土壌液状化ポテンシャル計算ツール 戻る
地盤工学

土壌液状化ポテンシャルシミュレーター

SPT N値に基づくSeed-Idriss法でCSR・CRR・安全率FSを計算。深度ごとの液状化ポテンシャルをリアルタイムに可視化します。

パラメータ設定
プリセット
地震・地盤パラメータ
地表最大加速度 amax
g
地震規模 Mw
Mw
地下水位深度 dw
m
土の単位体積重量 γ
kN/m³
飽和単位体積重量 γsat
kN/m³
SPT N値(深度 z = 3m地点)
SPT N値
細粒分含有率 FC
%

一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。

地盤液状化プロファイル(揺れ・間隙水圧・サンドボイル)
計算結果(深度プロファイル)
液状化PL指数 IL
深刻度
最小安全率 FS
液状化層厚
地表加速度 amax
安全率 FS (z=3m)
CSR (z=3m)
CRR (z=3m)
N₁₆₀ (補正後)
規模補正係数 MSF
理論・主要公式

地震せん断応力比(CSR):

$$\mathrm{CSR}= 0.65 \cdot \frac{\sigma_v}{\sigma'_v}\cdot \frac{a_{max}}{g}\cdot r_d$$

深度補正:$r_d \approx 1.0 - 0.00765z$ (z ≤ 9.15m)

液状化抵抗比(CRR):Youd et al. (2001)

$$\mathrm{CRR}_{7.5}= \frac{1}{34 - (N_1)_{60}}+ \frac{(N_1)_{60}}{135}+ \frac{50}{[10(N_1)_{60}+45]^2}- \frac{1}{200}$$

規模補正係数:

$$\mathrm{MSF}= \frac{10^{2.24}}{M_w^{2.56}}$$

安全率:

$$\mathrm{FS}= \frac{\mathrm{CRR}_{7.5}\times \mathrm{MSF}}{\mathrm{CSR}}$$

液状化ポテンシャル指数:

$$I_L= \int_0^{20} F(z)\,w(z)\,dz,\quad F=1-\mathrm{FS}\ (\mathrm{FS}<1),\ w=10-0.5z$$

土壌液状化ポテンシャルとは

🙋
土壌液状化ポテンシャルって何ですか?地震のニュースで「液状化」って聞くけど、どういう仕組みで起こるんですか?
🎓
大まかに言うと、砂地盤が地震の揺れで液体のように柔らかくなる現象だよ。地下水位の高い砂地盤が、地震の繰り返しの力で粒子同士の接触が失われ、水圧が上がることで起こるんだ。このシミュレーターでは、上のスライダーで「地表最大加速度(amax)」を大きくすると、液状化しやすくなる様子がすぐに確認できるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ、地盤が強いか弱いかはどうやって判断するんですか?SPT N値って何ですか?
🎓
実務で最もよく使われるのがSPT(標準貫入試験)N値だ。地面に重りを落として、サンプラーを30cm打ち込むのに要する打撃回数がN値で、値が大きいほど固い地盤だ。例えば、N値が10以下の緩い砂は液状化リスクが高いね。このツールでは「SPT N値」のスライダーを動かすと、地盤の固さが変わり、液状化判定結果がリアルタイムで変わるのがわかるよ。
🙋
なるほど!で、CSRとCRRって何を比べてるんですか?安全率FSが1を下回ると危険ということ?
🎓
その通り!CSRは地震から来る「攻撃力」、CRRは地盤が持つ「抵抗力」だと思えばいい。安全率 $FS = CRR / CSR$ で計算して、FS < 1 なら液状化発生の可能性が高いと判定される。実際の設計では余裕を見て1.5以上を要求することが多いんだ。ツールの深度プロファイルを見ると、どの深さでFSが1を切っているか、一目でわかるようになってるよ。

よくある質問

CSR(地震せん断応力比)は地震時に地盤にかかる負荷の大きさを、CRR(繰り返し抵抗比)は地盤が液状化に抵抗する能力を示します。安全率FS = CRR/CSRで計算し、FSが1未満だと液状化の可能性が高いと判定されます。
本シミュレーターでは、実測N値を有効上載圧で補正し、(N1)60を自動計算します。補正には深度と土質に応じた係数(CN, CE, CB, CR, CS)が用いられ、地盤の相対密度をより正確に反映します。
深度ごとに計算された安全率FSのグラフを確認してください。FSが1.0未満の深度が液状化危険域です。特に地表から10m程度までの浅い層はrd係数が大きくCSRが高くなりやすいため、注意が必要です。
日本の建築基準法では、稀に発生する地震(レベル1)で0.2G前後、極めて稀な地震(レベル2)で0.3〜0.6G程度が目安です。お住まいの地域の地震ハザードマップや、設計で想定する地震動レベルに応じて設定してください。

実世界での応用

建築物・橋梁の基礎設計:建築基準法や道路橋示方書に基づき、支持地盤の液状化リスクを評価します。安全率FSが1.5を下回る場合、地盤改良や杭基礎の採用など対策が必要となります。

宅地・盛土の安全性評価:新規宅地開発や造成地において、地震時の地盤安定性を事前に評価します。特に地下水位が高い埋立地や旧河道では、重点的な調査が行われます。

ライフライン施設のリスク管理:ガス管や水道管、地下電線など埋設ライフラインの地震時継続性を評価します。液状化による不同沈下は管路の破損を引き起こすため、危険度の高い区間の把握に利用されます。

過去の地震被害の解析:2011年東日本大震災で関東地方の沿岸部・埋立地で広範囲に液状化が発生しました。このシミュレーションツールと同じ原理で、被害が生じた地域の地盤条件(低いN値、高い地下水位)を再現・分析し、将来の危険区域予測に役立てています。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターは便利ですが、いくつか押さえておかないと「わかったつもり」で誤解を生むポイントがあります。まず、「SPT N値さえ入れればOK」と思わないでください。実際の調査では、深度ごとにN値を取得しますが、その値は砂礫やシルトが混じっているかで意味が変わります。ツールでは「均質な砂層」を想定しているので、例えばN値が20でも粘土分が多い「シルト質砂」なら液状化しにくいんです。逆に、N値が5程度の非常に緩い砂は、計算以前に支持力自体が問題です。

次に、「安全率FSが1.0を超えていれば絶対安全」は危険な考え方です。この計算はあくまで「ポテンシャル(可能性)」の評価。FS=1.05は「ぎりぎり液状化しない」という非常に不安定な状態です。実務では、重要度に応じて1.2から1.5以上の安全率を要求します。例えば、一般的な住宅地盤でFS>1.2、病院や発電所のような重要施設ではFS>1.5を目標とすることが多いです。

最後に、入力パラメータ「地表最大加速度(amax)」の選び方。これは「その場所で想定される最大の揺れ」です。過去の地震記録やハザードマップから決めるもので、「大きければ大きいほど安全側」と安易に大きく設定するのはダメ。過大評価すると必要以上にコストがかかる対策案が出てしまいます。まずはお住まいの地域の「地震動予測地図」で示されている値(例えば、東京の低地で400ガル程度)を参考にするところから始めましょう。

使い方ガイド

  1. 最大加速度(Amax)と地震規模(Mw)を入力します。例:Amax=0.3g、Mw=7.0
  2. 調査深度ごとのSPT N値と土かぶり圧を入力。N値=15、深度z=3mの場合、有効上載圧σv'を自動計算
  3. 単位体積重量(γt=18kN/m³)を設定し、Seed-Idriss法によるCSR(せん断応力比)とCRR(抵抗率)を算出
  4. 安全率FS=CRR/CSRと液状化判定指数ILがリアルタイム表示。FS<1.0で液状化危険判定

具体的な計算例

東京湾岸の緩い飽和砂層(プリセット「緩い砂地盤」:深度z=3m、N値=8、γt=17.5・γsat=19.0 kN/m³、地下水位dw=1.0m、細粒分FC=15%)に対し、Amax=0.30g・Mw=7.5を想定した場合:有効上載圧 σv'≈35.9kPa、CSR=0.65·(σv/σv')·amax·rd≈0.295、規模補正係数 MSF=10^2.24/7.5^2.56≈1.00、補正N値 (N1)60≈18.6、CRR≈0.199、安全率 FS=CRR/CSR≈0.68となり「液状化危険(FS<1.0)」と判定されます。MSFは地震規模が大きいほど小さく(例:Mw9.0で≈0.63)、液状化可能性が増します。なお液状化は飽和した砂・シルト質砂が対象で、粘性土(粘土)は対象外です。

実務での注意点