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電磁気・光学

ステッピングモーターシミュレーター

ステップ角・保持トルク・ディテントトルク・トルク速度曲線・マイクロステッピング分解能・共振周波数をリアルタイム計算。モーター選定と制御設計を強力サポート。

モーター仕様パラメータ
定格保持トルク Th
N·m
ディテントトルク比
%
ロータ慣性モーメント J
kg·cm²
定格電流 I
A
マイクロステッピング設定
最大速度
rpm
負荷条件
負荷慣性モーメント JL
kg·cm²
負荷トルク TL
N·m
計算結果
1.800°
基本ステップ角
0.1125°
マイクロステップ角
0.050 N·m
ディテントトルク
共振周波数 [Hz]
最大パルス数 [pps]
トルク余裕率
トルク-速度曲線
理論・主要公式

高速域でのプルアウトトルク降下は電気的時定数で近似:

$$T(f) = \frac{T_0}{\sqrt{1 + (2\pi f L / R)^2}}$$

ステップ角:$\theta_{step}= \dfrac{360°}{N_{teeth}\times N_{phases} \times 2}$

共振周波数:$f_{res}= \dfrac{1}{2\pi}\sqrt{\dfrac{T_h \cdot N_s}{2\pi (J_r + J_L)}}$

位相A・Bの電流は正弦波形状でステップを細分化:

$$I_A(k) = I_0 \cos\!\left(\frac{2\pi k}{4M}\right), \quad I_B(k) = I_0 \sin\!\left(\frac{2\pi k}{4M}\right)$$

ここで $M$ = マイクロステップ分割数。トルク補正係数 $\eta \approx \sin(\pi/(2M)) / (\pi/(2M))$

マイクロステッピング分解能比較
マイクロステッピング分解能テーブル
分割数ステップ角 [°]ステップ数/回転トルク補正係数実効分解能 [μm/step]*
* ボールネジピッチ 5mm / 減速比 1:1 の場合

ステッピングモーターとは

🙋
ステッピングモーターって、普通のモーターと何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、パルス信号に合わせて「ステップ」と呼ばれる決まった角度だけ正確に回転するモーターだね。例えば3Dプリンターのヘッド位置決めや、ロボットアームの関節角度制御に使われるよ。このシミュレーターで「ステップ角」のスライダーを動かすと、1パルスで何度回るかがすぐにわかる。
🙋
「保持トルク」と「ディテントトルク」って何が違うんですか?どっちも止める力っぽいけど。
🎓
良い質問だね。保持トルクは電気を流している時にロータを動かそうとする最大の力。一方、ディテントトルクは電気を切っても働く、磁石の吸引力によるわずかな止める力だ。実務では、電源オフ時にディテントトルクだけで位置を保持できるかどうかが重要になる。右のパラメータで「ディテントトルク比」を変えると、グラフのゼロ速度でのトルク値がどう変わるか確認してみて。
🙋
「トルク速度曲線」が高速で下がってます。これが「プルアウト」ってやつですか?
🎓
その通り!モーターコイルのインダクタンスのせいで、高速になるほど電流が追いつかなくなり、発生トルクが落ちてしまう現象だ。これが原因で、ある速度以上でモーターが突然失速(プルアウト)する。シミュレーターで「定格電流」や「最大速度」を上げ下げすると、この曲線の形がどう変わるか体感できるよ。設計では、この曲線が負荷トルクより常に上にあることを確認するんだ。

よくある質問

モーターのデータシートに記載された「保持トルク」「コイル抵抗」「インダクタンス」「ステップ角」などをご入力ください。不明な場合は、代表的なモーターのプリセット値も用意していますので、そちらから試していただけます。
シミュレーターはコイルの電気的時定数に基づく理論曲線を表示します。実際のモーターでは、ドライバの電流制御方式や電源電圧、機械的共振の影響を受けるため、低周波域や高周波域で誤差が生じることがあります。
マイクロステッピング分解能を上げても最大保持トルクは変わりません。ただし、各マイクロステップでの位置決め精度は向上しますが、微小区間でのトルク変動(トルクリップル)が発生しやすくなるため、低速での滑らかさとトレードオフになります。
共振周波数付近で運転すると振動や脱調の原因になります。シミュレーターで算出された共振周波数を避けるよう、駆動速度を設定するか、マイクロステッピングやダンパの使用で共振を抑制してください。

実世界での応用

3Dプリンター・CNC工作機械:X-Yテーブルやヘッドの精密な位置決めに使用されます。マイクロステッピングにより振動を低減し、表面仕上げの品質を向上させます。シミュレーターで負荷慣性を大きくすると共振が起こりやすくなるため、機械設計時の検討が重要です。

ロボットアームの関節駆動:各関節の角度を直接かつ正確に制御できます。CAE連携では、負荷慣性(アーム先端)とロータ慣性の比(JL/Jr)を10倍以内に収める設計が推奨され、慣性不整合が大きいと共振点での振動がFEM解析結果に影響を与えます。

医療・分析装置:顕微鏡のステージ移動や、自動分析装置の試薬ピペット制御など、微小で正確な移動が要求される場面で活躍します。ディテントトルクによる電源オフ時の位置保持機能が、安全面や省エネ面で役立ちます。

望遠鏡やアンテナの姿勢制御:低速で滑らかかつ大きなトルクで駆動できる特性を活かし、精密な追尾制御に用いられます。屋外環境での使用を想定し、保持トルクに対して十分なマージンを持たせたモーター選定が行われます。

よくある誤解と注意点

まず、「保持トルクさえ見れば大丈夫」という考えは危険です。確かに保持トルクは重要な指標ですが、実際に動かすときは「トルク速度曲線」全体を見る必要があります。例えば、保持トルクが0.5N・mのモーターでも、あなたが必要な1000rpmでの動作トルクが0.2N・mしか出せなければ、それは使えません。シミュレーターで速度スライダーを動かし、動作点全体で余裕があるかを確認する癖をつけましょう。

次に、「マイクロステッピングを増やせば分解能が無限に上がる」という誤解。確かに16分割より256分割の方が滑らかですが、実際の位置決め精度は機械的なバックラッシュやねじれ、ドライバの電流制御精度に大きく左右されます。例えば、基本ステップ角1.8度のモーターを256マイクロステップにしても、理論分解能は約0.007度ですが、実際には0.02度程度の誤差が出ることも珍しくありません。シミュレーション上の分解能と、実機の精度は分けて考えてください。

最後に、負荷慣性の見積もりを甘く見がちな点。モーター自体のローター慣性に対して、負荷の慣性が大きすぎると(例えば10倍以上)、起動・停止時の制御が難しくなり、共振も起こしやすくなります。例えば、ベルトとプーリーで駆動する機構では、プーリーの直径を2倍にすると慣性は4乗で増える($$J \propto D^4$$)ことを忘れずに。シミュレーターで「負荷慣性比」を大きくすると、曲線がどう不安定になるか試してみるのが良い勉強になりますよ。