.25g)時の永久変位δp=45 cmを計算。熊本地震レベルの加速度でも安定性を定量評価できます。