液状化判定ツール(FL法) 戻る
地盤工学

液状化判定ツール — FL法

SPT-N値・細粒分含有率・地下水位・地震規模からFL値・PL値をリアルタイム計算。土層ごとの液状化判定を深度プロファイルで可視化します。

地震・地盤条件
マグニチュード M
最大地表加速度 α
g
地下水位深度 Dw
m
代表N値
細粒分含有率 FC
%
単層計算結果 (深さ 5m)
判定中...
L = 0.65×(σv/σv')×α×rd
FL = RL/L
液状化: FL < 1.0
計算結果
液状化抵抗比 RL
地震応力比 L
FL = RL/L
PL 指数
深度プロファイル
プロファイル
理論・主要公式

$$F_L = \frac{R}{\tau_L}$$

液状化抵抗率:\(R\) は液状化強度(繰返し三軸試験値)、\(\tau_L\) は地震時せん断応力比

$$\tau_L = 0.1 \alpha_{max} \cdot \frac{\sigma_v}{\sigma_v'} \cdot r_d$$

地震時せん断応力比:\(\alpha_{max}\) 地表最大加速度、\(\sigma_v\) 総応力、\(\sigma_v'\) 有効応力

$$R = 0.0882\sqrt{N_1/1.7}$$

液状化強度の推定(道路橋示方書 FL法):\(N_1\) は換算N値

液状化判定ツール(FL法)とは

🙋
地盤の「液状化」って、地震の時に地面がドロドロになる現象ですよね?このツールはそれが起きるかどうかを計算できるんですか?
🎓
その通り!大まかに言うと、地震の揺れで砂地盤が液体のように柔らかくなる現象だね。このツールは「FL法」という日本で広く使われている方法で、地盤のデータを入れると液状化の危険度をリアルタイムで評価できるんだ。例えば、上の「代表N値」のスライダーを動かしてみて。値が小さいほど液状化しやすくなるのが分かるよ。
🙋
「FL」と「PL」って2つ結果が出てきますね。この違いは何ですか?
🎓
いいところに気が付いたね。FLは「ある深さ」での液状化のしやすさを表すんだ。FL < 1なら危険だよ。一方、PLは地表面から20mまでの全体の危険度をひとつの数字にまとめた「液状化判定指数」なんだ。実務では、例えば住宅地盤の調査では、このPL値で「危険度小・中・大」と判定することが多いね。ツールで「地下水位深度」を浅くしてみると、PLが一気に大きくなるのが確認できるよ。
🙋
「細粒分含有率」って何ですか?これもスライダーで変えられますが、値が大きいと結果はどうなるんですか?
🎓
細粒分とはシルトや粘土の小さな粒のことだ。これが多すぎると砂の粒同士のつながりが強くなって、逆に液状化しにくくなるんだ。現場で多いのは、埋め立て地などで細粒分が少ない「きれいな砂」が液状化の危険が高いケースだね。ツールでFCを35%以上に上げてみて。液状化抵抗が上がって、FLやPLの値が改善するのがわかるはずだよ。

物理モデルと主要な数式

FL法の核心は、地盤が持つ「液状化抵抗比(RL)」と、地震で加わる「せん断応力比(L)」を比較することです。この比がFL値となります。

$$ FL = \frac{R_L}{L}$$

ここで、$R_L$は地盤の強さ(N値や細粒分含有率FCから算出)、$L$は地震の大きさ(マグニチュードMや地表加速度$\alpha$、深度から算出)を反映します。$FL \lt 1$の領域で液状化発生の可能性があります。

ある深度$z$における地震時せん断応力比$L$は、以下の式で計算されます。地下水位の影響が大きく反映される重要な項です。

$$ L = r_d \cdot \frac{\alpha}{g}\cdot \frac{\sigma_v}{\sigma_v'}\cdot \frac{1}{C_w} $$

$\alpha$: 最大地表加速度, $g$: 重力加速度, $\sigma_v$: 全応力, $\sigma_v'$: 有効応力, $r_d$: 応力低減係数, $C_w$: 地震規模係数。地下水位が浅い($D_w$が小さい)と有効応力$\sigma_v'$が小さくなり、$L$が大きくなって液状化しやすくなります。

よくある質問

FL値が1.0未満は液状化の可能性が高い目安ですが、必ず発生するわけではありません。実際の液状化は地盤の不均一性や地震動の特性に左右されます。PL値も併せて総合的に判断し、設計では安全側の評価を推奨します。
原則として、液状化評価時点で想定される最も高い地下水位(常時・地震時)を入力してください。地下水位が浅いほど液状化リスクが高まるため、安全側の評価には過去の最高水位や計画地下水位を用いるのが一般的です。
FCが不明な場合は、土質分類から推定するか、安全側としてFC=0%として計算してください。FCが小さいほど液状化抵抗比RLが低くなり、より厳しい判定となります。実務では近隣の土質データを参考にすることも有効です。
N値やFC、地下水位の急激な変化がある層境界では、FL値が不連続になることがあります。これは物理的に正しい挙動です。ただし、入力データの誤りやサンプリング間隔の粗さが原因の場合もあるため、元データを確認してください。

実世界での応用

土木・建設設計:道路橋や港湾施設、大型建築物の基礎設計の前段階として、建設予定地の液状化危険度を評価するために必須の手法です。支持層が深い場合の杭基礎の設計荷重に直接影響します。

宅地開発・造成:新興住宅地を開発する際、盛土や埋め立て地の地盤改良が必要かどうかを判断する基準としてPL値が用いられます。PL値に応じて不同沈下対策のレベルが決定されます。

インフラ耐震診断:既存の河川堤防、地下埋設管路(水道管、ガス管)、鉄道路盤などの耐震性を評価する際に使用されます。過去の地震データと照らし合わせて補強優先順位を付けます。

地震防災・ハザードマップ作成:自治体が作成する地震時の地域危険度予測図(ハザードマップ)の基盤データとして、広域的なPL値の分布が計算されます。住民の避難計画や土地利用規制の基礎資料となります。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、いくつか気をつけてほしいポイントがあるよ。まず、「SPT-N値さえ入れればOK」と思いがちだけど、地下水位(Dw)の設定が結果を大きく左右するんだ。例えば、同じN値=10の砂層でも、地下水位がGL-0.5m(ほぼ地表)の場合とGL-3.0mの場合では、FL値が倍近く変わることがある。現場のボーリングログには水位データが載ってないことも多いから、季節変動や周辺の井戸データを確認して、保守的(安全側)に見て浅めに設定するのが実務の鉄則だね。

次に、「細粒分含有率(FC)が高い=安全」という単純な理解。確かにFCが35%を超えると液状化抵抗は上がるけど、これはあくまできれいな砂の中にシルトや粘土が混ざる場合。現場によっては、有機質土や超軟弱なシルトが多く含まれることもある。そんな地盤はそもそもFL法の適用対象外(N値が測定できない!)だから、ツールの結果を盲信せず、土質分類結果(土質柱状図)を必ずセットで確認しよう。

最後に、ツールが出すPL値(液状化判定指数)の解釈。PL=15なら「液状化する」、PL=14なら「しない」と二分して考えないでほしい。これは連続的な危険度指標で、PLが10を超えたら何らかの対策を検討するゾーンと考えよう。例えばPL=12の地域で軽量な倉庫を建てるなら許容できるかもしれないが、PL=12でも重い変電施設を建設するなら地盤改良が必要、といった判断が必要なんだ。

使い方ガイド

  1. 地震規模(Mw)を入力します。例えば2011年東日本大震災はMw9.0、1995年阪神淡路大震災はMw7.3です。
  2. SPT-N値を標準貫入試験の結果から入力します。N値は0~50の範囲が一般的で、N値が大きいほど地盤は密です。
  3. 地下水位(m)と細粒分含有率(%)を入力し、液状化抵抗比RL及び液状化判定指数PLを計算します。

具体的な計算例

東京湾岸の埋立地でMw7.5の地震を想定した場合:N値18、地下水位1.2m、細粒分含有率12%のシルト質砂で計算すると、液状化抵抗比RL≒0.65、液状化判定指数PL≒8となります。PL値が15以上で液状化危険度が高いとされるため、この地点では中程度のリスク評価となり、地盤改良(深層混合処理工法など)の検討が必要です。

実務での注意点