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流体計測シミュレーター

U字管マノメータ シミュレーター — 差圧測定

配管内2点間の差圧を、U字管に入れた重い液柱(水銀など)の高さ差から計算します。マノメータ流体密度・配管流体密度・標高差を変えて、静水力学的バランスによる差圧測定の原理を学べます。

パラメータ設定
マノメータ柱差 Δh
mm
マノメータ流体密度 ρ_m
kg/m³
配管内流体密度 ρ_f
kg/m³
標高差 z_B − z_A
m

既定値は水銀(ρ_m=13600)と水(ρ_f=1000)、Δh=200mm。Δh=0 で両側の液柱が同じ高さ(差圧ゼロ)です。

計算結果
差圧 ΔP = P_A − P_B
等価水柱(m H₂O)
換算(psi)
換算(mmHg)
U字管マノメータの模式図

上部水平配管の A(左)・B(右)点を細管で U字管に接続。濃い液体=マノメータ流体、薄い色=配管流体。両側のメニスカスの高さ差が Δh。

液柱差 Δh と差圧 ΔP の関係

横軸=Δh (mm)、縦軸=ΔP (kPa)。現在のρ_m, ρ_f, Δzでの直線関係を表示。黄点=現在の動作点。

理論・主要公式

U字管マノメータは、配管内2点A・B間の差圧を、より重いマノメータ流体(典型的には水銀)の液柱差として読み取る古典的な圧力計測装置です。

配管内2点A・B間の差圧(A点が高圧側、Δh は B 側の液柱が高い場合に正):

$$\Delta P = P_A - P_B = (\rho_m - \rho_f)\,g\,\Delta h + \rho_f\,g\,(z_B - z_A)$$

水平配管の場合($z_B = z_A$)は第二項が消え、シンプルに:

$$\Delta P = (\rho_m - \rho_f)\,g\,\Delta h$$

単位換算($g = 9.81\,\text{m/s}^2$):

$$1\,\text{m H}_2\text{O} = \rho_w g = 9810\,\text{Pa},\quad 1\,\text{psi} = 6894.76\,\text{Pa},\quad 1\,\text{mmHg} = 133.4\,\text{Pa}$$

$\rho_m \gt \rho_f$ のとき、Δh が正なら A 側が高圧。マノメータ流体が配管流体より重いほど感度が高くなります。

U字管マノメータ シミュレーターとは

🙋
配管の途中にUの字に曲がったガラス管がついていて、中に銀色っぽい液体が入ってるのを見たことがあります。あれって何を測ってるんですか?
🎓
それがU字管マノメータだ。配管の2点 A と B から細管を引っ張ってきて、U字管の両端につないでる。配管内の圧力が違うと、その差に応じてU字管の中の液柱が片側に押し下げられて、もう片側で持ち上がる。式で書くと $\Delta P = (\rho_m - \rho_f) g \Delta h$(水平配管なら)。上のシミュレーターで「Δh」を200mmにしたとき、水銀と水の組み合わせで約24.7kPa の差圧になっているはずだ。
🙋
なんで水銀みたいに重い液体を入れるんですか?水じゃダメなんですか?
🎓
配管の中の流体(たとえば水)と U字管の中の液体(マノメータ流体)が混ざってしまわないように、もっと重くて混ざらない液体を選ぶんだ。水銀は密度が13600 kg/m³もあって、水(1000)と桁違いに重い。式の $(\rho_m - \rho_f)$ が大きいほど、同じ差圧でも液柱差 Δh が小さくなる——つまり感度を調整できる。シミュレーターで ρ_m を下げてみると、同じΔh でも ΔP がぐっと小さくなることがわかるよ。
🙋
「標高差」っていうスライダーがあるんですけど、これは何ですか?
🎓
A 点と B 点の高さが違う場合の補正項だよ。垂直配管とか斜め配管だと、A と B で配管内流体自体の重力による圧力差がある。式の第二項 $\rho_f g (z_B - z_A)$ がそれにあたる。水平配管ならゼロでいいけど、現場では立ち上がり配管にマノメータをつけることもあって、そこを見落とすと「圧損だと思ったら高さ差だった」みたいな誤読をする。
🙋
じゃあこれ、何を測るために使われてきたんですか?
🎓
代表的なのはオリフィスやベンチュリ流量計の差圧表示だ。流量を測るには絞り部の前後の差圧が必要で、その差圧をU字管マノメータで読み取って、ベルヌーイの式から流量を逆算する。あとはフィルター差圧、ポンプ揚程、配管圧損の現場確認など。最近はデジタル差圧計に置き換わってきたけど、原理はまったく同じで、U字管マノメータが教科書の出発点になっているんだ。

よくある質問

古典的には水銀(密度13600 kg/m³)が標準でしたが、毒性のため最近は使用が制限されています。代替としては、ガロインスタットなどの非毒性高密度液体(密度2000〜3000 kg/m³)、メリアム流体(赤色のインジケータ油、密度約1750 kg/m³)、四塩化炭素(過去)などがあります。低差圧の精密測定では、配管内流体より少し重い・軽い「微差マノメータ用流体」を使い、(ρ_m − ρ_f) を意図的に小さくして感度を上げることもあります。
U字管にすることで、両側のメニスカスが大気(または密閉空間)に対して同じ圧力基準を共有しつつ、差圧だけを液柱差として読み取れるからです。直管1本だと「絶対圧」を測ることになり大気圧の影響を受けますが、U字の底部で同じマノメータ流体がつながっているため、左右にかかる圧力の「差」だけが Δh として現れます。差圧計の最も基本的な構造です。
水銀U字管で実用的に読める Δh は数 mm 〜 数百 mm(約 0.1 kPa 〜 100 kPa)程度です。例えば Δh=760 mm が標準大気圧(約101.3 kPa)に相当します。それ以上の高圧では装置が大型化するためブルドン管や歪みゲージ式に移行し、それ以下の微差圧では傾斜マノメータ(管を斜めに傾けて読み値を拡大)や電子式マイクロマノメータが使われます。シミュレーターの Δh 上限600mmはこの実用域に対応しています。
U字管マノメータが読み取るのは、A点とB点の「ピエゾ水頭の差」、つまり静圧差です。流れがあっても、配管内に動圧(速度ヘッド)の影響を受けない静圧タップ(管壁に垂直に開けた小穴)から圧力を取れば、流速の影響を受けずに静圧差だけを読めます。一方、ピトー管のように動圧を含めて測ると全圧との差から流速が求まります。マノメータ自体は静圧差を読むだけで、何を測るかは「圧力をどこから取るか」で決まります。

実世界での応用

オリフィス・ベンチュリ流量計:U字管マノメータの最も古典的な用途は、絞り流量計の差圧表示です。配管内に絞り部を設けると、絞り前後で流速が変わり、ベルヌーイの式から圧力差が生じます。この差圧を U字管マノメータで読み取り、$Q = C_d A \sqrt{2 \Delta P / \rho}$ の関係から流量を逆算します。化学プラント・上下水道・ガス配給などで100年以上使われてきた基本構造です。

送風機・ファンの圧損測定:HVAC(空調)分野では、フィルター・ダクト・コイル前後の圧損を U字管マノメータ(または傾斜マノメータ)で測定します。フィルターの目詰まり監視は、清浄時と現状の差圧の変化を見るだけで判断できるため、保守判断の基本ツールになっています。風洞試験でも翼まわりの静圧分布をマノメータバンクで一斉読み取りする手法が現在も健在です。

ポンプ揚程・配管圧損の現場確認:ポンプの吸込・吐出側に圧力タップを設けてマノメータをつなぐと、ポンプが実際に発生している揚程を直読できます。配管の特定区間の圧損も同様に測定でき、設計値とのズレからスケール付着・バルブ閉塞などのトラブルシュートに使われます。電子式に比べて電源不要・故障しにくい・高温配管でも使えるという利点があります。

気象観測と高度計:歴史的には大気圧そのものを測る水銀気圧計(トリチェリ管)がU字管マノメータの直系の祖先です。閉端を真空にした片側で大気圧を760 mmHg として読み取る原理は、現在でも気圧の単位「mmHg」「Torr」として残っています。航空機の高度計も基本的には大気圧→高度の変換であり、原理的には同じ静水力学的バランスです。

よくある誤解と注意点

最も多い誤解は、差圧 ΔP がマノメータ流体の密度 ρ_m だけで決まると考えてしまうことです。実際には式に $(\rho_m - \rho_f)$ が現れるとおり、配管内流体 ρ_f の密度も差し引かれます。配管が空気(ρ_f ≈ 1.2 kg/m³)の場合は ρ_f が無視できるため気圧計のように扱えますが、水(1000)や油(800〜900)が満ちている配管では ρ_f の効果は無視できません。シミュレーターで ρ_f を 1000 から 2000 に上げてみると、同じ Δh でも ΔP が約8%減るのが確認できます。

次に多いのが、標高差 z_B − z_A を忘れることです。垂直配管にマノメータを取り付けたとき、A と B の物理的な高さが違えば、配管内流体自身の重力によって ΔP が「下駄を履く」形になります。シミュレーターで Δz を 1.0m に変えてみると、同じ Δh=200 でも ΔP が約9.8 kPa 増減することが確認できます。実務では「マノメータ読みからピエゾ水頭差を出すには標高差を引け」と覚えておくと事故が減ります。

最後に、マノメータ流体と配管内流体が混ざらないことを暗黙の前提にしている点に注意が必要です。教科書の式は両液体が完全に分離している理想状態を仮定しています。実際には脈動・気泡混入・温度変動などでメニスカスが乱れたり、長期使用で配管内流体がマノメータ流体に溶け込むこともあります。読み取り精度を保つには、両液体が化学的に不活性で互いに溶けないこと、メニスカスが安定していること、温度補正(特に水銀は温度膨張係数が大きい)を考慮することが必要です。