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地盤工学

地震による液状化沈下計算機

Tokimatsu-Seed法(1987)に基づき、循環応力比CSR・循環抵抗比CRR・安全率FL・体積ひずみ・液状化後沈下量を即時計算。地盤調査値からの修正N値補正にも対応し、対策設計やリスク評価の初期検討に役立ちます。

地盤・地震パラメータ
地震動
最大地表加速度 a_max
g
マグニチュード Mw
地盤条件
深度 z
m
地下水位 zw
m
土の単位体積重量 γ
kN/m³
飽和単位重量 γ_sat
kN/m³
液状化層厚 H_liq
m
土質指標
N値 (実測値)
細粒分含有率 FC
%
計算結果
液状化安全率 FL
CSR(繰返しせん断応力比)
CRR(液状化抵抗比)
沈下量 Sv [cm]
地盤の揺れと沈下アニメーション
0
繰返し回数 N_cyc
0%
過剰間隙水圧比 r_u
0.00%
体積ひずみ ε_v
0.0 cm
累積沈下 S
飽和砂層   過剰水圧
CSR・CRR vs. 最大加速度
理論・主要公式

$$\mathrm{CSR}=0.65\,\frac{\sigma_v}{\sigma_v'}\,\frac{a_{\max}}{g}\,r_d,\qquad \mathrm{FL}=\frac{\mathrm{CRR}}{\mathrm{CSR}}$$

繰返しせん断応力比 CSR と液状化安全率 FL。$\sigma_v$:全上載圧、$\sigma_v'$:有効上載圧、$r_d$:深さ低減係数。FL<1 で液状化。

$$\mathrm{CRR}=\mathrm{CRR}_{7.5}\cdot\mathrm{MSF},\quad \mathrm{MSF}=10^{2.24}/M_w^{2.56}$$

補正N値 $N_{1,60}$ から $\mathrm{CRR}_{7.5}$ を求め、マグニチュード補正係数 MSF を乗じる。

$$\varepsilon_v=\max\!\left(0,\,1.5\,e^{-0.7\,F_L}-0.5\right)[\%],\quad S_v=\varepsilon_v\,H_{\text{liq}}$$

体積ひずみ $\varepsilon_v$(Tokimatsu-Seed 1987)と液状化後沈下量 $S_v$。$H_{\text{liq}}$:液状化層厚。

N値と液状化後沈下量の関係

繰返しせん断応力比(CSR):

$$\text{CSR}= 0.65 \cdot \frac{\sigma_v}{\sigma_v'}\cdot \frac{a_{\max}}{g}\cdot r_d$$

$r_d$:深さ修正係数 ($z \le 9.15$ m: $r_d = 1 - 0.00765z$)

補正N値(N₁,60):

$$N_{1,60}= N \cdot C_N, \quad C_N = \min\left(2.0,\, \sqrt{\frac{100}{\sigma_v'[\text{kPa}]}}\right)$$

液状化抵抗比(CRR, Mw=7.5):

$$\text{CRR}_{7.5}= \frac{1}{34 - N_{1,60}}+ \frac{N_{1,60}}{135}+ \frac{50}{(10 N_{1,60}+45)^2}- \frac{1}{200}$$

マグニチュード補正: $\text{CRR}= \text{CRR}_{7.5}\cdot \text{MSF}$,$\text{MSF}= 10^{2.24}/ M_w^{2.56}$

体積ひずみ(Tokimatsu-Seed 1987):

$$\varepsilon_v \approx \max\left(0,\, 1.5 \cdot e^{-0.7 \cdot F_L}- 0.5\right) \quad [\%]$$

沈下量: $S_v = \varepsilon_v \cdot H_{\text{liq}}$

地震による液状化沈下計算機とは

🙋
「液状化による沈下」って、地震のニュースでよく聞くけど、具体的にどうやって計算するんですか?このシミュレーターで試せますか?
🎓
大まかに言うと、地震の揺れで砂地盤が液体みたいになって、その後に地面が沈む量を予測するんだ。このツールは、実務で広く使われている「Tokimatsu-Seed法」という経験式に基づいているよ。例えば、上の「最大地表加速度 a_max」のスライダーを動かして地震の強さを変えると、予測される沈下量がどう変わるか、すぐに確かめられる。
🙋
え、そうなんですか!「N値」とか「細粒分含有率 FC」も入力項目にあるけど、これらはどう関係してくるんですか?
🎓
良い質問だね。N値は地盤の硬さ(締まり具合)を表す最も基本的な指標で、値が大きいほど液状化しにくい。FCは土の中のシルトや粘土の割合だ。現場で多いのは、N値が低くてFCが少ない砂質地盤が液状化の危険区域になるケースだ。シミュレーターでN値を小さく、FCを5%以下に設定して「計算実行」を押すと、安全率が大きく下がるのがわかるよ。
🙋
なるほど、地盤の性質と地震の強さで決まるんですね。で、計算結果に出てくる「体積ひずみ」や「繰返しせん断ひずみ」って、実際の設計ではどう使われるんですか?
🎓
実務では、この計算で出た「沈下量」が許容値を超えないかチェックするんだ。例えば、橋の基礎の周りで沈下が大きすぎると、橋が傾いたりするよね。「体積ひずみ」は各層の縮み具合、「繰返しせん断ひずみ」は地震中の地盤の変形の激しさを表す。パラメータを動かして、地下水位「zw」を地表近くに上げてみて。液状化リスクがどう変わるか、体感できるから確認してみて。

よくある質問

CSR(繰返しせん断応力比)は地震時に地盤に作用するせん断応力の大きさを表し、CRR(液状化抵抗比)は地盤が液状化に抵抗する強さを表します。FL値はCSRをCRRで割った値で、FL≦1.0だと液状化の可能性が高いと評価されます。
N値は標準貫入試験で得られた実測値を入力します。地下水位は地表面からの深度(m)を入力してください。地下水位が浅いほど有効応力が小さくなり、CSRが大きくなるため液状化リスクが高まります。複数層ある場合は各層の代表値を入力します。
Tokimatsu-Seed法は主に深度20m程度までの地盤を対象としています。それ以深では応力低減係数rdの適用性が低下するため、精度が保証できません。また、N値補正や有効応力計算の前提として、砂質土主体の地盤に適用してください。
沈下量は構造物の不同沈下や地盤改良の設計に直接利用できます。例えば、杭基礎の支持層選定や、表層地盤改良の必要厚さの検討に役立ちます。また、埋設管の耐震設計では、地盤の体積ひずみから管周辺の地盤変位を推定する際にも使用されます。

実世界での応用

道路・鉄道橋梁の基礎設計:日本の道路橋示方書では、本ツールの基盤となるTokimatsu-Seed法が液状化沈下量の評価法として規定されています。橋脚や abutment の支持地盤が地震時にどの程度沈下するかを計算し、構造物の安全性を確認します。

港湾・護岸構造物の耐震評価:埋立地や岸壁背後地盤は液状化リスクが高い場合が多く、地盤沈下による岸壁の傾斜や背後地の陥没を防ぐため、本計算による沈下量予測が対策工(地盤改良等)の計画に用いられます。

ライフライン管路のリスク評価:上下水道やガス管など地中に埋設される管路は、地盤の不等沈下によって破損する恐れがあります。管路経路沿いの液状化沈下量を区間ごとに評価し、リスクの高い区間を特定します。

CAE(FEM)解析結果の検証:OpenSeesなどの有限要素法ソフトで有効応力解析を行い液状化挙動をシミュレーションする際、その結果の信頼性を確認するための簡易・独立な検証ツールとして、本手法の計算結果が参照されます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特に初学者が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず一つ目は、「N値さえ入力すればOK」という考え方です。確かにN値は重要ですが、この計算は「層ごと」の評価が基本。例えば、地表から5mまでが軟らかい砂(N=5)、その下が硬い砂(N=20)という地盤では、入力するN値は代表値一つではなく、層を分けて評価する必要があります。ツールは均質な1層を想定しているので、複雑な地盤では層ごとに計算して結果を足し合わせるという発想が必要です。

二つ目は、細粒分含有率(FC)の扱い。FCが35%を超えると「液状化しない」と早合点しがちですが、実は「粘土質」か「シルト質」かで大きく変わります。FC=40%でも微細なシルトが主成分なら液状化リスクは残ります。ツールの計算式はFCが増えると安全率が上がる傾向を示しますが、これはあくまで「砂」をベースにした経験式。現場では土質試験で土の分類を確認することが不可欠です。

三つ目は、計算結果の「沈下量」の解釈。出力される沈下量は、液状化層そのものが「収縮」して生じる沈下です。しかし実被害では、液状化により地盤の支持力が失われ、建物の不同沈下や側方流動による大きな変位が問題になります。ツールで算出した30cmの沈下は、あくまで「地盤自体の収縮量」であり、構造物に与える影響は別途検討が必要なのです。

使い方ガイド

  1. 最大地表加速度 a_max を g 単位(0.05~1.0g)で入力します。設計地震では 0.2~0.4g 程度が目安で、強い地震ほど CSR が大きくなり液状化リスクが上がります。
  2. マグニチュードMwと対象深度z(m)を設定します。Mw=7.5を基準としてTokimatsu-Seed法によるCRR補正が自動実行され、より深い地層(z>20m)では液状化抵抗が低下します。
  3. 地下水位zw(m)と修正N値を入力すると、CSR・CRR・安全率FLが計算され、FL<1.0で液状化判定、その後の沈下量Sv(cm)が土の体積ひずみから推定されます。

具体的な計算例

東京湾岸の埋立地で深度z=8mの砂層を対象とします。最大加速度 a_max=0.28g、Mw=7.5、修正N値=6、zw=1.5m、深度 z=8m を入力した場合、CSR≈0.296、CRR≈0.083 となり FL≈0.28(≪1.0)で明確に液状化発生と判定されます。体積ひずみは約0.73%、沈下量 Sv は層厚1m あたり約0.73cm(液状化層厚 8m なら約5.9cm)です。堤防や護岸では設計沈下量の基準値(例:15cm 以下)と照合します。

実務での注意点

  1. Mw値の選択が重要です。過去地震データ(関東大震災Mw=7.6、東日本大震災Mw=9.0相当)と異なるMw入力では補正係数が大きく変わり、結果が1.5倍以上ずれる可能性があります。
  2. 地下水位zw>zの場合は飽和砂と判定され、非排水条件でのCRR低下が急速化します。調査深度が浅い(z>25m)場合や細粒分含有率FC>15%の場合は別途ボーリング追加調査が必須です。
  3. 修正N値は標貫試験JIS A 1216に基づき、鮮新世砂層では過去応力による過圧密の影響を-2~-4補正することが土木学会ガイドラインで推奨されます。